いまの学級閉鎖は、ほぼコロナのクラスターです

雨は本降りにはならず、また雨漏りもせずに今日の発熱外来を終えましたが、明日からの雨が心配です。

今日も夕方までの予約枠がすぐに埋まってしまい、何人もの受診をお断りしたのは第8波の時と同様でした。

沖縄ほどではないにしても、熊本でも感染者が急増していますが、それほどのニュースにはなっていません。

近隣の託麻西小学校は、今週は「休校」でした。学級閉鎖や学年閉鎖を超える「全校閉鎖」です。

熊本県は、県内の「インフルエンザ様疾患による休校・学年閉鎖等」の情報を、ほぼ毎日発表しています。

今日時点での学級閉鎖等は、託麻南小(学級閉鎖)、託麻西小(休校)、奥古閑小(学年閉鎖)の3校です。

「インフルエンザ様疾患」という表現が使われていますが、これは「インフルエンザ」とは異なります。

熱と急性呼吸器症状を呈した疾患の総称であり、インフルもコロナもそれ以外の風邪も含まれます。

私の知る限り、いま休校している託麻西小で大流行しているのは新型コロナです。

しかしその託麻西小は「インフルエンザ様疾患による休校」と報じられており、誤解を招きかねません。

発熱しても必ずコロナの検査を受けるわけではないので、学級閉鎖の原因が厳密には特定できなくなりました。

コロナだとわからなければ、下熱後すぐに登校することになるでしょうから、感染拡大の原因になります。

学校では、以前のような3密対策や厳格なマスク着用は行われていません。そこが去年までとは異なります。

こうしてコロナはいま、学校で大流行するステージに入りつつあるような気がします。

コロナは、発症の5日後までの自宅待機が推奨されています

5類化した新型コロナは、感染しても法律に基づく外出自粛は求められず、個人の判断での療養となります。

とは言え、検査陽性の方からは「いつまで休めば良いですか」と、ほぼ必ず尋ねられます。

厚労省は「外出を控えることが推奨される期間」を、次の(1)のように提示しています。

(1)発症日を0日目として5日間は外出を控えること

この<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3978.html" target="_blank" title="「0日目」">「0日目」</a>という言い方。私は嫌いですね。それにここで言う「5日間」は、明らかに誤解を招きます。

