ワクチンは同時接種がオススメ

新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種を希望する方は、意外に多いですね。

今月これまでに当院でコロナワクチンを接種した85人のうち、35人(41%)がインフルも同時接種しました。

これは、コロナワクチンの接種を受けた方のほとんど(78人=92%)が高齢者だったからかもしれません。

同じ日に接種ができることは、両方のワクチンを早く接種したい方にとっては、都合の良いことです。

以前は「14日」の接種間隔が必要でしたが、いまは「14日未満」でもOKとなり、同日もこれに含まれます。

日程を気にせず、コロナとインフルを別々の場所(医療機関や職場等)で接種することもできます。

子どもの定期予防接種でも、かつての厳しい接種間隔規則は緩和されて、とても接種しやすくなっています。

以前はすべてのワクチンで、同時接種はOKだが翌日接種はダメ、という時期がありました。

さらに同日でも別の時間帯はダメ。連続した時間帯に、同じ医療機関で接種しなければなりませんでした。

同日が良くて翌日や別時間帯はダメだという、医学的根拠に乏しい規定がやっと見直されたわけです。

さてコロナワクチンは、いまのところインフルエンザワクチンとの接種間隔のみ、規定が撤廃されています。

コロナはおもに成人が接種するのでそれでも良いですが、他のワクチンがダメな理由は、多分ありませんね。

同時接種が問題無いことを裏付ける研究が、他のワクチンではあまり行われていないだけでしょう。

話は変わりますけど、いま予防接種で変えてほしいのは帯状疱疹ワクチンの納入価格です。

テレビのCMで接種する気にさせておきながら、異常に高額な料金設定は詐欺ですよ。(※当院では4万4千円)

土曜の午後は、ワクチンタイム

今日の午後は、一般診療をお休みして予防接種だけを行いました。去年もこの時期、同じような事をしました。

1時台はコロナ、2時台は小児の定期接種、3時から6時まではインフルエンザワクチンの接種を行いました。

コロナとインフルエンザの両方の接種希望者が多いこの時期、今日のような集中接種日の設定が必要なのです。

両ワクチンの同時接種は、コロナワクチンの接種枠でのみ行いました。

コロナワクチンは、当院での接種歴のある方に限定して接種しているので、そのような運用になります。

本日当院でインフルエンザワクチンを接種した方は、他院等でいつでもコロナワクチンを接種できます。

インフルエンザワクチンとコロナワクチンの接種間隔において、規定(制限)が無いからです。

最近、HPVワクチンの接種希望者が増えました。夏休みに接種を始めた方は、今頃2回目の順番が来ます。

HPVワクチンとインフルエンザワクチンの接種間隔においても、特段の制限はありません。

しかし、HPVワクチンとコロナワクチンの接種は、2週間の間隔を空けなければなりません。

元々インフルエンザワクチンも、コロナワクチンとの接種は2週間以上の間隔を空ける規定がありました。

しかしどちらの感染症も切迫していたため、迅速な接種が行えるよう、その規定が撤廃された経緯があります。

その医学的根拠を得るため、同時接種等を行っても問題無いかどうか、複数の検討(研究)が行われました。

であるなら、HPVワクチンだって、コロナワクチンとの接種間隔の規定を撤廃してもらいたいものです。

ただ、両方とも筋注なので、同時接種は両肩への注射となってしまいます。

同時ではなく、2週間以内の自由な間隔での接種ができるようになれば、ずいぶん助かるんですけどね。

「新しい新型コロナワクチン」の接種始まる

「今日から、生後6か月以上のすべての人を対象にしたワクチンの接種が始まりました」

メディアがそう報じているのは、今日から始まった新型コロナワクチンの「秋開始接種」のことです。

使用するのは、「オミクロン株XBB.1.5」対応の、最新のワクチンです。

「生後6カ月以上の初回接種を完了したすべての方」が接種対象だと、熊本市のサイトに明示されています。

つまり秋開始接種というのは、「新ワクチンを使った追加接種」のことです。あくまで追加接種限定なのです。

よって、初回接種(=1,2回目の接種)の場合は対象外なのですが、心配御無用。新ワクチンを接種できます。

(1)追加接種:生後6か月以上の人を対象に、今日から新ワクチンの接種制度が始まる(=秋開始接種)

