レセプト作業が少し楽になりました

医療機関の診療報酬の請求は、翌月の10日がレセプト提出期限です。

当院では、月初めからの数日間で前月のレセプトを点検し、必要があれば修正し、オンライン請求しています。

コロナの検査を行った場合、これまでは下記の3項目を、レセプトの摘要欄に記載する必要がありました。

(1)検査が必要と判断した医学的根拠:簡潔な文章で記載

(2)検査結果:陽性か陰性か

(3)検査の実施日時:何日の何時何分か

この記載作業には、患者一人あたり15秒〜20秒ほどかかります。もちろん、たいした手間ではありません。

しかし発熱外来の真っ最中には、この15秒が診療の流れを乱すので、あとでまとめてやろうと考えます。

では、夕方の診療終了後にこの作業を行うかといえば、やっぱりアレですよ、疲れてるのでやりたくない。

というわけで結局、レセプト提出の締切間際になって、休診日に1カ月分の入力作業をすることになるのです。

あとでまとめてやる作業は、やる気が出ないので効率が悪く、1件20秒〜30秒かかったりします。

ひどい月はこれが300件以上あり、しかも途中で作業効率が落ちてくるので、ほぼ半日仕事になります。

ところが、朗報です。6月の診療報酬改定に伴い、この記載が不要になったんですね。

そんな情報が少し前から入っていたのですが、間違いだと大変なので、本日あらためて確認したところです。

でも、「診療報酬点数表」にはどこにも、「検査の医学的根拠の記載は不要」とは書かれていません。

1回目の検査で陰性だった場合、もう1回検査しても良いが医学的根拠を記載すること、と書いてあるだけ。

この文から、じゃあ1回目では不要ってことですかね、と読み取らなければなりません。

医療機関の手間が減って楽になるようなことを、お役所はわざわざ親切には教えてくれないのです。

コロナ、増え続けてますので

皆様ご存じでしょうか。いま、コロナの感染者が増えています。全国的に、7週連続で増えています。

当院の「発熱外来(←まだやってる)」のべ受診者数は、4月が343人、5月は427人、6月503人でした。

そのうち、コロナの遺伝子検査(NEAR法)実施数は、4月115人、5月133人、6月112人でした。

6月に検査数が減ったのは、診療報酬の改定に伴って、当院では6歳未満のコロナ検査をやめたからです。

ところが、NEAR法によるコロナ陽性者数は、4月23人、5月24人に対して、6月は46人と倍増していました。

陽性率は、4月20%、5月18%、6月41%。今日1日に限れば、陽性率は80%(10人中8人陽性)でした。

陽性となった方の職場や学校では、たいてい複数のコロナが出ていて、小規模なクラスターも起きています。

ところが一方で、「コロナって、まだ出てるんですか」と驚く方もたくさんいます。

メディアもコロナを最優先では報じなくなったので、そのような温度差が生じるのも致し方ないでしょう。

6歳未満のコロナ検査代を個別に算定できなくしたりと、国はコロナ医療の支援をすっかり消退させました。

いまのところ当院では6歳以上の検査は行っていますが、それも今後のコロナ行政次第でしょうね。

国の支援策に呼応して医療機関が設備投資をした頃を見計らって、はしごを外すのが国の常套手段ですから。

学校健診における着衣・脱衣問題

学校健診において、診察時の脱衣等を巡る問題が起きている中、今日は小学校5,6年生の健診に行きました。

医学的な必要性があるとしても、プライバシーや子どもたちの心情への配慮も、考えなければなりません。

その「配慮不足」ととられる行為がSNSから発信されて拡散し、問題化しやすい時代になったのですから。

小学校でも、高学年の女児の場合は着衣の上から診察する方法もありますが、聴診の精度にやや難があります。

そこで例年は、伸縮性のある体操服を着せて、それを捲り上げずに、下の方から手を入れて聴診してきました。

