コレステロールと食事

「コレステロール:『気にせず食べて』動脈硬化学会が声明」という毎日新聞の記事にひとこと。

日本動脈硬化学会はたしかに、昨日、「コレステロール摂取量に関する声明」を出しました。

「コレステロール摂取制限をしたら血中コレステロールが下がった」という証拠はない、と書かれています。

しかし解釈を間違えてはなりません。証拠がないから間違っている、ということにはならないのです。

摂取制限をしても、血中<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1256.html" target="_blank" title="LDLコレステロール">LDLコレステロール</a>が下がるかどうかには個体差が大きい、という話なのです。

こんな例え話はどうでしょう。「カップ麺の摂取を制限したら血圧が下がるか、ガッテン大調査!」

被験者は10人。1カ月間、一切カップ麺を食べない生活を送ります。さて、血圧はどうなるか。

一部の人は、血圧が下がるかもしれません。どんな人かと言えば、

(1)日頃から、毎日のようにカップ麺を食べている人

(2)すでに血圧が高い人

しかし、全被験者を平均するとおそらく、血圧には変化なし、ということになるでしょう。

だからといって「カップ麺、気にせず食べて」と、言ってしまうのは早計です。

コレステロールの摂取制限も同じこと。

(1)日頃から、コレステロール食を多く摂る人

(2)すでに高コレステロール血症の人

このような方には、摂取制限が有効かもしれません。まずは、摂取制限をして調べてみるべきです。

それと同時に重要なことは、コレステロールだけでなく、食事内容全般を見直すことです。

動脈硬化学会の声明をきちんと読めば、そのようなことはすぐにわかります。

ところが新聞記事では、冒頭のような見出しになってしまうのです。

これでまた、食事指導がやりにくくなります。

ギックリ腰

芸能ニュースでは、柳沢慎吾のギックリ腰が話題かもしれませんが、その前に、私がギックリ腰です。

昔、ギックリ腰だと思った<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-279.html" target="_blank" title="腰痛">腰痛</a>は、その数年後に、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-143.html" target="_blank" title="尿管結石">尿管結石</a>であったことが判明しました。

だから今回が、私の生まれて初めてのギックリ腰なのです。

先週某日、洗顔中のこと。前屈みになったとき突然、腰に「ギッ」という電気が走りました。

瞬時に私は、ギックリ腰と察知し、直ちに腰を伸ばしたため、電気はそこでストップ。

私の腰痛は、ギックリ腰には至らず、「ギッ腰」または「ギック腰」程度で済んだかに、思えました。

ところが痛みは徐々に強まります。さいわいその日は休診日。さっそく某整形外科に行きました。

レントゲン検査で異常なし。診察もそこそこに、コルセット装着と鎮痛剤・湿布薬の処方を受けたのでした。

その後腰痛は、3,4日でほぼ消失。コルセットも内服薬も中止できるまでに改善しました。

さて、腰痛でも肩関節痛でも、急性期を過ぎたらこんどは、適度なリハビリが必要となります。

患部を動かし、筋肉をストレッチし、局所の血流を改善して、病状の回復を促すわけです。

その、血流改善という部分に着目し、それならばと一昨日、深酒に臨んでみたのですが、これが大失敗。

アルコールによる血流改善はどうも、疼痛には逆効果のようです。どうしてなんでしょうね。

医師が奨める健康法

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-32.html" target="_blank" title="医者の不養生">医者の不養生</a>とは言いますが、医師自身が実践している健康法などには、一般の方も興味があるようです。

南雲吉則先生のような特殊な医者の、ストイックな健康法ではありません。

先週のテレビ番組「世界一受けたい授業」で、医師7万人アンケートで聞いたと題して、採り上げていたのは、

「お医者さんが健康のため食べるもの」

【1位】トマト、【2位】ヨーグルト、【3位】納豆、【4位】ブロッコリー、【5位】リンゴ

これは驚きました。このうち3つは、私が毎日欠かさず摂っているものじゃないですか。

1位のトマトは、毎朝飲んでいる、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1061.html" target="_blank" title="伊藤園">伊藤園</a>の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-552.html" target="_blank" title="1日分の野菜">1日分の野菜</a>」の主成分です。

2位の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1236.html" target="_blank" title="ヨーグルト">ヨーグルト</a>は、最近では自分で作って、毎日朝晩食べてます。

