コピペ能力を問う

「センターリバー」のハンバーグは、そのハンバーグ本体はともかく、にんにくソースの味が私は大好きです。

センターつながりで言うなら、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2666.html" target="_blank" title="大学入試センター">大学入試センター</a>の「大学入学共通テスト」の出題方針等が、発表されました。

マークシートだけでなく、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1928.html" target="_blank" title="記述式問題">記述式問題</a>を導入するのがウリといますが、私は最初からそれを疑問視しています。

何を疑っているかって、まず、何十万人もの受験生の記述式答案を、どうやって採点しますか、って話です。

どうせ、キーワードが含まれているか、文字数は足りているか、それぐらいしか採点基準なんてないでしょう。

そんなことなら、キーワードを選択させるような、マークシート方式でいいじゃないですか。採点も楽だし。

そもそも、私のようなミミズの這ったような字を書く者には、記述式は圧倒的に不利なんですよ。

まあしかし、実際の試験問題も見ないで勝手な憶測で語るのはいけません。

というわけで、過去に2回行われた試行調査(プレテスト)を、実際に解いてみました。

挑んだのは、平成29年11月に実施された1回目のプレテストの、国語の問題。第1問。

ある高校の部活動に関する諸問題を題材にしたもの。設問は3つ。解答文字数はそれぞれ50、25、120文字。

フン。書くべきワードをすべて盛り込み、規定文字数ギリギリに体裁を整えるなど、私の得意技。

サクッと答案を書いて大学入試センターの正解表を見てみるとしかし、驚くべき事に私の答は不十分でした。

センターによる「正答の条件」には、完全には適合していないのです。たぶん、かなり減点されそうです。

でも、ですよ。センターが示す「正答」って、全然面白くない。

だって、資料として提示された文章から、必要な部分を全部まるごと取り出して、並び替えただけですもん。

文言を取捨選択し、自分で考察したことを自分の言葉で表現する、「記述力」を示す余地がありません。

これではまるで、コピペ能力を問う設問じゃないですか。もしやそれが、今風の記述問題なのでしょうか。

この問題の正答率は0.7%だったため、2回目のプレテストは難易度を引き下げたといいます。

まあどっちにしたって、先は見えましたね。こんな記述式なら、やらん方がマシ。採点が面倒なだけ。

独り立ちの試練

NHKの『サラメシ』という番組で、今日は航空自衛隊静浜基地が紹介されていました。

番組の趣旨は「働くオトナの昼ご飯」なのですが、私が注目したのは候補生の訓練風景です。

ちょうどその時は、教官が後部座席に乗らず、候補生が初めて一人で飛行機を操縦する段階でした。

眼下には地域の町並みが広がり、万一墜落したら大惨事になりかねない、そんな究極の状況での訓練です。

そんな訓練は危険すぎるでしょうか。万一に備えて、いつも教官が後部座席に乗っておくべきでしょうか。

いや、それではダメです。訓練生が誰にも助けてもらえない状況に追い込まれるからこそ、意味があるのです。

千尋の谷に落とされた獅子のごとく、独り立ちのためには甘えのない試練が必要なのです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-644.html" target="_blank" title="前にも書いた">前にも書いた</a>ことがあるように、このような訓練方法はちょうど、外科医の修練と似ています。

たとえば、外科手術の基本中の基本「虫垂切除術」をとってみても、次のような修練段階を私もたどりました。

(1)手術書(いまならビデオを含む)による勉強や手術見学

(2)助手(指導医や先輩医師が執刀)

(3)執刀(指導医が助手に付くか、指導医が手術室内にいて手術を監督)

(4)執刀(指導医不在)

