国会審議

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-481.html" target="_blank" title="予防接種法の一部を改正する法律案">予防接種法の一部を改正する法律案</a>」の審議状況が気になり、国会のHPをチェックしてみました。

ていうか、国会とか省庁のHPを見て回るのが、マイブームなのです。

衆議院と参議院がそれぞれ独立しているように、両者のサイトも、思いっきり独立しています。

トップページには、お互いへのリンクすらありません。

議案の一覧表を見ると、全部で43の法案(法律案)が、現在同時に審議されているようです。

その中では、既存の法律の一部を改正する法律案の類が、いちばん多い。

たとえば公職選挙法、地方税法、電波法、健康保険法、道路法、港湾法、福島復興再生特別措置法などです。

戦没者等の妻に対する特別給付金支給法なんてのも、その一部を改正しようとしているようです。

国会議員の先生方におかれましては、すべての法案に、きっと十分に精通しておられるのでしょう。

予防接種法の詳細を理解するだけで苦労している私には、とうていマネできません。

ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンは、4月1日から定期接種となる予定です。

ただしそれは、「予防接種法の一部を改正する法律案」が今月中に成立した場合に限ります。

3月19日に衆議院の厚生労働委員会で可決され、昨日、衆議院本会議で可決、参議院に送付された模様です。

来週、参議院の厚生労働委員会に付託され、その後、参議院本会議で可決されなければなりません。

間に合うんでしょうかね、実質あと5日しかないんですけど。

月曜日からまた、やきもきしながら、参議院のHPを監視しなければなりません。マイブームですから。

BCG接種対象拡大

結核を予防するワクチン「BCG」の接種は、法律で規定された定期予防接種のひとつです。

その接種対象年齢(月齢)が、4月から変わります。

これまでの接種対象は「生後6月に至るまでの間にある者」と定められていました。

新生児でも接種できますが、とくに生後3カ月〜6カ月未満が「標準的」接種時期とされてきました。

重症結核の予防を考えたら、なるべく早めに接種すべきです。しかし副作用を考慮すると遅めがいいのです。

最近の調査では、生後4カ月までにBCGを接種すると、骨炎や骨髄炎が起きやすいことが判明しました。

そこで今回、接種年齢を「生後1歳に至るまでの間にある者」に広げたというわけです。

副作用を減らし、小児結核も防ぐ観点から、標準的接種時期は「生後5カ月〜8カ月未満」となりました。

環境が改善し、結核のリスクが減ってきた現在、副作用を減らす方向に接種時期をシフトするのは妥当です。

乳児早期に接種すべきワクチンの種類も増えたので、BCGを遅くできるのはスケジュール的にも好都合です。

しかし、これまでのBCG接種規定からは少し飛躍した改定であり、現場では多少の混乱が予想されます。

なにしろこれまで「5カ月までに接種して下さい」だったのが、「5カ月以降にしましょう」に変わるのです。

「早めに接種しましょうね」と言ってたのに、手のひらを返したように「早すぎない方がいいよ」なのです。

今までは何だったの、って話です。保護者の方には、きちんとした説明を行わなければなりません。

厚労省がこの方針を決めたのは昨年11月。改正政令が公布されたのが本年2月1日です。

私はそれ以後、多くのお子さんのBCG接種を4月以降に延期する方針とし、他の予防接種を優先しました。

その子たちはいま、BCG未接種のまま満6カ月を過ぎ、現行の規定には違反した状態に突入しています。

でも大丈夫。4月には再び、正規の接種対象に復帰することになるからです。ちょっとおかしな感じです。

予防接種研修会

熊本県庁で本日、予防接種研修会が行われたので参加してきました。

金曜日の午後2時からの会合というのは、医療機関(とくに医師)が参加しにくい、おかしな設定です。

と思っていたら、この研修会のおもな対象者は、自治体などの担当者、つまりお役人だったようです。

演者は、厚労省の厚生科学審議会の予防接種部会の委員の一人、宮崎千明先生(小児科医)でした。

国のワクチン行政の総本山みたいな会議の委員の講演を聴きに、熊本県内のお役人たちが集まったわけです。

そんな聴衆を相手に、ワクチン行政の現状や問題点と課題が、小児科医目線で少し批判的に語られました。

医学的には無意味な「日本独自の規則」がまかり通っていることなどは、ぜひ改善して欲しい部分です。

来年度からの予防接種法改正は、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-481.html" target="_blank" title="先日私が書いた">先日私が書いた</a>ように、ほぼ確実に進行中とのことで、安心しました。

