プレフィルドシリンジの欠点はフランジの形状

コロナワクチンは、皆様ご存じだとは思いますが、現在絶賛接種中です。え、知らなかった?

とは言え、接種希望者が少ないですね。当院ではかかりつけの方限定なので、毎日1人か2人か多くて5,6人。

全員が65歳以上の方。つまり高齢者の定期接種だけです。任意接種希望者には、まだ出会っていません。

当院で使っているワクチンは、現在のところ「ファイザー(コミナティ)」だけです。

他社のワクチンも準備はしていますが、ファイザーだと聞いてホッとされる方が多く、なのでファイザーです。

とくにファイザーは「プレフィルドシリンジ製剤」なので使いやすく、私の場合コロナは事実上これ一択です。

希釈不要のワクチン液がシリンジに封入されていて、先端のキャップを外してそこへ針を装着して使います。

1本が1人分。必要数だけを保冷庫から出して室温に戻せば、すぐ注射できます。昨年までとは手間が大違い。

ただしそのシリンジは、示指と中指で引っかけるツバ(フランジ)の部分が小さくて、注入しにくいのが難点。

シリンジ製剤では、フランジはシリンジの胴体(バレル)と一体成型なので、大きくは作りにくいのだとか。

こういう時、そのフランジに「フィンガークリップ」を装着すると、指が掛けやすくなり注入が楽になります。

実は、子ども用の「ヒブワクチン(アクトヒブ)」のシリンジでも、かつて同じような苦労がありました。

でもいまは、後付けする専用のフィンガークリップあるので、楽に注射できるようになりました。

そこで、そのクリップを余分に入手して、いまはコロナワクチン用にも流用しています。これが快適です。

そういえば、「肺炎球菌ワクチン(プレベナー20)」は、シリンジに最初からクリップが装着されています。

接種者の苦労がよくわかってますね。クリップの色はパッケージと同じうぐいす色(?)。シャレてます。

でもその製造元はファイザーなのです。肺炎球菌ワクチンで可能なら、コロナワクチンにもつけりゃいいのに。

徒歩で登下校してみた

来年小学校に入学する予定のお子さん(年長児)に対する、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4438.html" target="_blank" title="「就学時の健康診断」">「就学時の健康診断」</a>が行われています。

