職員のマスク着用

当院のスタッフは数年前から、原則として、診療中には常時マスクを着用してきました。

自分が感染を予防するためと、他人に何らかの病原体を感染させないためです。

しかし、普通のマスクで風邪(ウイルス感染など)がどの程度予防できるのか、議論の余地はあります。

同様に、自分の風邪の拡散をマスクでどのぐらい防げるのか、明確な根拠はありません。

でも病原体の予防はできなくても、マスクで吸気の湿度を高めることは、感染予防効果があるかもしれません。

感染予防に気をつけているんだな、という印象を、周囲に与える効果もあるかもしれません。

しかしその逆に、接客・サービス業という観点からは、表情が見えにくいというのが最大の問題です。

さらに最近、ある聴覚障害の方から、口元が見えないと言葉が聞き取りにくい、という指摘を受けました。

これには、いままで気がつきませんでした。おっしゃる通りです。

そこで先日から、たとえば生活習慣病の方などは、原則としてマスクなしで診察することにしました。

もちろん、患者さんが風邪のときや、インフルエンザの流行期や、私自身が風邪気味のときなどは例外です。

マスクを外すことで、私の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1415.html" target="_blank" title="ひげ面">ひげ面</a>をお見せすることになったのは、やむを得ない副産物でした。

「先生、痩せましたね」などという反応が、相次いでいます。ひげは、顔が細く見える効果があるのですね。

電話が先かネットが先か

診療の予約受付開始時間を今月から変更したことは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1825.html" target="_blank" title="前にも書いた">前にも書いた</a>とおりです。

ネット予約は8時開始のまま、電話と窓口は8時半に遅らせて、約3週間ほど様子を見てきたところです。

じつは他院では圧倒的に、当院とは逆の優先順位にしているところが多いのです。

近隣小児科医院を5軒ほど調べてみると、みな窓口受付を先に開始して、ネット予約は少し遅らせています。

ネットでの受付時刻を、窓口受付よりも30分遅らせているところが2軒、25分が2軒、15分が1軒でした。

つまりこれらの医院は、朝いちばんに窓口に来た患者さんをまず、最優先で診察しようという考え方です。

その意図はわかります。しかしそれは、朝いちの来院者が必ず重症であるという仮定に基づくものです。

私の経験上、病状をひどく心配している方が、早朝から窓口を訪れますが、たいていは比較的軽症です。

あまり窓口を優先すると、診療は結局、窓口に来た順になり、予約システムが意味をなさなくなります。

予約制のメリットは、予約時間にちょうど間に合うように自宅を出れば良いことにあると、私は思います。

窓口で記名して順番を取り、あとはずっと待合室で待つ、という昭和なやり方は、なるべく避けたいのです。

そこで思い切って当院では、他院とは逆に、ネット優先にしました。ネット予約を誘導するためです。

8時半までには、午前中の予約枠は埋まります。しかし、電話や窓口予約用の枠は、いつくかとってあります。

8時半になって、電話が鳴り始めたら、その枠を使って予約を入れていきます。

ネット予約では、ある程度病状が重い人が早めの順番をとっていると推測しますが、詳細は不明です。

一方で電話・窓口予約の場合は、病状をお尋ねした上で、重症度を判断して予約枠を割り振ることができます。

ネットと電話・窓口の予約可能枠数は、20対10程度に設定し、曜日によってその比率を調整しています。

院内で長くお待たせしないのが予約制の利点なので、このような予約法をとっていることをご了承ください。

敷地内禁煙

「敷地内禁煙」が守られていないため、江津市の病院が「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1553.html" target="_blank" title="禁煙外来">禁煙外来</a>」の診療報酬を返還することになりました。

医療機関は、一定の条件を満たしていなければ「ニコチン依存症管理料」を算定できないキマリなのです。

いわゆる「禁煙外来」を行うための「施設基準」とよばれるもので、次の6つの規定があります。

(1)禁煙治療を行っている旨を保険医療機関内の見やすい場所に掲示していること

(2)禁煙治療の経験を有する医師が1名以上勤務していること(当該医師の診療科は問わない)

(3)禁煙治療に係る専任の看護師又は准看護師を1名以上配置していること

(4)禁煙治療を行うための呼気一酸化炭素濃度測定器を備えていること

(5)保険医療機関の敷地内が禁煙であること

(6)管理料を算定した患者のうち喫煙を止めたものの割合等を、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1756.html" target="_blank" title="厚生局に報告">厚生局に報告</a>していること