幸いなことと言うべきでしょう、定期接種ワクチンは今後どんどん増えていきます。

しかしそれを、子を持つ親たちが「予防接種が面倒になってきたな」と感じるようではいけません。

「予防接種が充実してきたぞ」と前向きにとらえてもらえるような、啓蒙活動が必要ですね。

予防接種法改正へ

本日、通常国会が開幕しました。

この国会で審議される予定の、私の仕事に直接影響する法案のひとつが、予防接種法の改正案です。

ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がん予防ワクチンの定期接種化が、決まるはずなのです。

この3ワクチンは現在、「公費助成は行わているけど、定期接種ではない」という、宙ぶらりん状態です。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-264.html" target="_blank" title="以前にも書いた">以前にも書いた</a>ように、たとえ無料でも、定期接種にならないと接種率が上がらない事情があります。

厚生科学審議会の予防接種部会は、昨年5月に、それら3ワクチンの定期接種化を提言しました。

これを受け、法改正案が昨年の通常国会に提出される予定でしたが、政局のゴタゴタで立ち消えました。

秋の臨時国会にも提出されませんでした。「近いうち解散」騒ぎで、それどころではなかったからです。

現在の3ワクチンの公費助成は、今年3月末までの暫定的措置です。

改正案が成立し、4月1日から施行されるのでなければ、ワクチン事業が混乱する恐れがあります。

しかし、安倍政権がいま、最優先課題とするのは「経済再生」「震災復興」「危機管理」の3つです。

所信表明演説にiPS細胞の話は出てきましたが、予防接種や小児医療については触れられませんでした。

政局としては比較的安定しているのが幸いですが、はたして無事改正案は成立するのでしょうか。

国会審議から、目が離せませんね。

で、今日も国会中継を注視したのですが、どうしても奇異に感じるのは、例の議事進行係のパフォーマンス。

あれって、どうなんですか。サークルの集会じゃあるまいし。ふざけてませんか。見ていて小っ恥ずかしい。

間隔の問題

こどもの予防接種では、ワクチンごとに一定の「接種間隔」が定められていて、これがけっこうヤヤコシイ。

予防接種実施規則(厚生労働省令)によれば、たとえば三種混合ワクチンの初回接種の接種間隔は、かつて、

(1)「3週間から8週間までの間隔をおいて3回」

と定められていました。2007年にこの部分が見直されて、現在は、

(2)「20日から56日までの間隔をおいて3回」

となっています。(1)と(2)で微妙な違いがあるのにお気づきでしょうか。それを少し解説します。

予防接種に関連する法令で「間隔」と言うとき、2つの日付の間に挟まる日数を表します。

民法の「期間を定むるに(中略)期間の初日は之を参入せず」という初日不起算の原則に基づく考え方です。

なので(1)は「『3週間+1』日後から『8週間+1』日後」(=22日後から57日後)を意味します。

これでは3週間後の同じ曜日に接種できません。法令を遵守すると、1日ずつずれてしまうのです。

どうも庶民感覚とは合いませんね。不便だし間違いの元です。

厚労省の「予防接種に関する検討会」でのある委員の発言が、この問題を言い得ています。

「世間一般には1週間後に会おうといったら、やはり同一曜日に会うんです」(竹本桂一委員)