4位の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-921.html" target="_blank" title="ブロッコリー">ブロッコリー</a>にいたっては、毎晩1株まるごと食べてます。これはもう4年以上続けてます。

ついでに言うなら、茹でたホカホカのブロッコリーにプレーンヨーグルトをかけると、すごくマズいです。

これら3つの食品は、元はと言えば、私自身が健康によさそうだと思って始めたもの。

私の考えたことは結局、医者の多くが考えそうな、ありきたりの発想だったわけです。

じゃあ、あとは納豆とリンゴですか。とか言いながら、いちばんの好物はAppleだったりします。

いまから数時間後に開催される、Appleの新製品発表会が楽しみです。

酒は百薬の長か

「適度な飲酒は健康に良い」というこれまでの通説をくつがえす、ガッカリな研究が発表されました。

従来の定説を大ざっぱに言うなら、

(1)飲酒をする人

(2)飲酒をしない人

の2グループを比べてみたら(1)の方が(2)よりも健康だった、という話でした。ところが、

(A)飲酒をする人

(B)飲酒歴のない人

(C)飲酒歴はあるが訳あって飲酒をやめた人(いまは飲酒をしない人)

と分けて(A)と(B)だけを比べたら、飲酒の優位性が消えたということです。

つまり、訳あって飲酒をやめた人が、現在飲酒をしていない人全体の評価を下げていたわけです。

健康な人が飲酒をやめる理由は少なく、たいていは病気等をきっかけに、酒を飲まなくなると考えられます。

そのような、健康上の問題を抱えている人を一緒くたにして、飲酒をしない人としたのが問題だったのです。

しかしよく考えてみると、健康上の問題を抱えている人は、(1)にだって含まれているかもしれません。

厳密に比較したいなら、次のように分類するべきでしょう。

(ア)飲酒をしているが、本当は医者に飲酒を止められている人

(イ)飲酒をしており、医者からも飲酒を止められていない人

(ウ)飲酒歴のない人

(エ)飲酒歴はあるが、健康上の問題によって飲酒をやめた人

(オ)飲酒歴はあるが、健康志向のため自主的に飲酒をやめた人

健康上の指標が(イ)>(ウ)かつ(イ)>(オ)なら、間違いなく、飲酒は健康に良いと証明できますね。

どなたか研究してくれませんかね。

閉所嗜好症

クリスマスが近づきました。

数年前に購入した当院のクリスマスツリーも、今年はリニューアル。光ファイバータイプのものにしました。

光量がやや弱いですが、医療機関なのでまあいいでしょう。日が暮れて暗くなると、キレイにきらめきます。

さて昨日の朝のこと。私の視界の正面やや左に、キラキラ輝くドーナツが、突然現れました。

ドーナツの素材は小麦粉のようではなく、ガラスとアルミがらせん状にモザイクになった感じです。

30分間ぐらいでしょうか、しばらくきらめいていましたが、無視していたらいつの間にか消えていました。

目の病気?飛蚊症の親玉?などと考えているうちに、ハッと気づきました。これって「閃輝暗点」では?

片頭痛の前触れとして知られる閃輝暗点ですが、初めて経験してみると、ちょっと驚きますね。

おまけに頭痛を伴わなかったので、別の病気の症状の可能性もあるかも。脳梗塞とか???

急に気になってきたので、休診日の明日は、近所の脳神経外科で、頭部MRI検査を受けることにしました。

狭いトンネルの中に頭から奥深く入り、大きな騒音の中を、30分じっと動かずに過ごす検査です。

閉所恐怖症の人には耐えられないものでしょうが、私は大丈夫。むしろ少し楽しみにしているぐらいです。

私は子どもの頃から、狭いところで寝るのが好きでした。秘密基地みたいな閉鎖空間が大好きでした。

閉所恐怖症(claustrophobia)の逆の、閉所嗜好症(claustrophilia)なのかもしれません。

ただ、MRIって、もう少し検査時間が短くならないのですかね。検査の途中がすごくヒマでたまりません。

福山雅治になる

毎日毎日、もう何年続けてきたでしょうか、朝晩の入浴。夜は清潔と癒やしのため、朝は覚醒のためです。

宴会等で酩酊状態で帰宅したときには、夜の入浴は控えますが、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-488.html" target="_blank" title="朝風呂">朝風呂</a>だけは欠かしたことがありません。

寝ぐせ直しを兼ねた朝シャンから始まったのですが、いつしかゆったりと湯船にも浸かるようになりました。

ところが、ず〜っと朝晩のシャンプーを続けてきた私ですが、これが頭皮に良くないことを最近知りました。

皮脂を落としすぎると、かえって頭皮を傷めるとか。えっ、そんなこと常識?

