インフルワクチンと一緒に、日本脳炎ワクチンも接種しましょう

熊本県内で先月死亡した70代の女性が日本脳炎に感染していたと、県が発表しました。

この女性が「日本脳炎で死亡した」と考えて良いのかどうかはわかりませんが、たぶんそうなのでしょう。

県内ではほかにも2人の感染者が出たようで、今年の現時点での国内患者5人の内3人が、熊本県内の症例です。

全国で毎年数人程度の希な発生ですが、西日本とくに九州に住んでいる者には、無視できない感染症です。

私の幼少期1960年代前半までは、毎年数千人レベルの患者が出て、しかも死亡率が高い恐怖の感染症でした。

当時の私は日本脳炎が本当に怖くて、蚊に刺されたらすぐキンカン(という薬)を塗っていました。

刺激の強いキンカンが、日本脳炎の「毒素」を中和してくれると信じていたからです。

もちろん、日本脳炎は蚊が媒介するウイルス感染症であり、刺された後でキンカンを塗っても無効です。

その後の国内環境の変化と我が国が開発したワクチンによって患者は激減し、現在に至っています。

しかしそのワクチンも、濡れ衣かもしれない副反応が原因で<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-610.html" target="_blank" title="積極的勧奨接種が差し控え">積極的勧奨接種が差し控え</a>られた時期があります。

ひとたび副反応が起きると、感染症予防という本来の目的を忘れて<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1820.html" target="_blank" title="ワクチンを忌避">ワクチンを忌避</a>するのが、日本人なのです。

ワクチンの製造法を変えてようやく接種の勧奨が再開し、未接種者を救済する<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-635.html" target="_blank" title="特例接種制度">特例接種制度</a>もできました。