そのようないきさつで省令は改正されて(2)となりました。これは「21日後から57日後」を意味します。

最短の接種間隔が1日前倒しされ、同一曜日に接種可能となりました。「庶民」もこれで納得です。

最長の接種間隔はあえて前倒しされず、従来と同じにしてあるのは、接種可能日を狭くしない配慮でしょう。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-136.html" target="_blank" title="前から言ってるように">前から言ってるように</a>、民法の「期間の計算」規定って、どうも庶民感覚とは少しずれていますね。

ワクチン品不足

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-387.html" target="_blank" title="4種混合ワクチン">4種混合ワクチン</a>の定期接種が、本日から始まりました。もちろん当院でも今日から接種しています。

厚労省は、11月から今年度末までの4種混合ワクチン需給見通しを、以下のように試算しました。

(1)需要量:平成24年8月生まれ以降のこどもを対象として、105.7万回分+α。

(2)供給量:ワクチンメーカー2社(化血研と阪大微研)から、147万回分。

接種対象は満3カ月から。接種回数は、はじめに3〜8週間間隔で3回と、その半年後以降に1回追加の計4回。

今年11月から来年3月までの5カ月の間に満3カ月になるのは、今年8月から12月生まれの子です。

その人数は、統計上の1年間の出生数105.7万人から計算して、105.7万 x 5/12人。

年度内に2回目の接種を受けることになる人数は105.7万 x 4/12人、同様に3回目は105.7万 x 3/12人。

よって合計するとワクチン需要は、105.7万 x (5/12 + 4/12 + 3/12)=105.7万回分。

厚労省に限らず、お役人はこういう計算が好きですね。

計算通りにいくかどうかよりも、お役人には、何かを決めるための「根拠」が必要なのでしょう。

「+α」が付いているのは、7月生まれ以前のお子さんが接種することを想定したものです。

実はこれがかなり多いと、私は思っています。

品不足にならないように、ワクチンの流通が制限されています。その結果、本当に品不足になりました。

現在、このワクチンは異常に入手が困難な状況です。

誰か買い占めてないですか?