そういえば夏には、炎天下で<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1052.html" target="_blank" title="ヘルメット">ヘルメット</a>かぶってサイクリングばかりしてました。あれも頭皮に悪かったか。

最近そういうことが、やたらと気になる年頃なのです。

ネットで調べてみると、シャンプー有害論が花盛りじゃないですか。もちろん真偽のほどはわかりませんよ。

タモリがシャンプーをしないという入浴法を披露し、福山雅治もそれを実践しているとか。知らなかった。

そこで今日から私は、シャンプーの基本方針を改めました。頭皮に優しいシャンプーも入手しました。

(1)シャンプーは1日1回まで。汚れを落とす意味では、夜に行う方が適切。頭皮マッサージも併用。

(2)たまには、ノーシャンプーの日を作る。翌日の毛髪状況が怖いので、休診日の前日に実行。

朝のシャンプーをしないのなら、朝風呂の意味が薄れます。というわけで入浴も1日1回。夜だけにします。

これで福山雅治(のような毛髪)になれるか。それともタモリ?

加圧トレーニング

テレビ番組で、郷ひろみの「加圧トレーニング」の風景が紹介されていました。

上腕や大腿をベルトで締めて血流を適度に減らし、負荷を強めるトレーニング法です。

筋肉の増強は、強い運動負荷(無酸素運動)における筋肉疲労からの、回復期に起きるとされています。

加圧トレーニングは、軽い筋肉運動でも無酸素運動に似た筋肉疲労を作ろうというものです。

理論的には面白いと思いますが、加圧コントロールが難しく、自己流で行うと血行障害等の危険もあります。

まあそれにしても、郷ひろみの、若さを保とうとする努力には驚くばかりです。

そういえば、これと少し似た原理のトレーニング法を思い出しました。「ハンドグリップ」です。

少し前に、NHKのためしてガッテンが取り上げていました。これは筋肉増強法ではなく、高血圧対策です。

ガッテン風に言えば、「タオルを2分握って1分休む」を左右2回ずつ行うだけで、血圧が下がるとのこと。

グリップ中に血流が減っていた筋肉に、力を緩めると一気に血液が流れ、血圧を下げる物質が分泌されます。

それが「一酸化窒素(nitric oxide;NO)」です。血管の内面を覆う「血管内皮細胞」から放出されます。

この物質はかつて「内皮由来弛緩因子(EDRF)」という、長ったらしい名前で呼ばれていました。

血管内皮から分泌されて、血管平滑筋を弛緩させる、正体不明の因子、というわけです。

ちょうど私が大学で研究している頃に、それがNOだと判明しました(私が発見したのではないですよ)。

見つかってみたら、ひどく単純な分子(だって、化学式もNOだし)だったので、とても驚いたものです。

ブロッコリーの効果

ほぼ毎晩<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-68.html" target="_blank" title="ブロッコリー">ブロッコリー</a>を1株食べる習慣が、少なくとも3年以上続いています。

これって、ギネス申請は可能なんでしょうか。いやしかし、たまに食べない日があるからダメですね。

先週の「ホンマでっか ! ? TV」では、ブロッコリーべた褒めでした。とくにその「抗がん効果」がすごいと。

この手の番組の内容を鵜呑みにするのもアレですが、ブロッコリーの発がん抑制作用は、よく聞きます。

「メチルメタンチオスルホネート(MMTS)」という成分が、いいらしい。

ところが、です。抗がん効果を期待するなら、ブロッコリーを茹でてはダメだと。

生のブロッコリーを「スムージー」にするのが良いと、うさん臭そうな亀井眞樹という人が言うのです。

ショックです。私は今まで毎日、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-239.html" target="_blank" title="茹でて">茹でて</a>食べてました。それに、スムージーって、いったい何なの? 

