聴診の工夫

友達がFacebookで「激安聴診器」の話を投稿していたので、少しに気になって書いています。

一流品のコピー品とのこと。本物の10分の1以下の価格ですね。たぶん中国製か。

聴診器で事故や障害が起きるとも思えないので、ちゃんと聴けりゃいいんでしょうけどね。耐久性は大丈夫か。

学生時代からこれまでに、私も多数の聴診器を使ってきました。その<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1784.html" target="_blank" title="遍歴">遍歴</a>については、前にも書きました。

いま、メインの診察室(第2診察室)では「リットマン カーディオロジーIII」という聴診器を使っています。

「カーディオロジー(心臓病学)」という名前が付けられているように、循環器用ということになっています。

それ以外の診察室や処置室にもそれぞれ聴診器を置いて、いちいち持ち歩かなくてもいいよういにしています。

これらの部屋ではおもに呼吸器等の急性病変を診るので、聴診器は一般的な「リットマン クラシック」です。

冒頭に紹介した記事の中に、冬場には聴診器を手で温めてから患者さんに使え、という話がありました。

これを読んで私は、かつて聴診器を<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1139.html" target="_blank" title="ホットプレート">ホットプレート</a>で温めていたことを思い出しました。

もちろん今は、そんなヘンテコリンなことはしていません。

どの季節でも、聴診の直前には自分の手のひらで聴診器を温めます。人肌になじんでから、聴診を開始します。

しかも最初は胸ではなく、上腹部正中に聴診器を当てます。この場所の皮膚感覚は、比較的鈍感だからです。

これで、聴診器の冷たさを身構えていた患者さんが、そうでもないことを感知し、緊張感も和らぐのです。

子ども相手でも、同じようによく温めてから使いますが、聴診器を当てられたら大泣きする子がいます。

母親はたいてい「あー、ちゅめたかった(冷たかった)ねー」と言って、子どもをあやしたりします。

「いや、そのはずはありません。聴診器はちゃんと温めてましたから」なんて言い訳は、もちろんしません。

聴診時に子どもを泣かせないことが、医者の腕の見せ所だからです。私もまだ工夫が足りないのでしょう。

大型飛び石連休

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-206.html" target="_blank" title="大型連休">大型連休</a>に突入しました。

お前そりゃ気が早いだろう、とおっしゃる方もいるでしょうが、当院は、明日4月27日(木)から連休なのです。

種を明かせば、明日(木)と明後日(金)を2連休し、その次の土日は診療します。

その次の週は、5月1日(月)と2日(火)を2連休し、3日(水)と4日(木)は診療します。

連休期間中でも、土日祝日はなるべく診療し(火金は休診)、そのかわり平日に臨時休診する計画です。

その結果、明日から5月7日(日)までは、2休→2診→2休→2診→1休→2診、という飛び石連休になりました。

暦通りに休む一般企業ならこの期間は、2勤→2休→2勤→5休、と終盤に5連休が控えているところです。

当院では最大で2連休しかありませんが、ちょっと働いたらまた休み、という<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-48.html" target="_blank" title="飛び石気分">飛び石気分</a>は十分堪能できます。

「休前日」を何度も味わうことができるのが、飛び石連休の良いところです。

また、当院の職員は、年次有給休暇を適宜取ることによって、飛び石をつなげれば、長期連休になります。

今のような、土日祝日診療、火金休診、というパターンは、今後しばらく続ける予定です。

将来、体力的な理由等から、休診をもう少し増やそうという気分になったら、さてどの日を休みましょうかね。

(案1)火・水・金を休診:現行の休診日に、水曜休診を加える形。移行は容易。

(案2)月・水・金を休診:飛び石連休を堪能するためには、最適なパターン。

(案3)火・水・木を休診:毎週必ず3連休。これも捨てがたいか。

定刻での業務終了

ヤマト運輸が今日から、ドライバーへの直通電話と再配達受付時間の締め切りを、19時までに短縮しました。

長時間労働やサービス残業の慢性化が問題になっていたからです。そもそも仕事量が多すぎるのです。

似たような状況は、他の企業や、官公庁や、医療機関にもあるはずです。

当院でも、平日19時、土日祝日は17時までの診療時間が、いつも大幅に延長する問題が続いています。

なぜそうなるかと言えば、診療を求められたら、原則として断らない方針でやって来たからです。

かつてはそのようなやり方で、夜10時11時まででも診療を行っていましたが、さすがにそれは問題です。

この件は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1196.html" target="_blank" title="前にも書いた">前にも書いた</a>通り、徐々に改善してきたつもりですが、まだまだ時間外診療が続いていいます。