当院の所在地が校区であり、私が校医を担当している「託麻北小学校」の健診に、今日の午後行って来ました。

託麻北小は、児童数約500人とやや小規模で、1年と3年は2クラスしかありません。

来年度の入学予定者数は82人なので、3クラスになります。良かった。ギリギリ2クラスはキツいですからね。

ちなみに近隣の託麻東小は、児童数1,300人越えの熊本市では断トツのマンモス校です。

それに次ぐ、熊本市第2の児童数は長嶺小、その次が託麻南小という、そこら近辺の学校ばっかりですね。

託麻北小の校区は、白川の南側にサンピアンからパークドームにまで及ぶ、やたら細長い形をしています。

校区内では白川の河岸段丘による高度差も激しく、1時間かけて歩いて登校している児童もいるそうです。

そんな子どもたちの気持ちになろうとふと思い、今日は車ではなく徒歩で健診に向かいました。

当院から託麻北小まで、Googleマップによると1.8km。徒歩27分だと。誰の足で27分なんでしょうね。

小雨が降る中、指定時刻の30分前にクリニックを出ましたが、出たらすぐに、雨が本降りになりました。

Googleマップよりも2分早く、25分で学校に到着。雨よりも、汗でびっしょり濡れました。

子どもたちには顔見知りも多く、健診は1時間少々で楽しく終わりました。

復路の所要時間は23分。往路よりも2分短縮したのは、じつは途中から尿意を感じて早歩きしたからです。

久々の「個人防護具の配布希望調査」

熊本県健康福祉部健康危機管理課から、「個人防護具の配布希望調査」が来たので回答しました。

コロナ禍において国が備蓄した「個人防護具」が、時々こんな形で「発熱外来」向けに放出されてきました。

今回配布されるのは、N95マスク、ガウン(3種類)、非滅菌手袋の3点。

熊本県の場合は、「熊本県電子申請システム」の専用フォームに、それらの希望数を入力して申し込みます。

もちろん、必要な数を要求するわけですが、そのためには、現状の使用数を概算する必要があります。

当院は日曜祝日の発熱外来受診者が多く、週あたりの使用数はマスク200、ガウン50、手袋300程度です。

ただし、N95マスクを使うことは最近ほとんどないので、今回はガウンと手袋を要求しました。

今年度の配布が今回だけだと仮定して、約5カ月分(20週間分)ほどの数量を入力することにしました。

過去に国や県から受け取った個人防護具は、役に立った物もあれば、粗悪(劣悪)品もありました。

たとえばフェイスシールドは、簡素すぎてまったく使いたくなる品ではありませんでした。ほぼゴミです。

ガウンも、モノによっては使い物になりません。資源のムダとしか言いようのないものです。

マスクは、市販のサージカルマスクが安くて高品質なので、いまさら「配給」を受ける必要を感じません。

品質にムラが大きいのが、非滅菌手袋ですね。大穴があいていたり裂けていたりと、信頼性に欠けます。

コロナ禍のバタバタで、いったい国はどんだけ物品を備蓄したんでしょうね。しかも安物を。

などと言いながらナンですけど、もらえるモノはもらいますよ。

予診票のトラップ

予防接種などの予診票は、その日の体調だけでなく、既往症やアレルギー歴を知るための重要な情報源です。

また、過去のワクチンの接種歴や接種間隔を知り、今日の接種が適切であるかどうかの判断材料ともなります。

とはいえ、とくにお子さんの定期接種では、ワクチンの数だけ予診票を書かなければならず、かなり面倒です。

同時接種ワクチンの一括問診票を備えた自治体もあり、その親切な発想をぜひ熊本市も採用していただきたい。

予診票の質問欄の「はい・いいえ」の選択肢は、おおむね右側を選べばOKに作られていることが多いですね。

もちろん例外もあります。テキトーに選んでいたのでは間違いの元ですから、よく読んで回答しましょう。

時々、ある一行だけ左側を選ぶような設問を紛れ込ませている、トラップのような予診票にも遭遇します。

いま当院が使っている中で、最強のトラップを備えているのは、風しん抗体検査の受診票でしょう。

設問数は少ないのですが、風疹罹患歴や検査歴や予防接種歴などが細かく問われ、考え込むような内容ですね。

そしてその面倒な部分をクリアすると、署名欄のすぐ上に、次のような同意確認のチェック欄があります。

「風しんの抗体検査の実施に関する同意書」

  □ 私は、風しんの抗体検査をうけることを希望いたしません

これはチェックを入れないのが正解です。ていうか、どうして「希望しない」がデフォルトなんでしょうね。

熊本市は、できることなら検査を踏みとどまらせたいのですか。市の財政がひっ迫してますか。

そもそも、医療機関を受診して、面倒な予診票も書き上げて、「でも検査は受けません」て人がいるんですか。

と思ってたら、最近この欄にチェックを入れた人に遭遇しました。いやもちろん、間違いにきまってます。

インフルエンザ、そろそろ流行期か