(2)初回接種:生後6か月以上の人を対象に、これまで通り接種が行われ、今日から新ワクチンに切り替わる

秋開始接種というのは、追加接種における新しい接種制度を指す、お役所が定義した言葉です。

初回接種の場合は、その制度とは無関係に、たまたま同じ日から、同じ新ワクチンを接種することになります。

ですが、秋開始接種とは別に初回接種も実施されていることが、熊本市のサイトでは容易には読み取れません。

そもそも「秋開始接種」という、市民が誤解を招くような言葉遣いがダメなんですよ。

「令和5年秋開始接種」が始まります

新型コロナワクチンの「令和5年秋開始接種」が、9月20日(水)から始まります。

現在行われている「令和5年春開始接種」は9月19日に終了しますが、慌てて駆け込む必要はありません。

春に接種しなかった方(タイミングを逸した方や模様眺めをしていた方)は、秋に接種すれば良いのです。

秋開始接種は、初回接種(=1・2回接種)を終えた全ての方(生後6カ月以降)が対象ですから。

春に接種した方も、秋の接種の対象です。接種間隔は3カ月以上。

春の接種日が早い人から順に、秋の接種券が発送される予定です。

未使用(未接種)の接種券が手元にある方には、改めて接種券は届きません。

そのかわり、手持ちの接種券をそのまま秋開始接種に使うことができます。

その未使用の接種券を紛失した方は、9月8日以降に、接種券の(再)発行を申請することができます。

市内の各医療機関には昨日、熊本市から接種上限量の通知(FAX)が届きました。こういうのは必ずFAXです。

ファイザーもモデルナも、いずれも「オミクロン株XBB.1.5」対応の1価ワクチンです。

春開始接種で使われた、「オミクロン株BA.4-5」対応2価ワクチンよりも、新しい株に対応しています。

ただし、日本における流行株は7月時点ですでに、「XBB.1.5」ではなく「XBB.1.16」に変わっています。

しかも今月はもはや「EG.5.1」、さらに「EG.5.1.1」に置き換わりつつあります。

ウイルスの変異はどんどん進んでいるので、ワクチンはどうしたって最新流行株に一致するはずがないのです。

ただ、「XBB.1.5」対応ワクチンを接種しても「EG」株にも効くようですから、悲観することはありません。

今後もつねに最新のワクチンを打ち続ければ、最大の(それなりの)予防効果は得られるでしょう。

新型コロナ「XBB株」対応ワクチンを待つべきか

9月20日から、新型コロナワクチンの「令和5年秋開始接種」が始まることが、正式に決まりました。

現在流行中の「オミクロン株XBB.1.5」に対応した最新の1価ワクチンで、対象を限定せず接種できます。

一方で、いま接種を行っているのは「春開始接種」です。おもに高齢者や基礎疾患のある方が対象です。

当院では、当院での接種歴のある方に限定して、今月も「BA.4-5」株対応2価ワクチンを接種しています。

来月には「XBB」対応ワクチンが接種できるのに、旧世代の「BA.4-5」対応を接種するのは気が引けますが、

・XBBを待って「接種控え」するのは避けるべき

・BA.4-5を接種しても、XBB系統に対する一定程度の予防効果はある(という報告がある)