ヤマト運輸の件で、世の中が労働時間に厳しくなってきたこの機会に、当院でもさらに見直しを検討しました。

(1)診療を、なるべく定刻通りに終わらせる。

(2)そのために、予約受付段階でやんわりとお断りする。

多くの医療機関では、昔からすでにやっていることかもしれませんが、当院ではまだ不慣れです。

いまだに診療時間の最後の方のやりくりが下手なのか、どうしても30分以上は延長してしまいます。

どうやったら定刻に診療が終了できるんでしょうね。

震災と温度差

熊本地震の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1656.html" target="_blank" title="本震">本震</a>が起きたのは、1年前。4月16日の未明でした。

前震の夜から大量に放出されていた私のアドレナリンも、本震ですっかり枯れ果て、力が抜けてしまいました。

私や家族や自宅に致命的な被害がなかったことで、ひと安心したのかもしれません。

真夜中に、Facebookでクリニック職員の安否を確認。けが人はなさそうでしたが、皆さん大混乱です。

夜が明けてわが家の被害確認もそこそこに、むしろいつもよりも早いぐらいの時間帯に、私は出勤しました。

ともかく朝いちばんに、クリニックの状況を確認しようと思ったからです。

最初に建物の外観をざっと見た後、院内に入って真っ先に確認したのは、薬品保冷庫です。

さいわい停電はしておらず、保冷庫の庫内温度も正常でしたが、夜間に停電していた可能性はあります。

自宅では、本震の直後に数分間停電しました。それぐらいの時間なら、庫内温度は上がっていないはず。

もしも真夏で、停電時間も長かったら、生ワクチンはダメになっていたことでしょう。

次は、電話回線やインターネットや院内LANの接続確認です。

アナログ回線とは異なり、光電話はこういうときに弱いのですが、さいわい電話もネットもLANもOKでした。

しかし、電子カルテのサーバー機が破損していたほか、クライアント機もほとんどが床に落下していました。

そのいきさつは1年前に書きましたが、なんとか工夫して、サーバー機を交換することができました。

機器の再設定やソフトの再インストールなどは、電子カルテの業者と電話でやりとりしながら行いました。

でも電話口の向こう(=東京)では、こんな日にも平然と通常業務をしていることが、私には妙な感覚でした。

そりゃそうでしょうけどね。東日本大震災とは違って、熊本地震は東京には何の影響もなかったわけですから。

所詮、東京から見たら遠い九州の出来事なんだなあと、その温度差を思うとちょっと寂しくもありました。

当番医と休日加算

ちょうど、熊本がインフルエンザ流行期に入ろうとしている今日、当院は休日当番医でした。

先週までは、胃腸炎や溶連菌感染の方が多かったのですが、今日からインフルエンザが逆転。大逆転です。

さて、当院が当番医のときと、他の医療機関が当番医のときとでは、違いがあります。ズバリ、医療費です。

当院では、日ごろ日曜祝日診療を行っている関係上、通常は「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-284.html" target="_blank" title="休日加算">休日加算</a>」を算定できない規定なのです。

