「ナッツ」アレルギーが意外と多い

この時期、食物アレルギーの検査をご希望のお子さんが多く、必要な項目を厳選して血液検査をしています。

卵や牛乳や小麦に次いで、よく検査項目に上がるのがナッツですね。最近は甲殻類より増えてる印象です。

おさらいしておきますと、「ナッツ」は木の実(種)です。殻が固い場合は、その中身(仁)を指します。

クルミやアーモンドやカシューナッツやヘーゼルナッツやピスタチオは、みなナッツの仲間です。

一方で「ピーナッツ」は豆です。大豆などと同じ豆科です。煎るとナッツっぽいので、混同されがちです。

ただし、ピーナッツはとくに重要なアレルゲンなので、ナッツと同時に検査することはよくあります。

そして、ナッツのうち1つか2つか3つのアレルギーが陽性でも、ピーナッツは陰性のことが多いようです。

私は毎晩ブロッコリー1株食べていますが、ドレッシングがわりにナッツをトッピングしています。

ドレッシングをかけていた時期もありましたが、どの味にも飽きてしまったのです。

好きなナッツはアーモンドとピスタチオ。クルミとヘーゼルナッツは味がしまらないので嫌いです。

最近トッピングによく使うのは、アーモンド単独か、コストコの「ミックスナッツ」あたりでしょうか。

その「ミックスナッツ」には、ナッツが5種類入ってますが、たしかにピーナッツは入っていませんね。

ピーナッツが何かと混ざっているとすれば、それは柿の種です。種ですがナッツとは言えません。

不気味に増えつつあるコロナとインフル

コロナが「5類化」して定点あたりの毎週の報告数で集計されるようになり、2週目の分までが公表さています。

熊本県では、先々週(5/8〜14)が定点あたり2.06、先週(5/15〜21)は2.30と、ジワッと増えています。

熊本市でも同様で、先々週1.60から先週1.76に、やはり増えています。

もしも当院が定点医療機関であれば、先々週は5,先週は7、今週は9という報告数になるところです。

定点医療機関の数が地域毎に異なるため、定点あたりの報告数を地域間で厳密に比較することはできません。

あくまで、同一地域における経時的推移を見るための指標です。

ただ、コロナとインフルは同じ医療機関が定点となっているため、互いの数を比較することはできそうです。

そのインフルエンザの定点あたり報告数も、熊本県では先々週は2.72、先週は3.05と増えています。

熊本市も同様で、先々週1.88から先週2.44と、こんな時期なのにけっこう増加しつつあります。

コロナもインフルも共に、同じような増加率で感染者数が増えているとは、なんとも不思議なことです。

インフルエンザが2シーズンまるで流行しなかったのは、やはりコロナ対策が効いていたのでしょうか。

世の中がウィズコロナに向かい、マスクも外したタイミングでのインフル流行とは、皮肉なものです。

コロナワクチン6回目接種体験記(参考にはなりませんが)