この(2)から(3)への飛躍は大きいですが、指導医がそばにいるとどうしても、甘えが出てしまいます。

最高レベルの緊張は(4)のときです。これをクリアして初めて、自分が執刀したことを実感できるのです。

入試と採点ミス

ちょうど40年前の今頃、大学入試で無事合格し、その発表の翌日、下宿探しに出かけたことを思い出します。

用事で同級生に電話したら、彼は不合格でした。その日は予備校に入校手続きに行くと言っていました。

長い目で見たら、浪人経験など人生の一コマかもしれませんが、不合格を知ったときの落胆はいかばかりか。

しかしそれは、現役合格した私が獲得しそこねた貴重な経験なのかもしれないと、この年になって思います。

入学試験とその合否は、受験生の人生に極めて大きな影響を及ぼす分岐点になります。

なので入試の出題ミスや採点ミスなどの報道を見るたびに、もっとしっかりやらんかいと、いつも思います。

裏口入学はまた次元の違う話ですが、合否に影響するような大学側の不注意や怠慢には、強い憤りを感じます。

福井大学が医学部の入試で、2度にわたってミスをした件が報じられています。

先月の試験では、問題を修正した出題者が採点用の正解表の修正を忘れ、採点ミスが起きました。

合格発表の翌日に、出題者が正解表を見直してミスに気づいたとのこと。おいおい、もっと早く見直せよ。

受験生は、名前や受験番号や解答の記載については、試験終了前に何度も何度も見直すというのに。

同じく福井大で昨年実施した医学部の編入試験では、前年度とまったく同じ問題を出題したという異常事態。

一字一句違わない問題だったといいますから、ミスならば大失態、手抜きとすればかなり大胆ですね。

前年度分が「良問」だったからそのまま出題した、という出題者側の間抜けな説明にはあきれます。

別の良問を考えつかなかった無能ぶりをさらけ出していることに、気づかないのでしょうか。

必死の思いで入試に臨む若い受験生たちの努力を、大人の不注意や手抜きで台無しにしてどうしますか。

今年も愚問の世界史B

センター試験が終わると、いつものように私が話題にするのは「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2294.html" target="_blank" title="世界史B">世界史B</a>」ということになります。

冒頭に7,8行の文章が提示され、そのあちこちに下線が引いてあり、関連する設問が続くという出題形式です。

バッカじゃないの?と思うようなその出題にはツッコまずにはいられないので、今年もまた書いてしまいます。

今年の世界史Bの冒頭を飾る、第1問のAの文章はこうです。

「ロンドンのウェストミンスターには、国会議事堂を初めとする歴史的建造物があり、それらは・・・(略)」

問1として、「下線部①について述べた文として正しいものを、次の1〜4のうちから一つ選べ」とあります。

ここでその「下線」が、「ウェストミンスター」に引いてあるのなら、関連性のある設問と言えるでしょう。

それが「ロンドン」や、百歩譲って「国会議事堂」に引いてあっても、まあ許しますよ。

しかし実際には、「歴史的建造物」に引いてある。何それ。単なる一般名詞じゃん。

そして案の定、続く4つの選択肢はすべて、ウェストミンスターにはまったく無関係の歴史的建造物の話。

引き続く問2や問3に関連する下線部②と③も、それぞれ「反乱」と「17世紀」です。

ウェストミンスターについて書かれた文章は結局、一般名詞を提示させる役割しかないのです。

単なる正誤問題を、いかにも深みのある文章問題のように見せようとする浅はかさが、今年も丸見えです。

知識を正確に評価するための試験であるのなら、余計な修飾はせず、堂々とストレートに問えば良いのに。

受験生にムダなエネルギーを使わせるのは、そろそろやめましょうよ。

医学部合格率の男女比

文部科学省が昨日、医学部受験合格率は全国77%の大学で男子の方が高かったと、調査結果を公表しました。

男子受験生の合格率が女子の合格率の何倍かで表すと、順天堂大が1.67で最大だったようです。

誤解のないように付け加えますが、これは合格者の男女比ではありません。合格率の男女比です。

問題となった<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2498.html" target="_blank" title="東京医科大">東京医科大</a>は1.29でしたが、この東京医科大をも上回る大学が13大学もあったそうです。

もちろん、だからといって、それらの大学でも不正があったというわけでは、もちろんありません。

私の母校も、男女比では高い方から数えて5番目、国公立では全国トップの1.43でしたが、大学サイドは、

「男女の区分なく合否判定を行っているため、男子の合格率が女子を上回る理由は特に把握していない」

とコメントしているようです。

このように大きな男女比が生じた原因として考えられることは、

(1)物理や数学を難しくするなど、入試科目や配点が男子に有利である(ように作ってある?)