調べてみるとスムージーとは、果物と野菜などをミキサーで混ぜたものらしいですね。初めて知りました。

よろしい。では私も、ブロッコリーのスムージーとやらに挑戦しますか。

ところがさらに調べてみると、スムージーよりも、フレッシュ野菜ジュースの方がよさそう。

ジュースには繊維質がないので飲みやすく、有効成分(MMTSやビタミン類)をたくさん摂取できます。

そうでなくても最近、胃もたれがして、ブロッコリー1株食べるのが少し重荷なんですよね。

そんなことを考えていた折も折、今朝の日経で「スロージューサー」の特集記事を発見。神の啓示か。

石臼のような構造による低速圧搾方式のジューサーで、食材に熱が加わらないのが特徴とのこと。

これはまさに、MMTS摂取に最適じゃないですか。

日経のオススメは、シャープの「ヘルシオジュースプレッソ」。なかなかオシャレで良い感じ。

Amazonで見てみると「1点在庫あり」と。なぬ、ラスイチ? 冷静さを失って、発注してしまいました。

禁煙啓蒙CM

増税(=<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-43.html" target="_blank" title="タバコ値上がり">タバコ値上がり</a>)前ですが、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-856.html" target="_blank" title="禁煙外来">禁煙外来</a>を新たに受診する方は、思ったほど多くはありません。

テレビでJTのCMを見ていても、分煙とかマナーの話ばかり。まさかJTが禁煙を推奨するはずがありません。

そのJTに遠慮してか、日本ではタバコの害を正面から取り上げたCMがありませんね。

一方で外国の禁煙啓蒙CMを見てみると、激しいですね。グロいですね。オーストラリアとかカナダとか。

タイのCMはその点、心情に訴える作品で、なかなか泣けます。基本的に、タイのCMは泣けます。

健康上の問題は疑う余地もない喫煙ですが、「自己責任」という理屈によって、合法とされています。

しかし受動喫煙は、周囲の人間に健康被害をもたらすものであり、その意味では違法でしょう。

外国の調査で、両親が喫煙する家庭で育った子どもに、動脈硬化が起きていることが明らかになりました。

この研究によると、そのような子どもの血管年齢は、そうでない子どもより3.3歳「老けている」そうです。

問題なのは、このような病的変化が不可逆的であり、その子の成人後まで続くということです。

ところで面白いことに、片親だけが喫煙者の場合には、前述したようなリスクが認められなかったそうです。

両親が喫煙者の場合、子どもの前で堂々と吸い、一方だけだと、離れて吸うからだと推測されています。

わが子に受動喫煙させてしまうことへの罪悪感は、夫婦がともに吸うことでぼやけてしてしまうようです。

入浴中の低血圧

患者さんの血圧記録手帳を見ると、とくに寒かった朝などは、血圧が跳ね上がっています。

逆に、夜の血圧が驚くほど低い日があります。尋ねるとたいていは、入浴後や飲酒後に測った血圧です。

湯船でからだが温まると、末梢血管が拡張するので血圧が下がるのです。

しかし一方で、浴槽の水圧によって静脈圧が上がり、これは血圧を上げる方向に作用します。

この状況で湯船から立ち上がると、静脈圧が下がって血圧が急降下し、立ちくらみを起こすことがあります。

とくに高齢者では、起立時に血圧を調整する自律神経の働きが鈍っているので、失神する場合もあります。

湯船でじっくり温まっているだけでも、血圧がだんだん下がり、のぼせて気が遠くなることがあります。

のぼせて脱力して水没したとき、とっさに姿勢を立て直す動きが、高齢者では鈍っているかもしれません。

立ちくらみでものぼせでも、それが浴槽の中で起きると、とくに高齢者では溺れてしまいかねません。

統計によると、入浴中の死亡の約半数は、急病(心筋梗塞や脳卒中など)ですが、残りの半分は溺死です。

欧米では、入浴中の死亡が極めて少ないそうです。シャワー浴だからです。

一方で日本は、湯船に浸かる入浴スタイルが血圧を大きく変動させるので、実は危ないのです。

入浴中の事故を防ぎ、また万一の場合の発見率・救命率を上げるための対策を、考えてみました。

(1)「飲酒後の入浴禁止」 飲酒後には血管が拡張して、ますます血圧が下がるので、入浴は危険です。

(2)「入浴前の水分摂取」 発汗による脱水で血圧が下がるのと、血液がドロドロになるのも防ぎます。

(3)「家族に通告し入浴」 なかなか風呂からあがってこないとき、家族に発見・蘇生してもらうため。