モデルナを廃棄する一方で、4回目接種ですか

モデルナのワクチンが有効期限を迎え、多くの自治体で大量に廃棄される見通しとなりました。

厚労省は、当初予測より接種が伸びてないことや、モデルナの希望者が少なかったことを理由に挙げています。

いまさらそれを言いますか。モデルナが不人気だってことは、だいぶ前からわかってたのに。

メディアが副反応のひどさを盛んに報じてきたモデルナを、副反応に厳しい日本人が打ちたがりますか?

当院でも、ファイザー希望者が圧倒的でモデルナの希望者がほぼ皆無なので、もう取扱を止めてますよ。

厚労省はこれまでに、「交互接種」の有効性を喧伝してきました。

1,2回目とは異なるワクチンを打つ方が、3回とも同じワクチンを接種するよりも強い免疫が付くというのです。

しかしそのおかげで、1,2回目はモデルナだったけど、3回目はファイザーを打ちたいという人が目立ちます。

国の「モデルナ誘導策」が、完全に裏目に出た形です。

熊本市から各医療機関への、6/11から7/10のワクチン(ファイザー)配給上限量が今週通知されました。

当院の割り当ては、わずかに4本でした。1カ月間に24人しか接種できないということです。

もう接種は終わりかなと思わせる数字です。

そのように3回目接種もままならないというのに、早くも4回目接種を始めようかという話が出ています。

接種しろと言われればしますけど、その前に3回目と小児の接種を終わらせてくださいね。

小児用新型コロナワクチン接種、細々とやってます

小児(5〜11歳)の新型コロナワクチンの接種予約が、「絶不調」です。

熊本市では、対象者約4万8千人に対して、3月10日に接種券を一斉に郵送しています。

「第1期」として、3/28〜5/8の6週間で2回の接種を行う、9千人分の接種枠が確保されました。

9千人という第1期枠は少な過ぎるんじゃないかと、これは予約競争になるぞと、当初は思っていました。

ところが蓋を開けてみたら、いまだに予約枠が51%分しか埋まっていないそうですね。

予約開始からすぐに申し込んだ方は全対象者の1割にも満たないという、予想外に低調なスタートです。

当院は、フライング気味の3/27(日)から接種を開始したのですが、その後の接種予約枠が埋まりませんね。

1バイアルで10人接種できるワクチンなので、1日の予約接種人数は10の倍数となるはずです。

しかし、10の倍数の予約者を確保できた日など例外的(奇跡的)で、たいていは端数が出てしまいます。

予約が低調なまま、来月は「第2期」(5/9〜6/19)に突入しますが、ワクチン大余りとなることは必至です。

さらに今日は、「第3期」(6/20〜7/31)の接種希望数を保健所に申請する締切日でした。

ワクチンが何本必要か希望を言えといわれても、7月の予約の埋まり具合など、まったく予測ができません。

ですが、何本か希望を出しておかなければ配給してもらえないので、テキトーに数字を書いて出しました。

接種に慎重な被接種者や保護者が多いために接種希望者数が少ないことを、保健所も認めています。

「5名以上の希望者が集まった場合」に限って接種をするようにと、かなり柔軟なことを言い始めました。

10の倍数の予約数を確保してバイアルを使い切るのは難しくても、せめて半分以上は使えという意味なのか。

でも、「最低催行人数5人、集まらなかったら接種中止」なんてことは、できませんけどね。

3回接種しても感染しますが、接種しましょう

新型コロナワクチンの追加接種(3回目接種)が低調だといわれるので、自験例を分析してみました。