(2)一般の男女の学力差とは異なり、医学部の受験生層では男子の学力の方が高い(のではないか?)

このうち(1)については、科目別・男女別得点を公開してもらえば、その詳細がわかるかもしれません。

また、有名進学校の多くが中高一貫の男子校であることが、(2)に関与している可能性もあります。

医師としての適性を判定する入試において、そもそも学力試験は万能ではなく、限界があるのです。

かといって面接試験は客観性に乏しく、男子を採りたい心理が作為的な評価につながる懸念がありますけどね。

修善寺の増進会

「名門Z会、とまらぬ膨張」という日経記事に、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1317.html" target="_blank" title="Z会">Z会</a>にハマっていた高校時代を懐かしく思い出しました。

私がハマっていた理由は、

・全国の会員のレベルがきわめて高く(開成・灘・ラサールなどが常連)、チャレンジしがいがあった

・点数順に名前(ペンネーム)が掲載され、励みになった

・満点であれば、答案の先着順に掲載されるので、時間との闘いになり、それも楽しかった

いまでこそ幅広く事業展開しているZ会ですが、当時は高校生向け添削コースのみの、通信教育会社でした。

問題用紙が自宅に届くと、それを学校に持って行き、下校時に図書館に寄って答案を書くのが常でした。

図書館から帰る途中で郵便局に直行し、Z会に速達で返送します。

満点を取った場合に備えて、ランキングのトップに名前が掲載されるために、一刻も早く返送するのです。

そのようにして後日、成績が掲載された冊子が届くと、自分の順位がトップかどうかを真っ先に確認しました。

満点の受験生だけでも何十人もいるので、その中の1位になったときには、喜びもひとしおでした。

そういえばZ会の答案の送り先は、静岡の修善寺郵便局管内だったと記憶します(たぶん)。

全国の受験生を相手にする会社が、どうして修善寺のような田舎にあるんだろうと、当時は思ってました。

いま調べたら、最初は新宿にあったものの、戦時中に伊豆に疎開したそうですね。いまなお本社は静岡県です。

通信教育ですから、日本のどこにあっても大差ないのかもしれません。IT化が進めばなおさらですね。

落ちない石、落ちる

「落ちない石」として受験生などに知られていた島根県の石が、落ちているのが見つかったというニュース。

「落ちない」「すべらない」さまざまな物が、受験生には重要な、縁起物・合格祈願グッズになります。

入試前の過敏な時期には、あらゆる物事が縁起の善し悪しに結びつけられてしまい、一喜一憂しますよね。

科学的な根拠はなくても、何かのモノに思いを託すことで気持ちが前向きになれば、それは意味があります。

その反対に、何か縁起の悪いことが起きたら、精神的ダメージは大きいでしょう。

日本人の特徴かどうか分かりませんが、縁起の悪いモノや出来事や言霊には、大きな影響を受けるものです。

今回の石は、「受験生の身代わりに落ちてくれた」という解釈で、ポジティブにとらえられているようです。

これはうまい。精神的ダメージを払拭するための、知恵ですね。

じゃあ、どうしてコレまでの年月ずっと落ちてくれなかったのかい、と言いたい気持ちは抑えておきます。

そんな屁理屈を言うようでは、「落ちない石」の御利益もないでしょう。

ともかく、昨年までは「落ちない」縁起物だった石が、今年は「落ちて」身代わりになったわけです。

このたび落ちた石は細かく砕いて、「身代わり石」と称したお守りにしては、いかがでしょう。

試験の前後などにわざと落として、身代わりになってもらう使い方です。

ムーミン問題

センター試験の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2294.html" target="_blank" title="世界史B">世界史B</a>」ネタを書いていた昨日、世間の話題をさらったのは「地理B」だったようです。

問題となったのが第5問の問4。北欧を舞台にしたアニメと言語から、フィンランドのものを選ぶ設問。

二択のアニメ(のイラスト)は、『ムーミン』と『小さなバイキングビッケ』でした。

ムーミンを知らない受験生が多かったようですが、バイキングとノルウェーを結びつければ解ける問題です。

『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2142.html" target="_blank" title="ムーミン">ムーミン</a>』は、私が小学生の頃、毎週日曜の夜7時半から放送されていた、大好きなアニメ番組でした。