という理由から、9月19日までは従来のワクチンを積極的に接種することが推奨されています。

私がまだ6回目接種をしていなければ、この際、XBB対応ワクチンを待つかもしれません。

だって、いま流行している株のワクチンを打ちたいでしょう。

そして、XBBを打つなら早い方がいいですね。遅くなればまた流行株との食い違いが広がり、悔しいからです。

もうひとつ。本日8月7日から、初回接種(1回目と2回目の接種)に2価ワクチンが使える様になりました。

昨日までは、初回接種には「従来株(武漢株)」対応ワクチンしか使えなかったので、大きな進歩です。

いつかそうなるとは思っていましたが、なぜ今日の今日まで延びたのか、その融通のなさには呆れます。

ファイザーの2価ワクチンはいま、保健所に1バイアルだけ請求したら、オマケが2バイアル付いてきます。

規定通り1バイアルから6人分を吸引できなかった場合に備えての、予備だそうです。

接種希望者が多くなく、しかしワクチンは余っているので、そんな贅沢がまかり通っているのでしょう。

XBB対応ワクチンの流通を前にしての、従来ワクチンの在庫一掃状態なのかもしれません。

さて、インフルエンザワクチンはどうする

8月に入ると、インフルエンザワクチンの予約サイトの業者から、予約スケジュール調整の連絡が入ります。

こんな真夏からですかと例年なら思うところですが、今年は今まさにインフルが流行中という稀有な状況です。

10月から接種を始めるとして、今年も9月中にサイトを立ち上げ、9月下旬から予約受付を開始する予定です。

さて今シーズンも、ワクチンの接種希望者は多いのか少ないのか。どのように考えて計画すべきか悩みます。

コロナ禍になって、インフルエンザワクチンの接種は数奇な経緯をたどってきたので振り返ってみます。

2020年は、発熱したらコロナとの区別が付かないからと、インフルワクチンの接種が強く推奨されました。

当院での接種者は1344人、1653回(2回接種者がいたので)、65歳以上は191人(14.2%)でした。

この接種者数は例年よりもかなり多く、高齢者の接種割合も増えていました。

ちなみに「コロナ前」の2019年は、1057人に1382回接種していました。65歳以上は123人(11.6%)。

2021年は、前年にインフルが流行しなかったので、今度こそ流行するだろうという話も出ました。

しかし当院での接種者は1234人、1549回、65歳以上は182人(14.7%)と、2020より少し減りました。

2022年は、前年・前々年ともにインフルが流行しなかったことを受けて、接種者が増えると思われました。

ところが当院での接種者は多くなく、1062人、1316回でした。ただし、65歳以上は207人でした。

コロナワクチンが高齢者優先であるのと同じ発想で、インフルワクチンも高齢者に推奨されたためでしょうか。

さて今年、コロナと並行してインフルもダラダラと流行を続けている中、接種希望者が減るとは思えません。

十分量のワクチンを確保し、多めの接種枠を準備しておいた方が良いのかもしれません。

追加接種は急がない

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の接種間隔のことで、ときどき尋ねられることがあります。

以下は、4価(ガーダシル)または9価(シルガード9)のHPVワクチンの話として書きます。

規定では、1–2回目の間隔は標準2カ月(最短1カ月)、1–3回目は標準6カ月(2–3回目間は最短3カ月)です。

当院では、1–2回目を2カ月間隔、2–3回目は4,5カ月間隔で計画するようお勧めしています。

この、1–2回目は短めで2–3回目が長いのは新型コロナワクチンと似ていますが、同じ理屈によるものです。

1,2回目で初期免疫を付け、その免疫が低下する頃合いを見計らって3回目を接種するのが効果的だからです。

このような場合、最初の2回を「初回接種(2回なのに)」と言い、3回目を「追加接種」と呼びます。

この追加接種をまた「ブースター接種」とも言い、コロナのおかげで一般によく知られる言葉になりました。

同じ理由で、ヒブや4種混合や日本脳炎など他のワクチンでも、似たような接種パターンが規定されています。

新型コロナワクチンでは、3回目接種は当初2回目の8カ月後と規定され、やがて6カ月に短縮されました。

明確な医学的根拠はないものの、有効な「ブースター効果」のためには6カ月必要だと考えたからです。

それがどんどん前倒しされたのは、3回目を待っている間に感染するリスクを考慮したものです。

HPVワクチンも同じで、3回目は2回目からの間隔がある程度長い方が、強いブースター効果が得られます。

コロナとは異なり、HPV感染症がパンデミックというわけではないので、短縮するメリットはありません。

例外的に追加接種を短い間隔で行うことがあるとすれば、何か社会的理由がある場合に限ります。

定期接種は、開始は早めに(対象になったらすぐ)、間隔は長めに(規定範囲の上限で)、をお勧めします。

5月14日は種痘記念日

5月14日は「種痘記念日」でした。1日遅れて書くのはダサいかもしれませんが書きます。

イギリスの外科医エドワード・ジェンナーが、世界で初めて「種痘」を行ったのが5月14日だそうです。