近隣の小学校で、昨日からインフルエンザとマイコプラズマで学級閉鎖のクラスがあるとの報告を受けました。

当院の今日の発熱外来でも、インフルエンザの陽性者が出ました。マイコプラズマも出ました。

近年季節感を失っている季節性インフルエンザですが、そろそろ流行が始まろうとしてるのでしょうか。

当院は明日も明後日も発熱外来を行いますが、この勢いでは検査キットが足りなくなるかもしれません。

コロナは数十回分を常備しているものの、インフルエンザとマイコプラズマはそこまでの在庫がありません。

慌てて業者に電話すると(担当者の携帯に電話すると)、キットを持って来てくれました。ありがたい。

そんな中で今日は、0歳児から88歳の高齢者まで、55人の方にインフルエンザワクチンの接種を行いました。

すでに今期2回目の接種のお子さんもいます。1回目を9月に接種した、今期一番乗りの方たちです。

インフルエンザワクチンは例年、いつごろ接種するのが良いのかという質問を受けます。

早すぎると流行前に効果が切れてしまうし、遅すぎると流行に間に合わない、というジレンマがあるのです。

ポイントとなるのは、いつごろ流行するのか、という予測。それが分かれば苦労はしませんけどね。

2回接種を行う子どもの場合、いつ流行しても間に合うように、1回目は早めの接種をお勧めしています。

そのかわり2回目は、流行の兆候を見極めながら、接種時期を流動的かつ迅速に決めなければなりません。

1回目との間隔が4週間以上あいても、6週間あいてもかまいません。時機を逃さないことが肝要です。

雨粒に最初に当たったヤツは○○

最近の日曜日はたいてい、午前中は生活習慣病の方とそれ以外の方が半々。午後はおもに発熱外来になります。

今朝は「涼しくなりましたねぇ」という挨拶を10回ぐらい繰り返した頃から、だんだん暖かくなってきました。

昼過ぎて屋外に出ると、この程度ならずっと続いても良いと思える心地よい暑さに、ちょっとホッとしました。

たぶん私は、夏が名残惜しいんでしょうね。真冬にはいつも、猛暑の方がよっぽどマシと毎年思いますから。

夕方近くになって外が急に暗くなってきたので、駐車場に出るたびに灰色の空を見上げていました。

するとある時、右腕にひと粒だけ、雨粒の滴下を感じたんですね。やばい、来たか。

慌てて屋内に戻り、「降り始めた!」と皆に得意気に報告したものの、結局、雨は降り始めませんでした。

「第1雨粒」に当たったと宣言した私は、「バカ」なのか「怠け者」なのか、はたまた「ウソつき」か。

そんなことを考えながら診療を終えました。発熱外来受診者43人のうち、コロナ検査数は9件。陽性は1人。

おそらくコロナだろうと思える方は他にも何人かいましたが、検査は希望されないため行いませんでした。

「検査して治療が変わりますか」と尋ねられ、「いいえ」と応えるとたいてい「じゃ、いいです」となります。

まあ、今どきそんなものです。治療薬はあるにはありますが、料金を伝えると「いや、いいです」となります。

今日は手足口病と溶連菌感染が多かったですね。こいつら、しつこいです。1人で何度も罹ります。

マイコプラズマは、メディアが騒いでるほど多くはないです。インフルは今日もゼロ。まだ流行る気配無し。

開院17周年

つるはらクリニックは、開院17周年を迎えました。

これもひとえに、皆様方の温かいご支援のおかげです。厚く御礼申し上げます。

開業を決意したのは、開院の約1年前のことでした。

その少し前から考え始めていたのですが、学会でバンコクに行っていたときに、最終的に決断しました。

心臓外科医として日々の診療に邁進しているときには、独立開業への思いを煮詰める余裕がありませんでした。

国内学会に出かけても、現地で会うのはいつもの顔ぶれだし、緊急事態があればすぐ熊本に戻る覚悟でした。

ところが海外の学会だと、すぐには帰国できないし、非日常かつ異国情緒に癒やされて開放的になるんですね。

実はその前年にも学会でイタリアに行ったのですが、そこで初めて、何かから解き放たれた気がしたのです。

学会発表のプレッシャーをはるかに凌駕する高揚感に包まれ、とても有意義な経験をさせていただきました。

バンコクから帰国したその足で医局の教授にご挨拶に伺い、開業の意思をお伝えし、了承していただきました。

開業してしばらくの間は、それこそ国内学会にすら行かず、ひたすら自院での診療に集中しました。

熊本地震でくじけそうになったのは、開院8年半後のこと。スタッフのおかげで乗り越えることができました。

その反動か、急に学会活動をしようという気になり、久々にアカデミックな刺激を受けるようになりました。

さらにそれと同時に、学会とは無関係に、あちこちを航空旅行する楽しみを覚えてしまいました。

ところが、コロナ禍が、これらの活動や刺激や楽しみや息抜きをすべて、いったん奪ってしまいましたね。