今回問題となったのは(5)です。病院職員が、敷地内で常習的に喫煙していたとのこと。弁解の余地ナシ。

しかも、告発を受けて調査に出向いた厚生局の職員の目の前で吸っていたのでは、アウトでしょう。

例外的に、建物の一部分を用いて開設されている医療機関は、その部分だけ禁煙なら良いことになっています。

商業ビルやマンションにテナントとして入っているクリニックにまで、敷地内禁煙は求めないわけです。

そのような場合は当然、同じ建物内の別のテナントや共有部分では、いくらでも喫煙ができることになります。

でもそれだったら、病院だって、きちんとした喫煙室を作ればいいってことになりませんかね。

大病院のような大きな組織になると、敷地内禁煙はなかなか徹底しにくく、隠れて吸う人も出てくるのです。

むしろ喫煙室を作った方が、それ以外の場所での禁煙を徹底できるような気もします。

当院はもちろん、すべての基準を満たして禁煙外来を行っています。「敷地内禁煙」と明確に掲示しています。

ただ、朝の清掃でしばしば、駐車場のスミなどで吸い殻を見つけます。吸う人は、どうしたって吸うのです。

朝の受付時間

当院の診療は、「ネット」「電話」「窓口」の3つの予約方法があります。このことは<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1812.html" target="_blank" title="先日">先日</a>も書きました。

それらの受付時刻は、これまでは朝8時開始としていました。ネットでも電話でも窓口でも、朝8時からです。

冬場などはとくに、朝8時ジャストから、ネット予約(アイチケット)がドンドン入って来ます。

電話も8時からかかってきますが、回線が限られるので、通話中でつながらないことが多いでしょう。

予約なしで直接窓口に来られる方には、ネットと電話の予約の合間に、割り込む形で予約を入れていきます。

このようにして8時10分ぐらいまでには、午前中の予約枠のほとんどが埋まりますが、診療は9時からです。

予約から診療までの待ち時間が、長いのです。じゃあ、診療開始を早めるのか?

患者さんの病状等によっては、8時半ごろから診療を始めることもありますが、それは例外的なケース。

看護・事務スタッフも揃ってないし、院内はまだ掃除中だし、隣の薬局も開いてないし・・・

で、思ったのです。診療予約の受付を朝8時から始めても8時半からでも、結果は同じではないかと。

そこで今月から(昨日から)、受付時刻を改定しました。

電話と窓口は、朝8時半からにしました。ただし混雑緩和のため、ネット予約の時刻だけ8時のままです。

さらに、ネットで予約枠が全部埋まってしまうことのないように、いくつか空き枠を作っておきます。

お急ぎの方でも、8時半から電話予約すれば、これまでと同程度には、予約が取れるように工夫しています。

電話予約に対応するための空き枠を、どのぐらい準備しておけばよいのか。しばらくは試行錯誤です。

受診されるみなさまには、ご不便・ご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうかご了承ください。

開院9周年

本日、つるはらクリニックは、開院9周年を迎えました。

これもひとえに、皆様方の温かいご支援のおかげです。厚く御礼申し上げます。

(↑鋭くない人でも、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1458.html" target="_blank" title="1年前のブログ">1年前のブログ</a>の「8」を「9」に変えただけじゃん、と気付くことでしょう)

9年間と言えば長いですが、振り返って思い出されるのは、この半年のこと。熊本地震後の苦労ばかりです。

今日来院された患者さんにもまだ、親戚宅へ避難中の方が何人もいました。

自宅の雨漏りがひどくて天井がカビだらけで、ずっと咳が止まらない、というお子さんも受診されました。

高血圧の方々のうち約半数は、自宅の血圧計が故障したせいで、いまだに日頃の血圧が測れない状況です。

体重計が壊れたので体重もわからん、という方もいます。

隣のサンピアンは、先月から1階の食品館がオープンし、昨日からはATMも使えるようになりました。

2階と3階の復旧は年末までかかるとのことですが、気長に待つしかありません。

益城町を、数日前に訪れてみました。

驚いたことに、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1698.html" target="_blank" title="5月に行ったとき">5月に行ったとき</a>の光景と比べて、あまり大きな変化はないように見えました。