しかしそのようないきさつを知らず、ワクチン未接種のままで経過しているお子さんも、おおぜいいます。

インフルエンザワクチンを接種する今の時期、母子手帳の予防接種欄をチェックするのが私の仕事です。

そして日本脳炎ワクチンの未接種者・未完了者を見つけたら、なるべく同時接種をして帰っていただきます。

日本脳炎に限りませんが、定期接種が漏れているお子さんを、そのままでは放置できない性分なのです。

新型コロナワクチンの接種間隔が「3カ月以上」へ

新型コロナワクチンの接種間隔の規定が、「3カ月以上」に短縮されることが決まりました。

厚労省のワクチン分科会がそのような結論に至った根拠は、

(1)有効性:臨床試験データで、接種間隔3〜6カ月での追加接種での中和抗体価の上昇が認められた

(2)安全性:臨床試験データで、接種間隔3〜6カ月での追加接種での有害事象は従来ワクチンと同様だった

(3)欧米での接種間隔は、米国では2カ月以上、欧州では3カ月以上と規定されている

高齢者らが年内に「5回目接種」を受けられるようにするのが目的だと、表向きは報じられています。

ですがその背景には、3回目や4回目の接種率の低迷があるのでしょう。そのためにワクチンも余っています。

当院かかりつけの方も、早く5回目を接種したい方と、もう接種しようとは思わない方とに二分されます。

概して、ご高齢の方ほど5回目を希望されるので、重症化予防が目的であるなら、それは理にかなっています。

私は5回目を接種するつもりですが、5カ月間隔なら来月中旬、3カ月間隔なら今すぐにでも接種可能です。

ですが結局は、オミクロン株(BA.4/5)対応ワクチンが接種できる来月中旬まで待つことにします。

来月は祝日が2回ありますが、いずれも、新型コロナワクチンとインフルワクチンの接種日にする計画です。

予約状況を見ると、コロナはボチボチですが、インフルの方はとても接種希望者が多くて枠がすぐ埋まります。

当初は気乗りしなかった「同時接種」も、むしろ積極的に推進しようかと、いま考えているところです。

インフルエンザワクチンの集団接種

インフルエンザワクチンの接種を、毎日粛々と行っているところです。これから来月一杯がピークでしょう。

当院で接種を行っている方を大別すると、

(1)専用サイトからネット予約をした方:これが大半です

(2)65歳以上の方の定期接種:多くの方が次の(3)の対象者と重なります

(3)生活習慣病等で毎月来院される方:定期受診のついでに接種を受けて帰ってもらいます

(4)定期接種で来院されるお子さん:希望者には、定期接種の際にインフルエンザワクチンも同時接種します

(5)近隣事業所の方への集団接種:当院に集団で来院していただきます

かつて当院では「出張接種」も行っていました。私とスタッフが近隣事業所に出向いて接種するものです。

しかしこれは、厳密には保健所に届出を出さなければならず、またスタッフには休日出勤を強いるものでした。

なので開院当初の数年感で出張接種はやめ、いまでは(5)のように集団を院内に受け入れるやり方です。

集団接種の良いところは、毎年ほぼ同じ顔ぶれなので、受付から接種の流れがスムーズであること。

接種料金は後日まとめての支払いにしているので、接種当日に金銭のやりとりがないこともメリットです。

近年、予防接種に積極的な企業も増えています。コロナ禍でなおさら、感染対策への意識が高まっています。

もう少し準備する期間があったら、コロナとインフルの集団同時接種を企画しても良かったと思っています。

よし、来年は同時接種作戦で行こう(もしも、来年もまだコロナワクチンを接種しているようであれば)。

いまのうちにインフルエンザワクチンを打ちましょう

発熱外来の受診者は、明らかに減ってきています。

しかし日曜日に発熱外来をしている医療機関は少ないので、これまで通りに日曜の発熱外来は続けます。

そのかわり他の多くの医療機関も診療している土曜日を、できるだけワクチンの接種に充てることにしました。

というわけで今日は午前中に一般診療を、午後は約80人にインフルエンザワクチンなどを接種しました。

明日は午前中に一般診療を、昼休みにコロナワクチン、午後には発熱外来をすることになりそうです。

ちょっとした熱や風邪症状でも油断しないのが私の鉄則。これはコロナ禍で得た教訓です。

今日も、他院でインフルワクチンの接種を受けた後に発熱したお子さんに行った抗原検査が陽性でした。

ワクチンを接種した医療機関で感染した可能性を考えると、3密の回避はまだまだ重要だと思いました。

今シーズンはインフルエンザが大流行すると、専門家もメディアもみな、同じことを言っています。

さいわいワクチンの流通量が昨年よりもずっと多いので、接種予約の受け入れ数には余裕があります。

年明けには、インフルとコロナの同時流行が起きる懸念もあります。

コロナは自宅で診断し、インフルはオンライン診療を受けろと、国がまた無茶なことを言っています。

ですがたしかに、自宅でのスクリーニングをうまく使えば、一定の効果があるかもしれません。

でもそんなややこしい冬を迎える前に、まずはやれること=インフルワクチンの接種、でしょう。

粛々とワクチンを接種しています

インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの接種が、なかなか複雑なことになりつつあります。

日頃のかかりつけの方には、ほぼ毎日、ご希望に応じてインフルエンザワクチンの接種を行っています。

それに加えて、ネットでも予約を受け付けており、明日も多くの予約が入っています。

その明日は、一般診療とインフルエンザワクチンの接種のほかに、新型コロナワクチンの接種も行います。

ワクチン接種と発熱外来は時間帯を完全に分離する必要があるので、明日はやりくりに苦労しそうです。

いま接種している、そして明日も接種する新型コロナワクチンは、オミクロン株(BA.1)対応ワクチンです。

これが来月15日からは、オミクロン株(BA.4/5)対応に切り替わります。当院への配分量も決まりました。

来月まで待てばBA.5対応が打てるのに、今BA.1対応を打つのか、という疑問を感じている方もいるでしょう。

そんなこともあってか、BA.1対応ワクチンの人気はあと一歩です。接種控えがあるのかもしれません。

さらに来月からは、0歳6カ月〜4歳児への新型コロナワクチンの接種も始まる予定です。

そのワクチンを接種する気があるか、医療機関への意向調査が昨日来たので、接種する旨を回答しました。

積極的に接種を勧めるつもりはありませんが、もしも希望者がいたら接種できるようにしておくためです。

乳幼児の場合、定期接種ワクチンの日程も立て込んでいるので、接種計画はけっこう複雑になりそうです。

新型コロナワクチンとインフル以外のワクチンには、2周間以上の接種間隔をあけなければならないからです。

さてインフルは流行するのでしょうか。コロナ(第8波)とインフルの同時流行が来ないよう祈るばかりです。

「9価HPVワクチン」の定期接種への導入決定

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の定期接種にようやく、「9価ワクチン」の導入が決まりました。。