昨日モデルナを接種した私は、左肩がそこそこ痛みますが、カロナール多量服用の効果か熱は出ていません。

さて、ワクチン接種後の発熱とコロナ感染による発熱については、昨日も書きました。

いずれも、コロナウイルス(のスパイク蛋白)という異物に対する生体反応という点では、共通しています。

発熱によって免疫細胞を活性化するのが目的ですが、一般にウイルスは熱に弱いので発熱は好都合なのです。

昨日紹介した研究は、オミクロン株のウイルスがデルタ株よりも格段に熱に弱くなった点を示したものでした。

なので、発熱したらすぐに解熱せずに様子を見るという、これまでの風邪やインフルの対処法が一層有効です。

また、寒気がして震えている発熱の初期には、からだを温めて早く目的の体温に到達させるのが良いはずです。

水分は十分摂り、熱が上がりきってから、あちこち冷やすなり解熱剤を使うなりすればよいのでしょう。

「はしかは冷やすな」といって、厚着させて熱をこもらせて麻疹を治そうという一種の迷信が、昔ありました。

脱水の危険がある「民間療法」ですが、発熱のごく初期に限れば、理にかなってるのかと少し思ったりします。

そんなわけで昨晩は、接種後の体を十分温めて免疫系を活性化しようと、じっくり熱めの風呂に入りました。

と言いながら、カロナール飲みまくったんじゃ、意味ないですけどね。

「増悪」は「ぞうあく」で、「憎悪」は「ぞうお」

「急増「心不全」が危ない! “不治の病” 回避最前線」

こう題して、今日のNHK『クローズアップ現代』が、心不全の早期発見や予防法について紹介していました。

「心不全」とは、心臓の働きが全(まっと)う出来ていない(=不全)状態のことで、原因はさまざまです。

その心臓の働きで最も重要なのは、全身の細胞に「酸素」を届け、各細胞にエネルギーを与えることです。

酸素不足によって身体機能が低下し、運動能力が低下すれば労作時には息切れが起きやすくなります。

「急性心不全の多くが 慢性心不全の急性増悪である」というのが、最近の考え方です。

ここで「急性増悪」とは見慣れない言葉かもしれませんが、文字通り「急に悪化すること」です。

番組中では、その心不全の進展ステージについて、よく使われる図解を引用した説明がありました。

ところがその図解の中で、大事なワード「急性増悪」と書くべきところが「急性憎悪」と書かれていました。

数分後に、番組中で桑子真帆アナが口頭で次のように訂正しました。

「キュウセイゾウアクという文字の『ゾウ』という字が間違っていました。正しくは『増える』という字です」

ここはやはり、「○増悪 ×憎悪」とテロップを出すべきでしょう。口頭でサラッと言われてもわかりにくい。

「憎悪」では、あまりにも恥ずかしいので、敢えてわかりにくく訂正したのかと勘ぐってしまいます。

実はこれ、私が学生時代に何度も教えられた、間違いやすい表現のひとつです。

なので教育的観点からも、NHKは何をどう間違えたのか、正誤を比べてきちんと説明した方が親切でした。

コロナとインフルの重複感染は、予想以上に多いかも

建国記念の日。さすがに祝日ともなると、発熱外来もかなり混み合います。

朝9時台には、夕方までの予約が埋まりました。相談センター等からの紹介は、早々に止めていただきました。

当院ではこのところ、インフルエンザの感染者数がコロナを上回っています。たぶん全国的にそうでしょう。

そんな中で今日もまた、コロナとインフルの両方で同時に陽性が出た方がいました。

感染のタイミングが同時とは限らないので、「同時感染」というより「重複感染」と呼ぶべきかもしれません。

高熱が出てインフルの検査のみを希望する方が多いですが、つねに重複感染を考えておく必要があります。

ただ、高熱でぐったりのお子さんに、インフルだけでなく念のためコロナも調べるかどうかは悩ましいところ。

たぶんインフルだろうと思うし、両方検査するには綿棒を2本使うことになるのも嫌われます。

周囲でインフル流行中で、高熱が出たのでインフル検査して陽性という場合、もはや重複感染など疑いません。

そんな具合に、コロナの重複感染が見逃されてしまうケースが、今後は増えることでしょう。

重複感染が判明したらしたで、悩ましいのはコロナの療養期間をどう考えるかということです。

2日前から発熱、今日検査したらインフルとコロナが陽性。さて、コロナの発症日はいつでしょう。

もしかすると、コロナはまだ発症すらしていないかもしれません。

・・・などという面倒な話も、5月8日からコロナ感染者の行動制限が無くなれば解消するのでしょうかね。

コロナの定点医療機関は、インフルの定点が「兼任」

新型コロナ「5類」移行後の感染動向把握は、インフルエンザの「定点医療機関」が担うことに決まりました。

このことは、昨年9月の「全数届出の見直し」の頃には、すでに具体的な議論が始まっていたようです。

どのような定点を設定すれば「全数届出」を反映するか、「HER-SYSデータ」を用いて検討されました。

少数のデータによって全体を推測するためには、「平均的な」医療機関を定点としなければなりません。

ところがコロナは、特定の医療機関に受診者や感染者が集中する傾向があります。

第5波頃には、10%の医療機関が、コロナ全体の80〜100%(地域により異なる)を診療していたようです。

これが第6波では60〜80%、第7波では30〜60%程度にまで下がって来たと分析されています。

つまり、コロナを診療する医療機関が広がって来たわけで、定点での把握が可能な状況になったと言えます。

当院は、インフルの定点医療機関ではないので、コロナの定点にもならないはずです。

ただし、医療提供体制の実情に応じて定点を調整するそうですが、当院を選ぶと偏るのでダメですよ。

もしも当院がコロナの定点なら、今年第1週からの報告数は、60→61→45→39→23という推移になります。

同様にインフルの場合だと、8→17→17→13→32という報告数になるので、たぶん平均的ではありません。

インフルがコロナを駆逐する?