当院は原則として、かかりつけの方とその配偶者に限定して、1回目・2回目の接種を行いました。

その数は約600人。そのうち65歳以上の方は約200人でした。ほぼ全員が、2回目から6カ月経っています。

3回目は、65歳以上の方は95%が接種を済ませていますが、64歳以下では4割程度の接種率です。

詳しく見てみると、50代の接種率は7割でしたが、40代以下(300人)では3割を下回りました。

もともと接種率の低かった若年層で、3回目の接種率がさらに低いという、ある意味予想通りのデータです。

とは言え、若年層にしては接種に積極的だったはずの人たちなのに、こと3回目には消極的なんですね。

オミクロン株の感染者が若者に多いことにも、おそらく関連がありそうです。

しかし一方で、ワクチンを接種したのに感染する方が多いことも、毎日の発熱外来で実感しています。

今年3月以降に、当院でPCR陽性と診断した18歳以上362人のうち、3回接種済の方が67人もいました。

その中には、3回目接種の翌日の発症(発熱)という、副反応かと疑うようなケースも含まれます。

言われているように、3回接種しても感染します。でも重症化しない(はずだ)と、信じたいところです。

ただし感染すれば、たとえ軽症でも(無症状でも)感染力があります。そこなんですよね、問題は。

4月はワクチン接種で混み合う時期です

土曜・日曜は、発熱外来とは時間帯を分離して、新型コロナワクチンの接種にも時間を割いています。

小児(5〜11歳)の接種枠は、親御さんの都合を考慮して日曜日に組んだのですが、意外にも不人気です。

発熱などの副反応が心配で、日曜よりも土曜や金曜に接種を受けさせたい方が多いのかもしれません。

とくに自分の接種後の副反応に悩まされた親御さんは、お子さんの接種には最大限の配慮をしたいのでしょう。

一方で中には、敢えて平日の接種を希望する大人の方も、少なからずいらっしゃいます。

接種日とその翌日には「公休」が取れる職場なのかもしれません(きっとそうです)。

それにしても、モデルナが不人気なので、当院の今月のモデルナ接種日の設定は、あと1日だけです。

ファイザーの希望者ばかりが多く、しかしワクチンの供給量がとても少ないので、予約枠はほぼ満杯です。

小児用ファイザーはその中間。接種を希望する方自体がまだ多くなく、様子見の状況と思われます。

幸い、小児用ワクチンは解凍後10週間冷蔵保管できるので、私もしばらくは模様眺めができます。

新年度になり、HPVワクチンの積極的勧奨再開に加えて、キャッチアップ接種も始まる予定です。

キャッチアップ接種についてはしかし、自治体もバタバタしていて対象者への通知が遅れているようです。

通常の定期接種対象の方は、今がチャンス。キャッチアップ接種で混み合う前に、早めに接種しましょう。

HPVワクチンも新型コロナワクチンも筋肉注射です。所定の間隔で3回接種する点も、よく似ています。

ただし新型コロナワクチンは他のワクチンとの接種間隔に制約があるので、くれぐれもご注意ください。

新型コロナワクチンもMRワクチンも大事です

新型コロナワクチンは、他のワクチンとの接種間隔が2週間必要です。

しかしその他のワクチンにおいては、生ワクチン同士の注射を除いて、接種間隔に制限はありません。

これは<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3284.html" target="_blank" title="わりと最近決まった規定">わりと最近決まった規定</a>なので、以前のルールをご存じの親御さんに、驚かれることがあります。