もちろん、着々と復旧・復興は進んでいるのでしょうが、倒壊したままの住宅がまだ、無数にありました。

熊本の地で開業した者の責任として、可能な限り被災者に優しい診療を心がけようと、決意を新たにしました。

土日祝日は、益城町や阿蘇方面など近隣一円からの受診者も多く、時間通りに診療が終わることはまれです。

平日には、共働きやひとり親家庭の子どもさんが、とくに午後6時を過ぎてから混み合ってきます。

所定の診療時間を過ぎても、患者さんが途切れるまで、夜まで診療する。この姿勢は続けたいと思います。

診療の優先順位

当院の診療予約は、ネットと電話で受け付けていますが、もちろん、窓口に直接来院されてもOKです。

わざわざ朝から窓口まで来られて、熱が高いので診て欲しいと言う方は、早めに診察してあげたいものです。

ところが、窓口に直接来られる方が、必ずしも重症ではないところが、問題です。

夜中から具合が悪い方の多くは、朝8時の予約開始と同時に、ネットや電話で予約を入れてきます。

そういった方こそ、朝いちばんに受診していただいて、すぐに診察したいことろです。

しかし、予約せずに朝から直接来院して待っている、比較的軽症の方を、後回しにするのも気が引けます。

今日のような祝日はとくに、当院を初めて受診される方が多く、しばしば予約無しの飛び込みです。

ウチは予約制ですからお待ちください、と言って、最後の順番までお待たせするわけにもいきません。

かといって、直接受診すれば予約者よりも優先して診察するというのでは、予約システムが成り立ちません。

重症か軽症か、予約か予約外か、初診か再診か、なにか特別に事情があるかなど、複合的な判断に迫られます。

そして、どのようにうまく判断しても、全員が満足ということにはなりません。あちこちに不満が残ります。

開院してもうじき9年になりますが、診療順の決め方はいまだに、「予約順+臨機応変」です。

早く来たのに長く待たされている、と感じている方も多いと思いますが、それには事情があるのです。

もしも次回、ひどく具合が悪くて来院された場合には、きっと最優先で診察するはずです。

経済センサス

「経済センサス—活動調査」という面倒くさい調査の、回答期限が明日に迫りました。

まず、「センサス」などという横文字を使う、お役所(総務省)の態度が気にくわない。

まあそんなことを言ってもしょうがないので、ネットから、オンライン回答を行うことにしました。

調査総合窓口にログインすると、さっそく、「確認コード」つまりパスワードを変更しろという指示あり。

「あらかじめ配布された確認コードは、第三者の目に触れる可能性があるため」というのがその理由です。

こういう変更の仕方って、本当に安全なんでしょうかね。よくわからんけど。とりあえず変更。

そしたら「変更してよろしいですか」という確認ボタン。こら、そっちが変更しろと言ったんだろが。

ようやく「経済センサス—活動調査」の「単独事業所調査票」画面が出ました。

提出期限は6月7日となっていますが、震災の関係で、熊本市では3カ月ほど調査が遅らされているようです。

さて、その調査内容なのですが、大きく分けて2つです。

(1)役員と正職員・パートの内訳(性別と人数)