HPVというウイルスには多くの「型」があり、そのうち何種類の型に効くワクチンかを示すのが「価数」です。

現在、日本で定期接種として使われているのは、GSKの「サーバリックス」とMSDの「ガーダシル」です。

「サーバリックス」は2価ワクチン。国内では最初に発売されたので、当院でも最初はこれを使っていました。

子宮頸部を意味する「Cervix」と、GSKの拠点があるベルギーの地名「Rixensart」を組み合わせた命名です。

最近よく耳にするGSKの帯状疱疹ワクチン「シングリックス」も、同じ語尾です。

「ガーダシル」は4価ワクチン。予防できるHPVの型を2つ増やし、尖圭コンジローマなどにも有効です。

子宮頸部の扁平上皮内病変(Squamous Intraepithelial Lesion:SIL)からガードするという意味の命名です。

当院では現在、他院で1回目にサーバリックスを接種した方以外は、ガーダシルがデフォルトです。

これら2つよりも高い感染予防効果があると期待されるのが、9価ワクチンであるMSDの「シルガード」です。

ガーダシルをひっくり返した命名、というよりもこちらの方が自然(SIL+ガード)。本命登場って感じです。

昨年から任意接種は可能ですが、かなり高額(3回で約8万円)なこともあり、当院ではまだ導入していません。

より有効性の高いワクチンがもうじき定期接種になる、となると問題は「接種控え」ということになりますね。

定期接種の対象(小6〜高1)なら、私は来年まで待っても良いと思いますが、それ以上の年齢はダメです。

インフルワクチンとコロナワクチン、同時接種するかも

インフルエンザワクチンの接種予約枠は、順調に埋まりつつあります。現時点での受付はネットのみです。

例年同様、土日の枠に人気が集中していますが、遅れて平日枠も埋まっていくはずです。

例えば土日に3時間の接種枠を設けるとしても、最初は1時間分から、徐々に枠を広げるようにしています。

そうしないと、少人数づつ幅広い時間帯に予約が入ってしまい、接種効率が悪くなるからです。

新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種をするつもりはない、と<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3985.html" target="_blank" title="先日">先日</a>書きました。