(2)発症日を0日目として5日目までは外出を控えること

せめてこう言えば、0日目から5日目までの「6日間」だと分かります。つまり「5日間」ではないのです。

(3)発症日の5日後までは外出を控えること

という表現が最もシンプルで間違いがないと思うので、当院ではそのように患者さんに伝えています。

法律用語で「1週間間隔」というと、「中7日」つまり「8日後」を意味してしまうそうです。

なのでお役所は、予防接種で「1週間間隔」や「1週間後」の意味で、「6日の間隔」という表現を使います。

このようなお役所用語の原則が曲げられないのであれば、(1)はせめて次のように併記してほしいものです。

(4)発症日を0日目として5日間(すなわち発症日の5日後まで)は外出を控えること

超高齢感染者に対しては、保健所の積極的介入を希望します

2日連続で書くのもくどいですが、日曜日は「週計」をする日なので、当院のデータをまとめてみます。

5類化後(5月8日以降)の、当院における毎週の陽性者数は、5→7→9→13→15→27→29という推移です。

これを頭打ちと判断するのは尚早。その29人の陽性者以外に、感染確定後の方の受診も増えているからです。

他院でコロナと診断された方の処方や、登園許可証を求めて来院するお子さんもいます。

自宅での抗原検査は、研究用キットでは偽陰性も偽陽性も見かけるので、参考程度にしておきます。

一方で医療用では偽陽性がほぼないので、陽性が出たら確定的ですが、偽陰性例にはしばしば遭遇します。

ある90代の方が「受診相談専用ダイヤル」に入院希望を伝えたら、必要なら救急車を呼べと言われたとのこと。

これではまるで、第8波の医療ひっ迫時と同じような状況です。

まだ第8波ほどの感染者数には至っていませんが、5類化したために保健所の対応が渋くなっているのです。

さいわいその高齢者は全身状態も酸素飽和度も良かったので、そのまま自宅療養としましたが、要注意です。

国が新たなコロナ対応方針に舵を切ったのだから仕方ない、と諦めるわけにはいきません。

たしかに感染拡大を抑える政策はもう終わっていますが、重症化対策だけは手を抜かないでいただきたい。

とくに超高齢の感染者については、発熱外来任せにせず、2類の時と同様に保健所に介入してもらいたい。

ちょっとした風邪症状の方が、意外とコロナです

毎週日曜日には、新型コロナの現状を書くことが多いですが、今日は1日前倒しして書きます。

というのも、今日の発熱外来では、かなり急激に感染者が増えている印象をもったからです。

発熱外来受診者22人のうち、コロナの遺伝子検出検査(NEAR法)を行ったのは11人。検査率50%でした。

その11人のうち、陽性者は8人。陽性率73%。年齢は5歳〜70歳。

周囲にコロナ感染者がいるので検査したら、やっぱり陽性だった、という方は8人のうち3人。

残る5人の陽性者は、風邪と思ってたらコロナですか、どこで感染したんだろう、みたいな方でした。

以前は前者のような方がほとんどでしたが、この2,3カ月は後者のような方が大半です。

ですがそれ以上に、検査を受けなかった発熱者が多く、大別すると次の2パターンあります。

(1)たぶんコロナじゃないので、検査しない

(2)たぶんコロナなので、もはや検査しない

検査費用の公費負担がなくなって(1)のような人が増えましたが、最近は(2)の方も目立ちます。

いずれも、適切に自主療養していただけるか、万一の重症化を早期発見できるか、そこがカギとなります。

はたして一律に公費負担をなくしてしまってもよかったのか、発熱外来をしていて今更のようにそう感じます。

高齢者や基礎疾患のある方に限って、医師の判断で検査の公費負担を認めるような特例はできませんかね。

マイナ保険証ご利用の方は、必ず従来の保険証もご持参ください

マイナ保険証が、医療機関の資格確認端末で「無効」と判定されてしまう問題。当院でも時々遭遇します。

加藤厚労相が昨日の会見で、マイナ保険証が無効と表示された場合の対応について、次のように述べました。

(1)職場が変わったなどで、まだ保険証が発行されていない場合(いわゆる「保険証切り替え中」のケース)

保険証の持参忘れの場合と同様、現行の取扱いで対応する。(つまり10割負担やむなし、ということですね)

(2)保険証は発行されているが、マイナ保険証システムへのデータ登録が完了していない(登録遅れ問題)