国のウィズコロナへの政策転換を時期尚早だと当初は思いましたが、まずまず妥当だったと今は考えています。

同年代の先生方の訃報を耳にすることが近年増え、自分の健康管理についても考え直しつつあります。

また同時に、やりたいことをできるうちにやろう、という発想も湧いてきました。まあゆっくり構想中です。

つるクリ18年目は、これまでと同じ診療スタイルで臨んでまいります。日曜祝日診療も続けますよ。

これからも、どうぞよろしくお願い致します。

超久しぶりの、つるくり食事会

10月1日の開院記念日(17周年!)を前に、つるはらクリニック職員の食事会を催しました。

開院当初は、この記念日のみならず、忘年会だとか新年会だとかその他の名目で、よく食事会をしていました。

しかし、熊本地震の頃からかその頻度が激減し、コロナ禍以降はゼロになっていました(BBQを除きます)。

いい加減にそのコロナから離れたいところですが、当院ではまだ、コロナを疑う受診者が途切れません。

もうしばらくの間、職員の皆様にも、緊張感のある発熱外来診療に携わっていただきたいと思います。

さて、久しぶりの会場に選んだのは、熊本の皆さんならよくご存じの「城見櫓」です。

市民病院勤務時代などに何回か来たことがありますが、熊本城がよく見えて、ロケーションは最高ですね。

食事会の詳細は割愛しますが、ライトアップされて青白く光る熊本城が綺麗でした。

熊本と言えば熊本城。それが良く見える、眺望の良いマンションの広告が、ときどき郵便受けに入っています。

でも考えてみたら、熊本城を毎日見ててもそのうち飽きませんか。だって動きがないし。

それなら私は、空港のそばに住みたいですね。何しろ動きがある。飛行機の離着陸を飽きずに眺められます。

休日には、ボーッと飛行機の離着陸を見ながら、ビールを飲んだり何か食べたりして過ごせそうです。

いやたぶん、あの飛行機はどこから来たとか機材は何かとか、調べ物で忙しいかもしれませんが。

「3連休」にはさまれた「4連休」

「ハッピーマンデー」という良からぬ制度によって、巷は猛暑の「3連休」でしたが、当院は「3連診」でした。

この「世間は3連休・当院は3連診」となるパターンが、今月は2週連続です。9月には、よくこうなります。

「シルバーウィーク」って、9月の連休がつながって5連休になった時だけでしたっけ。今年は違うんですかね?

総務省を問い詰めたら「それはウィークポイントを突かれちゃいましたね」と答えたとか答えなかったとか。

という訳で申し訳ありませんが、2つの3連休に挟まれた明日からの4日間、当院は4連休させていただきます。

ご存じの通り、当院は火曜・金曜以外の祝日は診療するので、年末年始とお盆以外に私には連休がありません。

以前はそれで問題無かったのですが、最近の私はリフレッシュのための連休が必要な体になってしまいました。

時々臨時休診しているのはそういう理由です。祝日診療した日数の分だけ臨時休診するように配慮しています。

なるべく土日祝日診療を続けるため平日を中心に休むので、今回のように火〜金の4連休となったりします。

もしかすると来月も、臨時休診するかもしれません。どうか、ご容赦いただきますようお願いいたします。

とくに今月9月は私の誕生月なので、誕生日を含む連休の間に旅行でもしようかと計画しております。

その詳細は、どっちみち当ブログにて白状することになるでしょう。黙ってはいられないタチなので。

でわでわ、明日の準備がありますので、今夜はこのあたりで失礼致します。

猛暑続きなのにインフルエンザワクチンの話

連休の真っただ中、しかも猛暑日なのに、当院は今日も診療しております(しておりました)。明日もです。

熊本は37度でした。どうなってるんですか、この暑さは。バカじゃないの地球、いや悪いのは地球人か?

駐車場に出ると、太陽光に炙られ、熱風で芯まで焼けてきます。まるでグリルの中に入った気分です(想像)。

途中で一瞬、霧吹きのような雨が降りましたが、焼け石に水というか、蒸し焼き状態になっただけです。

で、そんな猛暑日に切り出しにくいのですが、そろそろ考えておくべきインフルエンザワクチンの話。

今年はすでに、先週からワクチンを入荷可能な供給状況ですが、保冷庫の関係でまだ受け取っていません。

こんなに早くインフルワクチンが流通するのは、かなり珍しい。当院が開業してから最も早いと思います。

なので需要があれば、今週からでも接種は可能なのですが、さすがに早すぎて希望者が少ないでしょうね。

コロナ禍以来、季節性インフルエンザの季節感が失われてしまい、ワクチンの接種適齢期がよくわかりません。

接種が早すぎることを敬遠する方も多いでしょうから、今月どころか来月の接種需要さえどうなることやら。

でも中には早めの接種を希望する方もいるでしょう。予約枠だけでも早めに設定した方が良いかもしれません。

ここで当ブログの読者のために、こそっと内部情報。ネット予約の受付は9/22から始めるかも。知らんけど。