その時期の日曜の晩は、『サザエさん』→ 風呂 →『ムーミン』という流れが、私のルーチンでした。

「ムーミンの舞台はフィンランドではなくて『ムーミン谷』だ」などという記載が、ネットを賑わせてます。

「出題ミスだ」という意見も出ていますが、深刻な非難というよりは、楽しいツッコミに思えてなりません。

作者の出身はフィンランドだけど、原作の舞台がフィンランドだとは断定できない、という学者もいます。

たしかに、「ムーミン谷」は架空の場所なので、それがフィンランドに「実在した」とは言いがたいですね。

菅官房長官は記者会見でこの件を問われて、「政府の立場でコメントすることは控えたい」と述べました。

この人はどんな質問でも、「コメントすることは控えたい」と言って逃げますね。実につまらない。

「政府の立場でコメントすることは控えますが、個人的には、大好きなアニメです」ぐらい言えばいいのに。

正誤問題でいいのに

センター試験の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1206.html" target="_blank" title="世界史B">世界史B</a>」は、今年も悪問ぶりが健在ですね。たとえば第3問のCは、

「中国最大の都市である上海の外灘に立ち並ぶ重厚な西欧風建築は、往時の繁栄を今に伝えている(以下略)」

(この文章の、「都市」の部分に下線が引かれています)

そして設問は、「下線部について述べた文として誤っているものを、次の1〜4のうちから一つ選べ」

とあり、景徳鎮、リューベック、モンバサ、ポンディシェリという4つの「都市」についての文が並びます。

もはや上海など無関係。冒頭の文章は、「都市」という名詞を引っ張り出すためのものだったのです。

まったくナンセンス。くだらない。深みも何もありゃしない。

そんなこじつけの設問がまかり通るのであれば、こんな問題はどうか。作ってみました。

「インドアスポーツの発祥は古代ローマにさかのぼることができ、当時は貴族と民衆がともに熱狂した(略)」

(この文章の、最初の3文字「インド」に下線が引いてある)

続く設問はもちろん「インド」に関するものです。これだって、同じことでしょう?

さらに言うなら、「誤っているものを一つ選べ」とか「正しいものを一つ選べ」という設問も、ダメ。

選択肢の文の正誤を4つ全部は知らなくても、正答ができてしまう可能性があるからです。

それよりも、ひとつひとつの選択肢(文)の正誤をそれぞれ答えさせりゃいいじゃないですか。

前にも書いたように、世界史Bの凝った文章問題のような体裁は「まやかし」です。

求められているのは、短文の正誤判断でしかありません。もう単純に、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1202.html" target="_blank" title="正誤問題">正誤問題</a>の羅列でいいんじゃないの?

試験直前の悪あがき

この寒い中、今年も始まった「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1928.html" target="_blank" title="センター試験">センター試験</a>」。中国風に書けば「中心試験」となるのでしょうか。

ネットで調べたら中国語の「試験」はちょっとしたテストのことで、入試にあたるのは「考試」のようですが。

大雪のために交通機関が乱れ、試験開始が繰り下げられた会場が何カ所もあったようです。

1時間繰り下げとなってある受験生は、「これでもう1時間勉強できる」と言ったとか。前向きでいいですね。

ただし、その1時間で何かしらの勉強をしたところで、試験の得点に貢献する可能性はほとんどゼロでしょう。

出題範囲は広いし、しかも深い洞察力や応用力が試されるはず、だからです。

と書きましたが私自身が受験生のときは、いつも試験開始直前ギリギリまで、参考書に目を通していました。

一度、最後の悪あがきで得た知識が出題されたことがあって、その成功体験を引きずってたのかもしれません。

それは高2の時の模擬試験でのこと。級友と、ひとつ単語を覚えよう!、と英和辞典を無作為に開きました。

指さした部分にあったのは “obvious” 。恥ずかしながら私は、その単語の意味をその時に初めて知りました。

さて、試験が始まって英語の問題用紙を広げたら、なんと “obvious” が出てる!

以来、往生際が悪いのが私のスタンスなのです。今風に言うなら、悪あがきは恥だが役に立つ、ですか。