左利き

ワクチンは、左腕に接種することが多いです。

あとで痛むかもしれないので、利き手ではない方に接種しておくわけです。

ただし左利きの方は、右腕への接種を第一選択にします。

当院のワクチン接種台帳には、利き手を記載する欄を作っています。何かの役に立つかもしれないので。

右利きは「R」左利きは「L」をチェックします。

最近は「B」も作りました。「両利き」の意味です。

こどもの頃は、両利きにあこがれました。

きっかけは水森亜土。かつて一世を風靡した、イラストレーター(マルチタレント?)です。

両手で同時にイラストを描くのが彼女の特技でしたが、これはむしろ、脳の特性なのかもしれません。

いま何歳なんだろうと、失礼ながら調べてみたら、72歳でした。まだ(失礼)ご活躍中のようです。

世の中はおおむね、左利きには不便にできています。

外科手術に携わっている頃、右利きで良かったとつくづく思いました。道具が全部、右利き用だからです。

しかしまた、両利きであればもっといいのに、と思ったこともあります。

手術操作上、両手に器用さが求められる瞬間が時々あるからです。

あるいは、右向きに深く腕を挿入して何らかの操作を行う場合、その時だけは左利きが有利です。

お子さんの左利きを矯正する方には、くれぐれも、左手の器用さも保つようにお願いします。

将来きっと役に立ちます。

血液型と性格

血液型と冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)の発生頻度には、関連があるそうです。

その発症頻度をO型と比べると、A型は1.06倍、B型は1.15倍、AB型は1.23倍だったとのこと。

約9万人を20年以上にわたって追跡調査した<a href="http://atvb.ahajournals.org/content/early/2012/08/14/ATVBAHA.112.248757.short" target="_blank" title="研究論文">研究論文</a>を、友人がFacebookで紹介していました。

これを読んで私は、血液型と性格との関連性も、あながち否定できないように思えてきました。

 A型=神経質=だから冠動脈疾患になりやすい

 B型=マイペース=だからまじめに健診を受けない

 AB型=両方の性格を併せ持つ=冠動脈疾患になりやすいくせに、健診を受けない

ま、これは冗談です。でも考えてみると、本当に何か科学的裏付けがありそうな気もします。

従来、血液型と性格の関連性には科学的根拠が無く、おおむね「迷信」と考えられてきました。

しかし科学的には、物事を完全否定するのは、肯定することよりも難しいはずです。

ABO式血液型を決定する遺伝子は、23対の染色体のうち、第9番染色体に存在します。

一方で性格は、遺伝と環境の2つの要因によって決まると言われています。

そしてその遺伝的要因も単純ではなく、複数の遺伝子が関与していると思われます。

性格に関わる遺伝子のうちの重要ないくつかが、第9番染色体上に存在する可能性もあります。

そうなると、血液型と性格が、ある程度相関する可能性が出てきます。

この遺伝子が解明されたら、「血液型別性格診断」は、もう「迷信」ではなく「科学」です。

さて、次は「星座」と「性格」の科学的関連性です。これを解明するのは、かなり難しそう。

心臓外科医不足

熊日新聞の「読者のひろば」に私が5/20に投稿した文章が、今朝の紙面に掲載されたので、ここに転載します。

 熊大心臓外科の医局員不足が大きく報じられました。その原因は二つあると私は思います。ひとつは診療科による医師の偏在、もうひとつは心臓外科特有の問題点です。

 医師は毎年数千人増えているのに、部署によっては医師不足が深刻です。忙しい診療科の医者のなり手が少ないからです。とくに近年の医師研修制度によって、研修医は先輩医師の生活を目の当たりにした結果、現実的な選択をする傾向が強まりました。拘束時間が長くリスクも多い診療科と、そうではない診療科の医師とで、勤務医の給料がほぼ同じであることも問題。過酷な労働に見合った報酬にすべきです。

 心臓外科医としての技術を保つためには、年間50から100例の執刀を続ける必要があるとされています。それを満たす医師の数は、各医療機関にせいぜい2,3人。手術総数があまり多くない施設では、若手心臓外科医をどのように育てればよいのか、頭を痛めています。

 多忙、薄給、ハイリスクで、一人前になるのも困難な心臓外科。今回のことは、熊大に限った問題ではありません。志のある若者が心臓外科医になる道を閉ざさないために、医療行政と医学教育の両面からの制度改革を望みます。

脱法ハーブ

脱法ハーブを吸って運転したひき逃げ犯が、危険運転致傷罪で送検されました。

このニュースを聞いてまず思ったのは、もっと重大な結果をもたらした例の亀岡市の「事故」が、どうして危険運転にできないのか、ということ。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-202.html" target="_blank" title="以前にも書いた">以前にも書いた</a>ことなので、今日はここまで。

もうひとつ思ったことは、「薬物」摂取後の運転について。

危険運転と認定するための要件として刑法では、

「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ」た場合を、筆頭に上げています。

アルコールも脱法ハーブも、それによって正常な運転が困難であれば、これに該当するわけです。

注意すべき点はその薬物が、違法・脱法なものであることは必要条件ではないと言うことです。

例えば風邪薬を飲んでひどい眠気がきたら、それは「薬物」の影響で「正常な運転が困難」になった状態です。

なのでそれを無理して運転して、事故でも起こしたら、危険運転とみなされても仕方ありません。

処方する医師や薬剤師は「眠くなるかもしれないので、運転には注意してください」と注意喚起しています。

しかし最大限に安全を考慮して、「運転前は内服禁止」と言っておいた方がよいかもしれません。

「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」は、アルコールに限った話ではないのです。

締め切り

売れっ子漫画家でも人気小説家でもないのに、締め切りに追われる日々を送っています。

ブログを毎日更新し続けているからです。自業自得です。

ネットで新聞コラムをみると、脱稿時間っぽい時間が書いてあり、たいてい深夜1時前後です。

この人達は、絶対に穴を開けられないので、毎晩大変でしょうね。

人間というモノは、と一般化すると怒られそうなので少なくとも私は、締め切りが有ると無いとでは、集中力が違います。

かつて、学会の演題申込は、締め切り前になって毎度ドタバタしていました。

最近は、ネットで演題登録するのが当たり前ですが、昔は申込用紙を郵送していたのです。

その演題抄録を印刷する用紙がまた、プリンタにもセットしにくい変形用紙。

行数と一行の文字数と文字の大きさが指定されていて、印刷をミスるとアウト。

早くから準備すれば良いのに、なぜか2,3日前から取りかかります。

やっとまとめ上げても、教授や指導医のチェックで書き直し。

たいてい締め切り前夜に完成、印刷。ダッシュで郵便局に持ち込み、速達で郵送。

あとでミスプリに気付き、学会事務局に電話して、後日訂正の申込書を郵送したこともしばしば。

訂正の場合には、締め切りを過ぎていても認めてもらえました。

この仕組みに気付き、とりあえず未完成でも期限内にいったん申込書を郵送し、あとで本物の申込書に「差し替える」などという、実質的に締め切りを延長する「裏技」を使ったこともありました。

こんなことしちゃ、いけませんねぇ。