「潮目が変わった」とはこういうことでしょうか。今日の発熱外来は「インフル一色」でした。

隣の薬局の「抗インフルエンザ薬」の在庫が心配になるほどでした。

コロナの検査(NEAR法)30人中で陽性わずか3人(10%)に対し、インフルは25人中18人(72%)が陽性。

当院の発熱外来で、インフル陽性者数がコロナ陽性者数を上回ったのは今日が初めてです。

上回ったどころか圧倒的にインフル優位となるという、いきなりの大逆転です。

先週1週間のコロナ陽性者は31人でインフル陽性者は15人だったので、これはホントに急な変化だと思います。

コロナかインフルか不明だけど学級閉鎖中、というお子さんはみな、コロナではなくインフルでした。

人の移動が増えたというのにコロナは減り、一方でインフルが激増しているのはなぜでしょう。

いや逆に、インフルが増えたからこそコロナが減ったと考えることもできます。

もしかすると、インフルがコロナを駆逐する、2年前とは逆パターンの「ウイルス干渉」かもしれません。

このままコロナがすっかり終息するようなことでもあれば、インフルのおかげ、っていうことになりますか。

映画『宇宙戦争』で、人類に対して猛威を振るう宇宙人が地球の「風邪」に倒れた最後を思い出しました。

コロナが完全に消え去るとは思いませんが、もしや大きな転換点ではと、いま少し期待してもいるのです。

インフルエンザは注意報レベルでコロナと同程度

発熱外来受診者は一頃よりもずいぶん減ってきましたが、インフルエンザが増えましたね。

熊本市の定点あたりインフル報告数は、今年第2週(1/9〜15)に10を超え、注意報レベルに達しています。

ただし、第2週の11.96に対して、第3週は11.52なので、爆発的大流行に向かっている雰囲気ではありません。

本日の発熱外来受診者21人のうち、コロナ陽性者6人、インフル陽性は5人。インフルはすべてA型でした。

インフルエンザの方は全員38度以上の発熱を認めましたが、コロナの6人のうち2人は微熱でした。

あらためて先月中旬のインフル陽性者34人を調べてみると、熱の最高値が38度未満はわずかに3人(8.8%)。

一方で同じ時期のコロナ陽性者110人では、26人(23.6%)が微熱でした。

コロナには軽症者や無症状者も多いですが、インフルエンザではほとんどの方が高熱でグッタリです。

その点だけを見れば、コロナはすでに、季節性インフルエンザよりも症状の軽い感染症なのかもしれません。

近隣の小学校では、学級閉鎖も出ています。

しかし当事者に尋ねると、コロナかインフルか、どちらが原因の学級閉鎖かわからないと言います。

休んでいる児童の数は多いけど、その病名が正確に把握できていないのでしょう。

コロナと思ったらインフル、あるいはその逆の方が、今日もいました。

家庭や職場で出ている感染症とは違う方が陽性に出るようだと、今後の混合感染が心配になります。

少なくともしばらくの間は、コロナとインフルはなるべく同時検査すべきでしょう。

「マスクは不要」と言うけれど

新型コロナ感染者に限らず、健康で症状が何もなくても、これまで日本ではマスクの着用が「必要」でした。

多くの場所でマスクを着けるのがマナーであり、実質的に義務でした。そのマスク着用の目的は2つ。

(1)自分が感染するのを防ぐため

(2)他人に感染させるのを防ぐため

それがこの春からは、屋外はもとより屋内でも、マスク着用を「原則不要」とする方針に転換するようです。

もちろん、今後もマスクを着けるのは自由です。とくに次のような思いが強いなら、着用を考慮すべきです。

(1A)できるだけ感染したくない

(2A)できるだけ感染させたくない

とは言え、マスクが「原則不要」ともなれば、着用しない自由がこれまで以上に尊重されることになります。

極論するなら、次のような考え方も、ある程度は許容しなければならないということです。

(1B)感染してもしょうがない

(2B)感染させてもしょうがない

その結果、感染したくない方と、感染させてもしょうがないと考える方が、世の中に混在することになります。

マスクの効果は限定的となり、あちこちでいさかいを生みかねませんが、それもしょうがないのでしょう。

ただし、公共交通機関や医療機関等では例外的に、従来通りのマスク着用が当面は続けられると考えられます。

しかしそのような場所ではなくても、(1A)の方が守られるような「モラル」が醸成されることを願います。

感染者数が多いから、死亡者数も多いのです

新型コロナの全国の1日あたり死亡者数が500人を超えました。

感染者数は過去最多ではないのに、死亡者数が過去最多を更新し続けているのは、なぜでしょう。

いまの流行株の死亡率がどんどん高くなっている、という話は聞きません。この先はわかりませんが。

となれば、感染者数が過去最多を更新し続けている、と考えるしかありません。

尾見会長は、「感染者の届け出の方法が変わったことが背景にあると見られる」と婉曲に説明しています。

そうでしょうとも。昨年9月26日の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4010.html" target="_blank" title="「全数届出廃止」">「全数届出廃止」</a>以来、感染者数が正確に把握できなくなっているのです。

基礎疾患の無い軽症者は医療機関を受診しないのが原則なので、医療機関が感染者を把握しにくくなりました。

社会経済を回す方向に国が舵を切ったので、仕事を休まないためにも、検査を受けない方がおおぜいいます。

入院給付金が出なくなった方々にとっては、検査して診断を受ける意義も薄れてしまいました。

発症しても医療機関を受診せず、まずは自宅で抗原検査をする、というのが国の勧める対処法です。

これによって、偽陰性の多い抗原検査で済ませてしまうことが多くなり、潜在感染者が激増しているのです。

当院の発熱外来でも、症状が軽い方を念のため検査したら陽性、というケースが増えています。

今週から「NEAR法」による検査装置を導入して、陽性率の高さには驚く毎日です。感染者数は多いのです。