好きで休日診療をしてるのなら、休日加算は取れませんよ、というのがお役所の言い分。

一方で、他院がお役目として例外的に休日診療をする休日当番医の場合には、休日加算が算定できます。

当院で加算が算定できないと言うことは、医療費が減るということであり、患者の窓口負担も安くなります。

決して当院が値引きしているわけではなく、国の規定でそうなっているのです。

例外的に、6歳未満の小児に関しては、当院でも休日加算が算定できます。これは小児医療に対する配慮です。

どっちみち6歳未満では、自治体からの医療費助成があるので、患者負担には何も影響しませんけどね。

さて、診療報酬には、さらに細かい規定があります。

それによると、当院が休日加算を算定できないのは、当院が日曜日の診療時間として標榜している時間帯です。

具体的には、午前9時から午後5時まで。この時間帯だけ、当院は他の当番医よりも医療費が安くなります。

逆に言うなら、午前9時前や午後5時以降に来院された患者さんは、他院と同じ医療費となります。

今朝も8時台に来院された方が何人もいましたが、その方々はみな、医療費が割高になってしまいました。

なんかケチな話ですが、厚労省の規定ではそうなりますので、ご了承ください。

保険証は毎回確認します

医療費の大半を、患者の代わりに支払ってくれる割引証をご存じでしょうか。「保険証」です。

「患者の窓口負担は7割引にしてください。残りは保険者が払います」と保証してくれるのが保険証なのです。

その保険者(会社や自治体)が支払う医療費の財源は、患者(被保険者)が毎月払ってる健康保険料などです。

会社を退職したら、その会社はもう、医療費を払ってくれません。割引証(保険証)は使えなくなります。

ところが、さまざまな理由から、退職した会社の古い保険証を提示する方が、しばしばいます。

外見上は、その保険証は適正なものなので、それが提示されれば、通常通りの保険診療を行うことになります。

そして翌月、その保険者に対して、診療報酬を請求します。すると当然、保険者はそれを却下します。

これを「返戻(へんれい)」といい、レセプトが当院に突き返されます。「保険証が無効です」と。

窓口で、一見問題のない保険証の提示を受けても、毎月数件、このようなことが起きます。

このようなトラブルは、診療の都度、毎回保険証を確認しても、完全に防ぐことはできないでしょう。

なぜなら、会社の退職などによる<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1785.html" target="_blank" title="資格喪失">資格喪失</a>から、保険証の返還までの間に、タイムラグがあるからです。

そのようなタイムラグを解消できると期待されているのが、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1334.html" target="_blank" title="マイナンバーカード">マイナンバーカード</a>による保険診療です。

厚労省は、マイナンバーカードを保険証として利用することを、来年にも実現しようと目論んでいます。

マイナンバーカードのセキュリティや、読み取り装置の設備投資など、問題はたくさんあります。

ですが、効力の切れた保険証提示に悩まされている今、マイナンバー利用は、救世主になるかもしれません。

それまでは、当院では<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-466.html" target="_blank" title="保険証の毎回確認">保険証の毎回確認</a>を徹底して参りますので、ご面倒でしょうが、ご協力をお願いします。