問題は5年生です。5年生は脊椎側彎の視診が必須事項なので、肩から背部から腰部まで見る必要があります。

そのためには体操服を脱がせなければならず、背部を完全に露出しても胸部はできるだけ隠す工夫が必要です。

この点を私が医師会や学校側に確認したところ、市の教育委員会とも調整して一定の方針が決まりました。

それが「ラップタオル」方式。すでに活用している学校も多いようですが、私の担当校では初の試みでした。

恥ずかしながら私は、ラップタオルの存在を知りませんでした。水泳の時の着替えで使うモノなんですね。

そのラップタオルを前後逆に着けて、一番上のボタンだけ留めると、背部だけが露出できることになります。

やってみると、診察自体は目論見通り上手くいきましたが、やはりかなりの時間がかかりました。

児童は、保健室内の「着替室1」で服を脱いでタオルを巻き、診察を受け、「着替室2」に移動して着替えます。

私と養護教諭(女性)以外に、さらに2人の女性教諭が着替等を介助して、児童の不安を払拭します。

側彎症(の疑い)例は意外に多く、この診察法は取りこぼしの少ない良い手法だと思いました。

なお、今回は男児も原則としてラップタオル方式で診察しましたが、これはおおむね面倒なだけでした。

コロナ禍の夏も5年目

暑い日が続きますが、熱中症の方よりも多いのは、やはり今日も感染症による発熱者でした。

日曜に受診するのは、急病の方ばかりではありません。日曜にしか受診できない生活習慣病の方もいます。

そういった(生活習慣病の)方は得てして、絶食で血液検査を行う場合があり、午前中の受診が必要です。

なので、あらかじめ午前中の枠を確保しておく必要があり、その分、新規の予約枠が減ることになります。

このことは以前も何度か書きましたが、最近発熱者が増えているので、日曜はまた混雑し始めています。

ひと頃は、発熱すればコロナかインフルの2択でしたが、いまはむしろそれ以外の感染者の方がメインです。

最近とても多いのは溶連菌感染や胃腸炎、ときどきアデノウイルス感染や手足口病やヘルパンギーナもいます。

でも圧倒的に多いのは、名も無い風邪です。もしくは、未検査なので詳細不明の発熱者でしょう。

症状や状況からコロナの疑いがあっても、コロナの検査をしない方が増えました。私も強くは勧めません。

出勤は下熱後にしましょうかね、ぐらいのアドバイスをしますが、もしもコロナならそれでは早すぎます。

乳幼児のコロナ検査(遺伝子検出検査)はやめました。6歳未満では検査の診療報酬が出なくなったからです。

いまや「ウィズコロナ」かと思っていたら、国の方針はこの春から「ポストコロナ」に舵を切ったようです。

マスクとガウンとフェイスシールドとキャップと手袋を着けて診察をするのも、そろそろ卒業の時でしょうか。

今日も炎天下の駐車場を汗だくで行き来しながら、この格好での診療も防護具の在庫限りかと思いました。

発熱原因が少し様変わりしました

最大で10連休だった方もいる「超大型連休」が終わりました。

この期間で当院が休診したのは、火曜と金曜だけだったことを、あらためてお伝えしておきます。

連休後半の発熱外来では、コロナ陽性6人、溶連菌感染7人と、いずれも連休前半よりも減りました。

いまいちばん多いのは胃腸炎です。感染性(ウイルス性)胃腸炎に加えて、食中毒も出ています。

外食した3人が揃って胃腸炎を発症したケースもありましたが、いまのところ報道などされてないようです。

胃腸炎のウイルスには、アルコール消毒がほとんど効きません。

コロナ禍でアルコール消毒のクセがついたためか、いまむしろ胃腸炎が家族内で広がりやすい印象があります。

そのほかに目立ってきたのは、従来「夏の感染症」と言われてきた、ヘルパンギーナと手足口病です。

ノドが痛むためか固形物を摂りたがらない、ヨダレが多い、などのお子さんのノドを観ると発疹があります。