かつて、不活化ワクチン後には1週間、生ワクチン接種後には4週間、他のワクチンが打てませんでした。

日本以外でそのように規定している国はなく、言うなれば日本だけの「ローカルルール」でした。

ワクチン接種後に一定期間だけ、他のワクチンを打てなくしていた理由は、副作用の観察のためでした。

近接した日程で接種をすると、最初の接種の副反応が次の接種の時期と重なる可能性があります。

ワクチン接種の副反応の有無を十分観察して、それから次の接種を行うべきだと、慎重に考えていたのです。

その観察に要する期間が、不活化ワクチンなら1週間、生ワクチンなら4週間あればよかろうという考え方です。

しかしながら近年、定期接種の種類も増え、複数のワクチンを同時接種するのが当たり前になりました。

同時接種するということは、そろぞれのワクチンの副反応を個別に観察することをやめたということです。

であるならば、副反応の観察のために間隔をあけて接種する意味も無い、ということになります。

やがて撤廃されるとは思いますが、新型コロナワクチンの接種前後には2週間の間隔をあける規定があります。

来月から本格的に始まる、5〜11歳の新型コロナワクチン。年長児ではMRワクチンの接種開始と重なります。

旬のワクチン(=コロナ)を優先するなら、コロナ→ ( 3週間 ) →コロナ→ ( 2週間 ) →MR、の順でしょうね。

いや、MRが大事だと思うなら、MR→ ( 2週間 ) →コロナ→ ( 3週間 ) →コロナ、でもいいと思います。

どっちも早く打ちたけりゃ、コロナ→ ( 2週間 ) →MR→ ( 2週間 ) →コロナ、もアリでしょう。

新型コロナワクチンの間違い接種事例

新型コロナワクチンの接種が進められているなかで、「間違い接種」も起きているようです。

熊本市が今日、注意喚起の一環として「間違い接種事例集」を医療機関に送って来たので、ご紹介します。

(1)接種間隔の間違い

2回目の接種から6カ月を経過しないうちに3回目接種をした事例は、たぶんかなり多いと思われます。

対象者の利便性のため、まだ6カ月たっていないうちに3回目用の接種券が届くので、誤解されるのでしょう。

接種当日というよりも、予約段階で気付かないのでしょうか。そこがいちばん大事なポイントですけどね。

(2)接種器具の扱いが適切でなかった

接種時に針とシリンジが外れて薬液が漏れるアクシデントは、すべての注射作業に起こり得ることです。

某大学病院で、私自身がまぶたに注射された時、針が外れて液が散り、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-350.html" target="_blank" title="ひどい目に遭った思い出">ひどい目に遭った思い出</a>があります。

注射を行う医師(または看護師)には、注射の直前に、針をシリンジに押し込む癖が必要です。

(3)期限切れワクチンを接種した

ワクチンの製造から9カ月の「有効期限」のほかに、解凍からの日数で決まる「保管期限」があります。

保管期限はファイザーが解凍から31日間、モデルナは30日、小児用ファイザーは10週間と、微妙にバラバラ。

さらに、室温に戻したりシリンジに吸引した後の使用期限にも細かい規定があり、じつに面倒なワクチンです。

(4)2回目の接種の方に、3回目として接種した

モデルナの3回目は半量だけ接種するので、2回目のモデルナも同時に扱っていると、間違いの元です。

当院では、1回目も2回目も3回目も行っていますが、間違いを防ぐため、モデルナは3回目だけにしています。

誰かがウッカリしても、確認が不十分であっても、原理的に間違えないような仕組み作りが、何より重要です。

新型コロナワクチン4回目接種実施へ

「また接種しなきゃならないんですかね」と尋ねる方が、ちらほら出てきました。

新型コロナワクチンの4回目接種について、厚労省が議論を始めたと報じられたからです。

皆さんの意見は賛否分かれていて、「もううんざり」の方もいれば、「するなら早めに」という方もいます。

厚労省のワクチン分科会では今日、次の4点について議論がなされました。

(1)オミクロン株へのワクチンの有効性

(2)12-17歳に対する3回目接種

(3)4回目接種

(4)武田社製ワクチン(ノババックス)