アンケート調査

日頃から、様々なアンケート調査の郵便物やFAXやメールが届きます。

アンケートなので回答する義務はありませんが、その調査の趣旨に賛同できれば、多少面倒でも協力します。

しかし、業者にとっては有益でも、私には何のメリットもない作業には、時間を費やしたくはありません。

そこは考えたもので、医療・製薬系業者の場合には、アンケートに答えると図書券を送り返してきたりします。

もちろん、郵便物なら返信用封筒も入っています。

結局は、コスパですね。時間と労力が報われると思えば、アンケートに答えることになります。

さて先日は、九州厚生局熊本事務所から、「アンケート」と称する郵便物が届きました。

「平成28年熊本地震に伴う診療報酬等の特例措置による対応状況について」というのが、調査内容です。

まったく簡単なアンケートでした。当院の場合、「質問1」で「イ」を選んだら、それで終了です。

ところが、返信用封筒が入っていません。「提出先」として、厚生局の事務所の所在地が書いてあるだけです。

つまり、回答者が自腹でその宛先まで返送するように、という意思表示です。アンケートなのに。

回答用紙には、医療機関名などを記入しなければならないというところが、ミソです。

アンケートとは名ばかりで、記名式の調査書類なわけですが、なにしろ厚生局なので、従うほかありません。

でも、回答内容があまりに簡単なので、電話で済ませられるかも、と期待して、厚生局に電話してみました。

私「当院の場合、質問1でアンケートは終了なのですが、用紙を返送する必要がありますか」

厚「返送してください」

私「はい」

というわけで、いま郵送作業を進めている私です。郵送料に加えて、電話代まで使ってしまいました。

ホームページの提案

ホームページを変えませんか、スマホ専用ページを作りましょう、などとさまざまな業者から提案があります。

FAXや郵便物やメールが届いたり、電話攻勢にも遭います。

数日前に届いたメールには、こうありました。

「御社サイトを拝見させていただき、集客にお役に立てるのではないかと思いご連絡させていただきました」

こういうのが実に多いのですが、まず、「御社」とか「集客」とかいう文言がすでに、ダメでしょう。

サイトを「拝見」したと言っていますが、実際には見てない証拠です。うちは会社ではありません。医院です。

「御社」ではなく「貴院」だし、「集客」などという言葉もイヤらしい。せめて使うなら「集患」でしょう。

当院のサイトをよく見た上で、問題点を細かく指摘してくれるのなら、少し話を聞いてみようかと思うのに。

最低限のチェックもせずに、機械的にダイレクトメールを送信してくるのでは、話になりません。

送られてきたメールを読んでみても、一般企業向けの集客の一般論しか書かれていません。

ホームページは大事です。重要な情報提供の場だし、いまの時代、クリニックの顔です。

だから、感じが良くて、診療内容や雰囲気や、院長の考え方がよく分かるサイトを作りたいものです。

とは言いながら、そのホームページからスピンオフした「院長ブログ」ばかり更新しているのが、いまの私。

クリニックとは必ずしも関係のない、私の個人的な趣味・趣向の情報を、おもに提供しております。

サーバーダウンの教訓

「システムトラブルは、忘れた頃にやってくる」

電子カルテのサーバーの不具合はこれまでに何度も起きましたが、毎回、何か新しい問題に突き当たります。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1213.html" target="_blank" title="過去最大級のトラブル">過去最大級のトラブル</a>は、2年近く前のサーバーダウン。このときは、データまで失われたのが痛かった。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1214.html" target="_blank" title="翌日の休診日">翌日の休診日</a>に、早朝から夜遅くまでかけてようやく修復できました。体重が、2日で1キロ減りました。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1656.html" target="_blank" title="熊本地震のとき">熊本地震のとき</a>には、サーバー機が床に転落。これぞまさしくサーバーダウン、なんて言ってはおれません。

Macは壊れましたがデータは取り出せたので、奇跡的に本震の当日から、診療を行うことができました。

さて一昨日は、診療終了直後にサーバーがフリーズ。その後、立ち上がらなくなりました。

予備サーバーに切り替えても、ダメ。どうやらソフトが壊れたようです。新規インストールして無事解決。

と、思ってたのに、今朝の診療開始直後にいきなりトラブル。大慌てでサーバー機を再び交換。やれやれ。

一昨日のトラブルの原因は、Macの内蔵ストレージの空き容量不足によるソフトの破損だったようです。

今朝のトラブルは、予備サーバーのOSが新しすぎて、電子カルテと合わなかった可能性が考えられます。

ラッキーだったのは、一昨日のトラブルが診療終了直後に、今朝は診療開始直後に起きたこと。

バックアップデータからの作業をすることで、データを失わずに、復旧作業を行うことができました。

電子カルテは、データが命。毎日のバックアップしといて良かった。

とは言え、教訓は残りました。

(1)ストレージの容量をケチらない。おまけに、よけいなファイルをため込まない

(2)最新OSにやたら手を出さない。いちばん大事なMacは、2年落ちぐらいのOSで

(3)バックアップは頻回に。どのタイミングでトラブるかわかりません

電話予約と男と女

当院の診療予約の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1825.html" target="_blank" title="電話受付">電話受付</a>は、朝8時半開始です。受付スタッフと私の2人で、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-882.html" target="_blank" title="電話番">電話番</a>をしています。

電話応対をしていると、社会の縮図を見るような思いがします。たとえば、電話の主と実際の患者との関係。

(1)患者=子ども、電話=母親

いちばん多いパターンです。お子さんの病状をよく把握しており、経過の説明も的確です。

(2)患者=子ども、電話=父親

ダメダメなパターンです。たいして病状が重くなくても、なぜか慌てています。

「お名前をお願いします」と尋ねると、「私ですか?子どもですか?」と応えます。

(3)患者=電話=成人女性

とくに問題を感じません。スムーズです。

(4)患者=夫、電話=妻

「熱はありますか」と訊くと、少し間を置いて、「熱は無いです」と応えます。何を尋ねても、即答なし。

待たされている間、電話口の向こうでの、やや険悪なやりとりが丸聞こえです。自分で電話すればいいのに。