患者の自己負担は3割分等とし、医療機関は事後的に医療保険の資格情報を確認してレセプト請求を行う

(3)保険証は発行され、システムへのデータ登録も完了しているが、システムトラブルで資格確認ができない

患者の自己負担は3割分等とし、医療機関は事後的に医療保険の資格情報を確認してレセプト請求を行う

このうち(2)(3)、はマイナ保険証しか提示しないからこその、新手のトラブルです。

そしてその場合、患者に負担はさせられないので医療機関の側でなんとか工夫しろ、ということらしいです。

従来の保険証があれば即座に解決することなので、患者さんにはつねに保険証も携帯していただきたいですね。

保険証を持参してない方には、ご面倒でも家に取りに帰ってもらうか、後日再提示してもらうことになります。

将来、万一(?)保険証が廃止された場合には、どうなるんでしょうね、いったい。

コロナ陽性者、ついに急増中

日曜の発熱外来はいつも受診者・陽性者が多いですが、今日も予約の電話が引っ切りなしでした。

予約枠は早々にキャパオーバーとなり、多くの方の受診をお断りすることになってしまいました。

これはちょうど、第8波の頃と同じ状況です。

コロナ検査(NEAR法)22人中10人陽性でした。この高い陽性率は、感染者が増えているときの兆候です。

それに加えて今日は、自宅で抗原検査陽性だった方の受診も4人ありました。これも最近増えています。

5月8日以降の毎週の陽性者数は、当院では5→7→9→13→15→27と急増中です。

濃厚接触者かつ高熱の方は、以前なら「みなし陽性」の範疇ですが、いまはその判定すら求められません。

つまり、たぶんコロナという方にはもう、確定診断の必要性がないのです。治療や届出に差はないので。

そういえば、ここに来てインフルエンザがかなり減りました。今日の陽性者はたった1人でした。

近隣の小学校では学級閉鎖が出ていますが、これも今はインフルではなく、コロナの学級閉鎖です。

熱せん妄が出たお子さんは、インフルではなくコロナでした。せん妄はインフルだけの特徴ではないのです。

昨日他院で風邪薬の処方を受けたけど何も検査をしなかった、という陽性者がけっこういます。

発症から間が無かったということもありますが、それにしても、コロナがスルーされることはとても多いです。

そのような他院で、どのような隔離状態で診察を受けたかが気になります。

電気自動車(EV)とマスクを作っている会社

今日の発熱外来ではコロナの検査は6人にだけ行いましたが、全員が陽性でした。陽性率100%は初めてです。

「職場に発熱者がいた」という病歴のある、つまり職場で感染したと思われる方が目立ちます。

しかしそれが、「職場にコロナ感染者がいた」ではないところが、ウィズコロナ時代の難しいところです。

多少体調が悪くても微熱があっても、いまでは普通に出勤する方が多いのです、とくに検査も受けずに。

職場でも公共の場でもノーマスクのことが多くなったので、ある程度は感染が広がるのは仕方ないでしょう。

診療では、私は必ずマスクを装着してます。発熱外来ではさらに、フェイスシールドと手袋も着けています。

国か市か、どこからか支給されたマスクの在庫が院内にたくさんあります。

その中に「BYD」と刻印されたマスクがあります。中国製です。品質はまあ許容範囲です。

で、そのマスクを作ってるBYDって会社、あの中国最大のEVメーカーBYD(比亜迪)と同じ会社なんすね。

いまやテスラと並ぶ世界のEVの2強のひとつ。やがてテスラを追い越すだろうとも言われています。

にしても、EV(乗用車・バス・フォークリフト)とソーラーパネルとマスクを作ってるって、変な会社です。

BYDの利益の約6割は、EVではなくマスクによるものだという記事を、最近どこかで目にしました。

テスラもBYDも、マスクが引っぱってるんです・・・お後がよろしいようで。

コロナはまもなく「風邪」扱いです

真夏のような日差しの中、今日も暑い駐車場に行ったり来たりしながらの発熱外来。こっちも熱が出そうです。

発熱外来受診者36人のうち、コロナの遺伝子検出検査(NEAR法)を行った方は16人。うち陽性4人でした。

まず感じるのは、「5類化」以前に比べて発熱者の検査率が激減したことです。

検査料が有料化されたためだけでなく、自分がコロナかどうかを知りたい方が減っているようです。

インフルエンザだろうと受診して、念のためにコロナも検査したら陽性だった、というケースも目立ちます。

そのような方の周囲にコロナっぽい人はいなかったそうですが、でも確実に、誰か感染者がいたんでしょうね。

いま医療機関は、当院のようにいわゆる「発熱外来」スタイルを続けているところばかりではなさそうです。

土曜日に他院で普通に診察と処方を受け、日曜日に当院でコロナと診断される方も、珍しくはありません。

前日の医療機関の院内で、どれだけコロナを拡散させたのだろうかと、少々心配になります。

当院では、発熱者をいちいち隔離するものだから部屋が足りず、血液検査や点滴などの処置がはかどりません。

もはやコロナを特別視しないのが世の方向性なのかもしれませんが、なかなか私は踏み切れないのです。

とりあえず、「院内トリアージ実施料」が算定できる8月末までは、まじめに「トリアージ」を続けます。

それ以降のトリアージ算定は認められないわけですから、コロナは完全に「風邪」扱いで良いのでしょうね。

定点把握で感染の推移を見る

新型コロナウイルス感染症が「5類化」されて初めての、定点あたりの感染者数の集計結果が昨日出ました。

厚労省は、定点に指定した医療機関が昨年10月以降これまでに報告していた感染者数を、再集計しています。

これにより、感染者の実数ではなく定点報告数によって、昨年以来の感染の推移を見ることができるわけです。

さらに、定点あたり報告数から都道府県や全国の新規感染者数を推定することも、理論的には可能です。

とは言え、5類化によってコロナ診療医療機関が増えれば、一医療機関あたりの感染者数は相対的に減ります。

定点医療機関の報告数からの推定値では、全体の感染者数が低く見積もられる可能性はあります。

それで思うのですが、診療報酬を請求するときに提出するレセプトのデータって、利用できないんですかね。

PCRなどのコロナの遺伝子検査を行った場合、結果が陽性か陰性かをレセプトに記入しなければなりません。

あれって何のためでしょう。医療機関に面倒なことさせるのなら、そのデータを利用したらどうですかね。

ついでに言うなら、何時何分に検査したかをレセプトに記入しなければならない面倒なルールもあります。

コロナ診療や統計解析の役に立つなら多少の面倒も我慢しますが、検査時刻の正確なデータって必要ですか?

まるで、医者の架空検査・架空請求を防ぐために作られた障壁みたいで、気分悪いですよ。

「5類化」第1週を終えて

5月8日の「5類化」後、新型コロナの日々の新規感染者数がわからなくなっています。

全数の把握は完全に終了し、1週間単位の「定点把握」、つまりサンプリング調査に切り替わりました。

毎日一喜一憂するのはやめて、大きな流れがわかればいいと決めたわけですから、慣れるしかありません。

その定点把握の「第1週」は5月8日(月)〜14日(日)、つまり今日までの1週間です。

この1週間の集計結果が、5月19日(金)に発表されます。だいぶタイムラグがありますね。

当院が定点医療機関であれば、この期間の新規感染者は5人と報告することになります。

その前の1週間は8人なので減少傾向がありそうですが、当院のデータだけでは統計学的な意味はありません。

日曜日の発熱外来受診者はまだ多いですが、「有料化」したコロナ検査は希望しない人がやはり増えました。

周囲にコロナはいない、症状も軽い、どうせ薬が無い、検査料が高い、などが検査を受けない理由です。

今日は陽性者が3人出ましたが、3人とも、周囲にコロナはいないけど、という方の念のための検査でした。

軽症の潜在感染者が、もうあちこちにウヨウヨいるのでしょう。まさしく、(狭義の)ウィズコロナですね。

陽性が出たら面倒、会社が休めない、という方も増えて来ました。これもコロナが軽症化したゆえでしょう。

発熱者のコロナ検査率は今後ますます低くなるでしょうから、定点把握の数値の正確性もかなり疑問です。