その結論は、こんな具合です。

(1)デルタよりは有効性が劣るけど、オミクロンにもわりと効くよ。でも子どもでは効きが弱いかもね。

(2)12-17歳でも有効で、副反応も許容範囲。とりあえず、ファイザー限定でリスクのある子に打とうか。

(3)4回目を推奨している国は限定的だけど、日本はやるよ。全ての者に4回目接種の機会を提供しよう。

(4)有効性も安全性もまずまず。接種する国は増えているようですな。

欧米諸国では、高齢者や医療従事者等を対象に、限定的に慎重に、4回目接種が行われているようです。

一方で日本は、「全ての希望者への接種を想定する」と前のめっています。

3回目接種の方針が二転三転したために進捗が遅れたと批判されたため、ムキになっているのでしょうかね。

HPVワクチンの「積極的勧奨接種」、まもなく再開します

HPVワクチンは来月から、これまで差し控えられてきた「積極的勧奨接種」が再開します。

厚労省は、そのように決定するに至った議論を3つ、提示しています。

(1)HPVワクチンの安全性についての特段の懸念は認められない

(2)HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援を続けていく

(3)HPVワクチンに関する情報提供が広がった結果、国民の理解が進み、接種者数が増えてきている

まず、とくに新たなエビデンスが出たわけでもないのに、いまさらのように(1)を言い出すのは不誠実です。

さらに(2)は(1)と矛盾します。単に、いかにも国民に寄り添ってます感を出すための誤魔化しです。

挙げ句の果ては(3)のように、国民がこれまでワクチンの安全性を理解していなかったかの様に言う始末。

国は、その判断の誤りと、それによる国民の不利益については何一つ触れずに、やり過ごそうとしています。

毎年1万人以上が罹患し、3千人近くが死亡する「感染症」を、国が予防しない道を選んだ事実は消えません。

感染症から国民を守ることよりも、予防接種という「施策」による健康被害を防ぐことを優先させたのです。

これが愚策であることは、ほかならぬ厚生官僚がいちばんわかっていたのですが、ずっと動けませんでした。

これまでの経緯はどうであれ、積極的勧奨接種を再開するのであれば、私はもう何も申しません(たぶん)。

接種機会を失ってしまった方への「キャッチアップ接種」も、十分にやっていただけるのでしょう。

さらにその方が将来子宮頸がんを発症してしまった場合はもちろん、十分な対応をとっていただけますよね。

小児(5〜11歳)用新型コロナワクチン、予約受付を始めました

モデルナの新型コロナワクチンを、遅ればせながら当院では今日初めて接種しました。

なにしろ、1バイアルで15人から20人に接種するワクチンですから、なかなか希望者がが集まらないのです。

ただし、ファイザーのワクチンのような「希釈」作業が必要ないので、準備作業はかなり楽です。

小児(5〜11歳)用のファイザーのワクチンは、熊本市では2日前に、対象者に接種券が発送されました。

その問い合わせや予約の電話が入り始めたので、さっそく今日から予約の受付を開始しました。

当院ではこれまで同様、熊本市の予約システムを使わず、独自の予約受付で接種を行う方針です。

熊本市の予約サイト経由では、3月19日から予約受付が始まり、接種開始は3月28日(月)となっています。

しかし当院では、お子さんの保護者の都合が付きやすい、3月27日(日)から接種を始めることにしました。

念のため今日、保健所に連絡して、当院では市の設定よりも1日前倒しすることを伝え、了解を得ています。

熊本市では、ホテルやスポーツセンター等でも、小児ワクチンの集団接種が行われる予定です。

学校での集団接種は、「個々の意向が尊重されず同調圧力を生みがち」との理由から、実施しないそうです。

当院では、接種対象年齢だからといって接種を強く推奨することはありません。

しかし、5〜11歳のお子さんも12歳以上の方と同様に、重症化リスクを軽減するためにはワクチンが有効です。

接種のメリットとデ メリットを十分に理解していただくために、これからも情報提供を進めてまいります。

温度管理の悪いワクチンは、通常はダメになります

土佐清水市で、温度管理が不適切だったワクチンを、集団接種会場で約1,800人に接種してしまった件。

市役所の冷凍庫の電源に問題があったようですが、それに1カ月以上気付かずに接種し続けていたわけです。

この取り返しのつかない一大事に最初に気付いた職員は、さぞかし背筋の凍る思いがしたことでしょう。

例によって市のコメントは、「これまでのところ健康被害は確認されていません」。

いつも思うんですけど、効果不十分なワクチンの接種を受けた人にとっての「健康被害」って、何ですか。

(1)コロナに罹ってしまうこと(それに伴う合併症や死亡も含む)

(2)ワクチンが効果不十分だと知ったことによる精神的ショック(それに伴う身体症状も含む)

(3)後日あらためてワクチンを接種するなら、接種回数が(微妙に)過剰になることに起因する副反応も心配

件の不良ワクチンの接種を受けた方は、抗体検査も検討されています。この検査結果はとても興味深いですね。

接種した1,800回分以外に、同じ保管環境だった不良ワクチンが2千回分あったそうですが、廃棄されたとか。

安易に廃棄せずに、ワクチンの有効性の検査に回して欲しいですけどね。失敗は生かして欲しいものです。