接種料金の設定

インフルエンザワクチンの接種料金は、医療機関が自由に設定できることになっています。

自由だからこそ、工夫の余地もあれば、悩む面もあります。

5年前の開院直後は、当院の宣伝も兼ねて、とにかく安くしました。これはある程度有効でした。

2年目はちょっと凝ったことをしました。

当院をよく受診される方に、あらかじめ暑中見舞いを送付し、それを予防接種の割引券にしたのです。

その結果、接種を開始してみると窓口は大混乱です。

「うちには暑中見舞いが来なかったのはどうしてか」というクレームが多数。ごもっとも。

3年目は、新型インフルエンザワクチンと、季節性インフルエンザワクチンのダブル接種の年。

新型の方は全国統一料金でかなり高い。よって被接種者の負担軽減のため、季節性はかなり安くしました。

4年目は、新型と季節性の混合ワクチン。おまけに統一料金制。

自分で料金を決めなくていいのが、こんなに楽だとは思いませんでした。

5年目の昨年から、ワクチン接種量が変りました。3歳未満0.25ml、3歳以上0.5mlの2段階。

したがって料金もそれに合わせて2段階に設定しました。

6年目の今年。年齢と接種回数によって、料金を4パターンとしました。

1回目よりも2回目の方を安くしたのは、2回接種を促すための「インセンティブ」です。

日頃から思うのは、こどもには接種をしても自分はしない親に、どのように接種を促すか。

最近思いついた作戦があります。

家族でまとまって接種する方への割引「家族割」です。

4種混合ワクチン

4種混合ワクチンが、いよいよ来月から、定期予防接種の仲間入りをします。

従来の3種混合(DPT:ジフテリア、百日咳、破傷風)に、ポリオが加わったワクチンです。

DPTとポリオを別々に接種する場合と、医学的には効果が全く同じですが、注射の回数は減らせます。

乳児が接種すべきワクチンの種類がどんどん増えてきているので、スケジュール調整がたいへんです。

途中で風邪をひいたりすれば、接種計画はどんどんずれていきます。

効率良く接種を完了して、早めに免疫をつけるためには、複数のワクチンの同時接種が有効です。

ところが今なお、同時接種に抵抗のある方、懐疑的な方、不安を感じる方がたくさんいらっしゃいます。

しかし考えてみて下さい。

4種混合ワクチンというのは、4つのワクチンを同時に接種するのと同じことです。3種混合なら3つ同時。

インフルエンザワクチンでも、3つの型のワクチンが混合されています。

麻しん/風しん混合(MR)ワクチンは、その名の通り、麻しんワクチンと風しんワクチンの混合です。

混合ワクチンというのはみな、複数のワクチンの同時接種と同じことなのです。

違うのは、あらかじめ工場で混合してあるので、針を刺す回数が1回で済むことぐらいのもの。

同時接種をすることで、新たなリスクが生まれることが無いことは、よく考えればわかることです。

まだまだ啓蒙活動が必要ですね。

インフル接種開始

インフルエンザの予防接種を、まだ9月だというのに、本日開始しました。

例年10月1日から始めていましたが、10月の接種はどうしても予約が混み合います。

この混雑をどのようにしたら緩和できるか。

考えた末に思いついたのが、接種の前倒し。9.29開始。まさに苦肉(929)の策。

任意接種なので、もともと接種日に制約はないのですが、9月開始というのは意外と盲点です。

ちょうど9/29,30が土日だったのと、ワクチンの入荷が間に合うことがわかったので、踏み切りました。

ところで「あまり早く接種すると、流行期には予防効果が切れてしまわないか」とご心配の方へ。

まず、たった2日早めただけですから、従来の10月1日開始と比べて大差ないでしょう。

「そもそも10月接種が早すぎないか」とご心配の方へ。

大丈夫です。ワクチンの予防効果は約5カ月続くと言われています。

また、2回接種する場合の接種間隔は、4〜6週間程度が望ましいとされています。

ということは、1回目を10月頃、2回目を11月に接種すれば、4月頃までの予防効果が期待できるわけです。

もちろん、1回だけ接種する方は、もっと遅く始めてもかまいません。

と言ってはみましたが、インフルエンザは、ワクチンで完璧に予防できる感染症ではありません。

流行期の手洗いなどの方が、ワクチンよりもむしろ大事かもしれませんね。

MRワクチン3,4期終了

熊日新聞の「読者のひろば」に投稿した文章が、今朝の紙面に掲載されたので、ここに転載します。

ーーーーー

 麻しん/風しん混合(MR)ワクチンの第3・4期定期接種が、あと半年で終了します。それぞれ中1と高3を対象としたものです。厚労省等の集計によると、昨年度の接種率は80%台しかなかったそうです。現在対象学年のお子さんには、できるだけ早く接種を受けさせましょう。毎年3月には駆け込み接種が多いです。

 先日、第3期接種を受けていない高2の子がいたので母親に指摘すると「高3で受けますので」とのこと。問題なのはその母親が「中1か高3で受けられますよ」と医療関係者から聞いていたということです。残念ながらその子が来年高3になっても、MRワクチンの定期接種を受けることはできません。

 2008年度から始まった第3・4期定期接種は5年間の時限措置です。5年間のうちに中1と高3の両方を経験することはあり得ません。「中1か高3で受けられますよ」という情報は、誤解を招かないように慎重に伝えるべきでした。

 MRワクチンの任意(自費)接種料金は1万円ぐらいします。自腹での接種では接種率も期待できません。麻疹の撲滅は国策です。定期接種を逃したこどもたちにも、国は無料接種の機会を与えるべきです。

ーーーーー(投稿内容ここまで)

来年度以降も継続されるのは、第1期(1歳児)と第2期(就学前の1年間=年長児)だけです。

MRワクチンの第1・2期接種が始まったは2006年度。このときに年長児だった子が来年中1になります。

第2期接種を受けたこども達からは、第3期は存在しないのです。

もしも「中1で受けられる」という認識で第2期接種をパスした方がいたとしたら、それも悲しい誤解です。

現に、昨年度の第2期接種率は93%しかありません。

定期予防接種制度には、接種漏れの方への救済措置が必要です。