たしかに、インフルエンザワクチンを接種する時に、新型コロナワクチンを同時接種するつもりはありません。

しかし、新型コロナワクチンを接種する際には、インフルエンザワクチンを同時接種するかもしれません。

ん?、どゆこと? と思われた方へご説明。

インフルワクチンはネット予約を受け付けていますが、コロナワクチンは電話か窓口で予約受付をしています。

インフルワクチンの接種希望者に制限はありませんが、コロナワクチンは当院での接種歴のある方限定です。

なので、インフルのネット予約の際にコロナの同時接種を受け付けることは、システム上困難なのです。

逆に、コロナワクチンの予約受付時に、同時にインフルワクチンを接種するかどうかを尋ねることは可能です。

さらに言うなら、コロナワクチンの接種当日に、インフルワクチンも打っていくかと尋ねることもできます。

そのようなことができるのも、今年はインフルエンザワクチンが十分に流通しているからです。

そんなわけで、前言を撤回します。コロナとインフルの同時接種は、状況が許せば行うことにしました。

これは日頃の診療中に、両方のワクチン接種したい方が意外に多いことを知ったからです。

来月からは、発熱外来もきっと縮小できるはず(期待)。その時間をワクチン接種に振り分ける予定です。

インフルエンザの流行を前提に、ワクチンの予約受付を始めます

コロナ禍の最初の年(2020年)の秋、新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念されました。

そこで創設されたのが「令和2年度インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業」。

コロナとインフルの同時流行で忙しくなるであろうとされる「診療・検査医療機関」に、補助金が出ました。

この補助金、とりあえず概算で(多めに)請求しておき、すぐに交付を受け、いずれ精算する手はずでした。

ところが、それから1年以上たちますが、精算(返還請求)がされる雲行きもなく、今に至っています。

なので実質的に借金状態。厚労省も忙しいのでしょう。返さなくても良いなら早く言ってくださいね。

2020年、インフルエンザワクチン接種者は過去最多レベルでしたが、結局、インフルは流行りませんでした。

コロナ対策がインフル対策にもなったためか、ウイルス干渉なのか、ともかくまったく流行しませんでした。

翌2021年、今年こそ流行するぞという話になり、ワクチン接種者も多数。でも結局、流行しませんでした。

そして今年は3度目の正直。南半球の流行等を考慮すると、こんどこそホントに大流行すると言われます。

だとすると、過去2年間空振りだったことが「オオカミ少年効果」を生まないか、予防の観点からは心配です。

今シーズンはインフルエンザワクチンの供給量が多く、流通も早く、当院でもすでに入荷済です。

接種は10月1日から始める予定です。オミクロン株対応新型コロナワクチンも10月接種開始です。

両者の接種がほぼ同時に始まるので、接種日や時間帯の割り振りには、知恵を絞らなければなりません。

インフルのネット予約の受付は、明日の朝から開始する予定です。さて、予約者は殺到するのか、閑古鳥か。

「オミクロン株対応ワクチン」特例承認

「オミクロン株対応ワクチン」の製造販売が、特例承認されました。

承認前提で準備が進められており、予定通りの展開です。国から各自治体への配送は、来週始まります。

ワクチンはファイザー製とモデルナ製が同時に提供されますが、これまでとは異なる点がいくつかあります。

なによりもまず、配送量。ファイザー2800万回分に対してモデルナ200万回分と、大差がついています。

「不人気」のモデルナの方が多く流通していたこれまでの「ねじれ」が、今回はすっかり解消されそうです。

当院では、ファイザーとモデルナを両方とも申請していましたが、来るのは全部ファイザーとなりました。

そのファイザーのワクチンが「希釈調整不要」となったのも朗報です。接種準備に手間がかからなくなります。

さらに、冷蔵保管期間が10週間に延びました(ファイザーのみ)。これで接種計画に自由度が出ます。

しかも、室温保存期限が24時間、針刺し後の使用期限も12時間とは、実に現場に優しい仕様じゃないですか。

当院では現時点ではまだ「旧ワクチン」を使用していますが、今週中には在庫を一掃することになります。

月末には「新ワクチン」が入荷する予定ですが、多少ずれ込んでも良い様に、接種は10/7に始める計画です。

発熱外来と近接した時間帯に接種したくないので、一般診療を行わない接種専用日を設けることにしています。

あとは、インフルエンザワクチンの接種との日程・時間配分をどうするか。まだまだ考え中が続きます。

「オミクロン株対応ワクチン」接種を前倒しするのは良いけれど

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3965.html" target="_blank" title="オミクロン株対応ワクチン">オミクロン株対応ワクチン</a>は、接種が前倒しされて今月半ばにも始まりそうです。

従来の「武漢株」に「オミクロン株 (BA.1)」にも対応した成分を含有している「2価ワクチン」です。

前倒し接種の対象は、現在「4回目接種」を行っている、高齢者や重症化リスクの高い方や医療従事者です。

次いで10月半ばには、「初回接種(2回目までの接種)」を終えた12歳以上の全員が、接種対象となります。

従来の「1価ワクチン」を、そのまま2価ワクチンに切り替えていくようなので、移行は容易でしょう。

と書くと朗報ですが、現場は少々混乱気味です。

このワクチンをすぐにでも打ちたいと思っているのは、前々からワクチン接種に積極的な方々です。

ところが、そのような方はもう、4回目接種を済ませています。なのですぐに新ワクチンは接種できません。

逆に、これまで接種を先延ばししてきた人が、新ワクチンをまっ先に接種できる対象になるという妙な話。

今日の診療中にも、このことを「理不尽だ」とおっしゃる方がいました。たしかにその通りです。

厚労省は「4回目接種の対象者の多くは接種が未完了」だと言いますが、それは認識不足、あるいは詭弁です。

4回目の対象なのに未接種の方の中には、諸事情によって接種に消極的になった方が多く含まれています。

いまオミクロン株対応ワクチンについて尋ねてくるのは、4回目が済んでいる、おもにご高齢の方ばかり。

次期「BA.4/5対応型ワクチン」は、高齢者から接種できるようなタイミングで導入されることを願います。