と書くと、いまの若い方には、「種痘」って何でしゅと?、てことになりますか。

「牛痘」に罹った人は「天然痘」に罹りにくい事実を知り、牛痘の水疱の液を人に接種したのが種痘です。

それじゃあ「天然痘」から書かなきゃだめですか。「牛痘」は勘弁してください。

天然痘は、何千年も前から人類を苦しめてきた感染症で、水痘(みずぼうそう)に類猿のウイルス疾患です。

死亡率は高く合併症も多い恐ろしい病気でしたが、種痘によって地球上から撲滅することが出来ました。

子どもの頃、ジェンナーは我が子に接種を試したと本で読み、研究者のもとに生まれたその子に同情しました。

ところが後に、実は使用人の子に接種したのだと知り、それはそれで複雑な心境になりました。

欧米でも日本でも、天然痘と種痘の歴史は人々の苦悩と共にあり、じつに興味深いですね。

種痘は、フォンデュのフォークを尖らせたような太い二又針を皮膚に刺して接種し、醜い瘢痕が一生残ります。

日本では1976年を最後に種痘が廃止されたので、だいたい48歳以上の方(肩)にだけ、その瘢痕があります。

近年は生物兵器対策として、さらに最近は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3883.html" target="_blank" title="サル痘">サル痘</a>にも交差免疫が得られるので、種痘は期待されています。

でも、もしもサル痘が大流行して種痘の臨時接種が始まるとイヤですね。接種する側としては気が進みません。

「令和5年春開始接種」開始

「令和5年春開始接種」という枠組みの、新型コロナワクチンの接種が、全国的に一昨日から始まっています。

対象は高齢者などに限られます。これらの方は秋にも接種があり、今年度は「年2回接種」となります。

それ以外の方は「令和5年秋開始接種」の対象となり、「年1回接種」です。来年度のことは決まっていません。

当院では、2日遅れて今日から接種を始めました。私も「医療従事者等枠」で、6回目の接種をしました。

使用したのは「オミクロン株 BA4/5対応」の、モデルナのワクチンです。ファイザーは不足してるので。

6回目にして私には「初モデルナ」でしたが、他人に勧める以上、一度は自分も打っておこうと思ったのです。

と書くと偉そうですが、高熱はイヤなので、実はすでにカロナールを2回も飲んでしまったヘタレです。

解熱剤でワクチンの効果が減弱するとは思っていませんが、熱を完全にブロックしていいのかと少し不安です。

オミクロン株は、熱が高いとウイルスが増えないので重症化しにくいとの研究結果が、最近報じられました。

インフルエンザや風邪のウイルスでも同様の性質があり、やみくもに解熱しない方がいいと言われています。

もちろん、高熱によって脱水になったり体力を消耗することは不利なので、適度な解熱剤の使用は有益です。

ただ、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-461.html" target="_blank" title="発熱">発熱</a>したら反射的に解熱するのは、熱に弱いウイルスの思うつぼ。患者本人が元気かどうかが重要です。

とりあえず、ワクチン接種はウイルス感染とはまったく別物なので、今日は反射的に解熱剤を飲んでおります。

新しい9価HPVワクチン、好評接種中

孫がたまに家に来て、みんなで食卓を囲むことがあります。

よだれかけ、じゃなくて「スタイ」を着けてます。撥水性のある素材なので、汁物もガードできます。

なので「シルガード」って聞くといつもスタイを連想してしまうんですけど、この前置き要りませんかね。

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4193.html" target="_blank" title="9価HPVワクチン・シルガード9">9価HPVワクチン・シルガード9</a>」の接種を、今月から当院でも始めました。希望者は徐々に増えています。

新たに接種を始める方や、1,2回目まで済んでいる交互接種の方や、キャッチアップ接種の方もいます。

新型コロナワクチンは、熱狂的とも言える接種ブームは過ぎ去りましたが、来月から新制度が始まります。

このワクチンの「功罪」がさまざま言われる中で、私はHPVワクチン接種への好影響を挙げたいところです。

HPVワクチンに対して日本人は、官民ともに過剰なまでの拒否反応を示し、接種を事実上中断させていました。

副反応を疑った事象が科学的には「シロ」だと判明しても、「火のない所に煙は立たぬ」と忌み嫌ったのです。

そこへ、HPVワクチンよりも明確な副反応が報告されている、開発されたばかりの新型コロナワクチンが登場。

副反応よりもコロナの方が怖いという、至極真っ当な理屈が多数意見となり、人々は接種に殺到しました。

ついに日本人も、メリットとデメリットを天秤にかけ、科学的で客観的な選択をすることができたわけです。

となると、ほぼ世界中で長い間使われているHPVワクチンも、いまさら忌避する雰囲気ではなくなりました。

筋肉注射にも慣れたし、最近登場した9価ワクチンによって有効性もアップしました。

毎年3千人が亡くなる子宮頸がんの怖さだって、前から日本人にはわかっていたはずなのです。