(2)売上と経費の大まかな内訳

このうちとくに(2)が面倒くさい入力項目でしたが、全部税務署に申告した書類に入っている項目でした。

さらに言うなら(1)だって、すでに年金事務所やハローワークが把握しているはずの情報です。

どこかの役所に一度は申告したはずの情報を、なぜもう一度、国に報告しなければならないのでしょう。

このたびの調査元は総理府と経産省ですが、財務省と厚労省から情報をもらうわけにはいかないのですか。

そんな縦割り行政のために、国民をいちいち煩わせないでほしい。

大学病院と町医者

大病院指向の人の中には、通常の大病院・基幹病院には飽き足らず、大学病院の受診を希望する方がいます。

もちろん、最高度の医療が必要なときは、大学病院(特定機能病院)がいちばん頼りになるかもしれません。

さてここからは、私の個人的な、了見の狭い考えと経験に基づく意見ですので、ご了承ください。

大学病院の医師からみると、外来診療は決してメインの仕事ではありません。むしろ面倒なやっつけ仕事です。

自分の研究テーマや専門分野を、どんどん掘り下げて探究したい、というのが大学病院の医師の願いです。

興味のない分野が混在する診療には、あまりエネルギーをつぎ込みたくないのです。なにしろ時間が惜しい。

私が大学病院にいた時期には、さいわい、外来診療を受け持つことは多くはありませんでした。

しかしたまに、人手不足の時などにかり出されました。いちばんイヤでたまらない仕事でした。

朝から実験しようと準備していたとき、今日は外来を担当するようにと頼まれると、予定が丸つぶれです。

時間を奪われ、体力まで消耗することがわかっているので、もう、外来に出ていく前から、意気消沈です。

そんな気分で診療に当たっている、私の診察を受ける患者さんも悲劇です。いま思えば、申し訳ない話です。

だからこそ言いたいのです。軽い病状やごくありふれた疾患で、大学病院の外来を受診してはならないと。

そんな私が、いまは真逆の外来診療専従です。毎日毎日、多くの患者さんと会話を交わして時間を過ごします。

いつもの患者さんの、表情や口調や歩き方のかすかな違いに、何か異変を見い出そうと診療をしています。

これは地域に根ざした「町医者」にしかできない特技です。

昨今、「かかりつけ医」の存在が重要視されていますが、そんなことは昔から当たり前の話なのです。

聴診器

診察でいつも使っている聴診器が壊れました。しかも修理不能。聴診器って、意外と壊れやすい構造なのです。

壊れる場所は、いつも決まっています。両耳から降りてきたチューブが合流する三叉路の手前の部分です。

適度な力で耳にはまるように、その部分には板バネが仕込まれています。そのバネの金属が、折れるのです。

いわゆる「金属疲労」です。働かせすぎたせいなので「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-721.html" target="_blank" title="勤続疲労">勤続疲労</a>」とも言えます(また言ってしまった)。

聴診器でいちばん大事なのは、もちろん先端のチェストピース部分。あとはただのチューブです。

ところが、そのチューブ内に組み込まれて適度な弾力を与えている金属(内バネ)が、真っ先に破損します。

最重要部分には何の問題もないのに、その聴診器は使えなくなり、廃棄せざるを得ません。

これって、聴診器メーカーの謀略ではなかろうかと、いつも思います。

医師が通常使っている、いちばんポピュラーな聴診器は、「リットマン」と呼ばれる構造のものです。

リットマンにもピンからキリまでありますが、学生時代も研修医時代も今も、私はリットマンを使っています。

しかし1997年から約10年間、HP製の「ラパポート」型聴診器にハマった時期があります。

リットマンよりも古風で、重くて、精密で、マニアックな雰囲気があったからです。

というよりも、テレビドラマ「ER緊急救命室」に出てくる医師たちのHP製聴診器が、格好良く見えたのです。

HPの聴診器は外バネなので、破損はしにくいのですが、なぜかだんだん聴こえが悪くなってきます。

学生時代に、内科の某教授が使っていたのは、さらにクラシカルな聴診器でした。

チェストピースはおそらく象牙で、そこから異様に長いゴム管が2本伸び、その先を両耳に差し込みます。

2本のゴム管をつなぐバネがないので、おそらく最も破損しにくい聴診器と、言えなくもありません。

マイクロホン付き聴診器は、今はまだ邪道のようなものですが、性能も使い勝手もどんどんよくなるでしょう。

手に持つのはチェストピースだけ。耳にはBluetoothのイヤホン。そんな聴診スタイルになるかもしれません。

コンビニ○○

自転車で通勤する日は、朝6時半すぎに家を出ますが、クリニックに着いたときには汗ダラダラです。

夜7時台に愛犬と散歩しても、やはり汗だくになります。今年の夏はやたらに暑いですね。

近所の広場には、仮設住宅が建造されつつありますが、その傍らには、避難用のテントがまだ立っています。

深緑や黒い色のテントばかりで、その内部の暑さたるや、想像を絶するものがあります。

一昨年と昨年の西日本は冷夏でした。今年こそ冷夏であって欲しいのに、皮肉にも猛暑です。

クリニックの隣のサンピアンは、9月1日のリニューアルオープン(食品館のみ)に向けて、突貫工事中です。

作業員の熱中症が心配でしたが、案の定、当院にも担ぎ込まれました。ただちにクーリングと点滴です。

今日、8月13日(土)は、当院では朝9時から夕方5時(実際には6時半)まで、診療を行いました。

明日、8月14日(日)も、同じ時間帯で診療を行います。当院のお盆休み(臨時休診)は、8月15日(月)です。

開院してもうじき9年経ちますが、当初から「土日祝日診療」を続けてきました。

他院が休診でお困りの方の利便性を図る「親切なクリニック」が、当院の基本理念のひとつだからです。

軽い病気で救急病院を受診する、いわゆる「コンビニ受診」を、少しでも減らそうという思いもあります。

だから当院の場合は、「コンビニ受診」していただいて結構。もともと「コンビニ診療」が目的ですから。

そのようなことを、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2.html" target="_blank" title="8年ほど前のブログ">8年ほど前のブログ</a>にも書いたことがあります。

というわけで今夜は、村田沙耶香の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1750.html" target="_blank" title="芥川賞">芥川賞</a>受賞作『コンビニ人間』を読みました。コンビニつながりで。

面白かったけど、私は今村夏子の『あひる』の方が好きですね。もう少し長編なら、受賞してたと思います。