特効薬も何もないのですが、抗生剤投与が必要な溶連菌感染と区別するためには、ノドの観察は必須です。

子どものノドの診察や検体採取は、鼻咽頭を拭うのと同様に、患者さんからの飛沫を浴びるリスクがあります。

私はいまだに、ガウンとフェイスシールドとキャップを装着するという、物々しい姿で診察をしています。

最近かなり暑くなってきました。真夏の発熱外来はもう勘弁して欲しいのですが、まだ続くんですかね。

検査キットが綱渡り

医薬品や医療用品の需給バランスがうまくいかず、品薄になることがよくあります。

医薬品であれば、ジェネリックメーカーや製剤行政にも問題があって、製造が滞っているときにそうなります。

検査用品であれば、感染症の急拡大によって検査需要が急増したときにそうなります。

そしていま、昨日も少し書いたように、溶連菌感染症の検査キットが不足しています。

大型連休後半戦に備えて検査キットを確保しておく必要があるのに、昨日の診療で在庫を使い尽くしました。

いつもお願いしている業者に連絡したところ、入荷は連休明けになるとのこと。それじゃ間に合いません。

別の業者も返事は同じ。メーカーが休みらしく、どうしようもないそうです。メーカーは10連休かよ。

いや〜な汗が出てきました。検査キット無しで、連休を含む明日から1週間を乗りきれるとは思えません。

病状だけで診断を確定させる「臨床診断」を多用したとしても、全例でそんな診断にするわけにはいきません。

検査キットではあまり取引の無い業者にも、担当者の携帯に電話をかけまくりました。なんとかしてくれと。

4つの業者のうち1人からは、在庫ゼロなので入荷は連休明けだという折り返しの連絡を受けました。

しかし残る3社からはそれぞれ、なけなしの在庫を持って来てくれることになりました。ありがたいことです。

でも当院に回す分、他の医療機関への供給が減ることになるのでしょう。そう考えると申し訳ない限りです。

メーカーの需要予測が間違っていて製造量が少ないか、卸業者の在庫が少なすぎるのが問題なのです。

予想外の感染急拡大などに対応するために、製造や在庫に余裕を持たせようという発想がないのでしょう。

胸部レントゲン検査

従業員の「胸部レントゲン検査」実施状況を知らせるようにと、保健所から連絡が来ました。毎年のことです。

その連絡に応じる形で、年度末になってようやく職員の胸部レントゲン検査を行うのもまた、毎年のこと。

他の検診等で検査済の者や、妊娠中等の職員を除き、全員が当院内で検査しています。

定期的な血液検査も同様です。院内で一定の時期に、昼休みなどの時間を利用して検査を行っています。

こういうときって、職場が医療機関だと便利ですね。

思えば勤務医時代、仕事中に急病を発症して、そのまま<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-350.html" target="_blank" title="職場(院内)で治療">職場(院内)で治療</a>を受けたことが何度かあります。

手術(従事)中に尿管結石を発症した日は、ICUで術後管理をしながら自分も点滴治療を受けました。

点滴をぶら下げたキャスター付きスタンドを引っ張りながらの診療姿に、周囲からの失笑を買ったものです。

最終的には、仕事の合間に<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-143.html" target="_blank" title="「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」">「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」</a>を受けるという顛末なのでした。

大学病院勤務時代は、週に1回程度、個人病院で当直または日勤のバイトをしていました。

どの病院にも共通したことは、その病院で自分が受けた検査費用や薬代は、すべて無料だったということです。

なんて太っ腹な病院なんだろうと当時は感謝しましたが、院長も損はしていないことが後でわかりました。

だって、窓口負担分の3割を失うだけで、残り7割の儲けは確保してるんですからね。

基本的に「サージカルマスク」

発熱外来で私は、「サージカルマスク」を使っています。高規格の「N95マスク」はほとんど使っていません。

そのかわり、診療中にマスクをたびたび取り替えています。1日に1箱(50枚)使うこともザラです。

場合によっては、1人診察・検査が終わるたびに、新しいマスクに替えたりします。

とくに、検査中に患者さんが咳込んだり、クシャミをしたりした場合は、必ずマスクを取り替えます。

もちろん、マスクを装着していない(そして泣き叫ぶ)お子さんの診察後にも、マスクの取り替えは必須です。

検査中に私は呼吸をするので、マスクの表面および内部にはウイルスが付着・残留するはずです。

良いマスクを適切に装着すれば必ず、そのマスク自体はウイルスで汚染されるということです。

そんなウイルスだらけのマスクを着けたままで、電子カルテの端末に向かって作業を続けたくはありません。

付着したウイルスが私の呼気によって剥がされ、診察机や電カルのキーボードに降り注ぐのは避けたいのです。

N95マスクは濾過機能が高いため、マスクに付着・残留するるウイルスの量も当然、多いはずです。

そんな高性能で高価格のマスクを1日に数十枚も替えたくはないので、私は日頃N95はあまり使わないのです。

一般にN95マスクを使っている先生方はたぶん、患者毎にマスクを取り替えたりはしていないでしょう。

着けっぱなしのマスクは、ウイルスだらけになっているかもしれませんよ。私はそれが耐えられないのです。

電カル不具合の原因は、機械ときどき自分

電子カルテのソフトが突然、フリーズしたり不具合を起こすことがあります。診療中なので激しく焦ります。

すべてのクライアント機がフリーズしたら、それはサーバーかルーターの問題でしょう。

不具合の原因はよくわからなくても、サーバーかルーターの電源を入れ直すと、たいていスッキリ復旧します。

たまに、サーバー機(MacBook Pro)がバッテリー切れになっていることがあります。

毎朝、電カル起動時にACアダプタを電源に繋ぐのですが、それを忘れると、夕方にはバッテリーが切れます。

バッテリー保護のために、未使用時にMacを充電しないようにしていることが、裏目に出るわけです。

今日は、診察室の私の端末(Mac mini M2)だけが、不具合を起こしました。

電カルは普通に起動していて、ボタンをクリックすると反応はするのですが、その先に進みません。

まるで誰かが遠隔操作で、私のクリック操作をいちいち取り消しているような、そんな感じなのです。

ふと見たら、聴診器が「esc」キーの上に乗ってるじゃないですか。ずっとキーを押し続けていたようです。

こんなトラブルは想定外ですが、日頃ありがちなのは、記憶違いやもの忘れに起因する間違いですね。

万事において、機械のせいにしたり他人を疑う前に、自分が原因ではないかと考える必要があります。

年を取るにつれてミスが増えて来ました。誰でもそうなるのです。どうか温かい目で見守ってくださいね。

あわや補助金の返納か?

令和2年度の補助金の実績報告書に不備があるから連絡せよと、厚労省から通知が届きました。

なんと、令和2年度の書類を今ごろチェックしてるんですか。恐れ入ります。ていうか大変ですね、厚労省。

送付書類の控えを確認してみたら、一部の備品では領収書ではなく請求書を添付していたことが判明しました。

最悪の場合、その備品代金27万円は、返納を求められるかもしれません。これは痛い。痛すぎます。

ともかく大慌てで探して、領収書をやっと見つけました。あとでコピーして郵送することにしました。

で、厚労省の担当者に電話したところ、「確かに支払は済ませたのか」と問うので「済ませました」と返答。

すると「それでは確認が取れましたので、本件はこれで終了します」だと。気が抜けますね。

「領収書は送らなくてもいいのですか」とは言いませんでした。言えば「送ってください」となるでしょう。

万一、領収書が見つからなかったとしても、それを自ら白状するのは愚。そんな情報を与えてはなりません。

向こうも作業を増やしたくないし、こっちも同じなら、互いに余計なことは尋ねないし言わないことですね。

お役所というところは融通の利かない組織ですが、その構成員たる公務員は人の子。家族もいれば犬もいる。

自分(公務員)も相手(市民)も最小限の負担になるような、そんな事務処理を望んでいるはずです。

市民の心構えとしては、聞かれたことには誠実に答え、聞かれないことは何も言わない。それに尽きますね。

ていうか、こんなことブログに書いても良かったんでしょうかね。厚労省の方に読まれないことを願ってます。