「完全予約制」もなかなか悩ましい

某医療系サイトで、医療機関の外来待ち時間短縮への取り組みについての、調査結果が報告されていました。

一般に「完全予約制」は、待ち時間を最小限にするために有効な手段と考えられています。

とくにコロナ禍の発熱外来では、動線や時間帯分離への配慮からも、完全予約制が必須でした。

当院では開院当初から、ネットと電話予約を併用し、その合間に予約外の方を挟む方式で受付してきました。

その意味では「不完全予約制」なのですが、コロナ禍に入ってからは、予約外の受付枠はごくわずかです。

メリットはともかく、完全予約制にはデメリットもたくさんあります。それが現場の悩みの種です。

「時間通りに来たのにこんなに待たせるのか、予約の意味がないだろ」というお怒りの言葉をよく頂戴します。

思いのほか時間がかかる患者さんがいたり、重病の方が続くと、予約はどんどん後ろ倒しになるのです。

そうならないように、予約を詰め込まないようにすると、こんどは診療できる人数が少なくなってしまいます。

「予約がすぐ満杯になるが、どういうことなのか」という苦情を受ける背景には、そういうこともあるのです。

遅刻してきた人の診療はどうすべきか、という問題も起きます。

他の業界なら、予約に遅れたらキャンセル扱いにするかもしれませんが、医療でそれはできません。

遅れた方はどこかへ割り込むことになり、その結果、以後すべての予約者の診察時間がずれていきます。

どうか、時間に余裕を持って来院していただくよう、お願い致します。

なかなか疲れる土日祝

「土日祝日診療」を謳う当院は、月曜がハッピーマンデーや振替休日になると、怒涛の3連診となる宿命です。

コロナ禍の土日祝は発熱者だらけです。ネット予約枠は秒で埋まり、電話は繋がらず、たびたび苦情が来ます。

今朝は9時前に、夕方までの予約が埋まってしまいましたが、そんなに早く満杯になるのには理由があります。

慢性疾患で定期的に受診している方の診療枠を確保するため、その分、急性疾患用の枠を減らしているのです。

ご高齢の方に、ネットや電話予約合戦に参戦してもらうわけにはいきません。そこのところはご理解ください。

新規予約者の大半は発熱外来の受診希望者ですが、その内容は徐々に変わってきています。

インフルはほぼほぼB型。溶連菌やコロナもしつこく出ています。でも一番多いのは、相変わらず胃腸炎です。

便持参の乳幼児しかウイルス検査はしていませんが、状況的には、ほとんどがノロウイルス感染と思われます。

家庭内での感染蔓延も目立ちます。胃腸炎ウイルスにアルコールは効かないということを、強調しておきます。

あちこちで、ノロウイルス感染による食中毒騒ぎが起きていますね。

何度も書いてますけど、私には生牡蠣を食べる勇気はありません。あと鶏刺し・鶏たたきも食べません。

臆病と言われてもいいです。君子危うきに近寄らずです。李下に冠を正さずです、これは違うか。

土日祝の3連診が明ければ火曜日。当院の休診日です。これがあるから頑張れるわけです。

でも開院当初の数年間は、火曜は休診ではなく半ドン。休診は金曜のみ。無茶なことしてましたよね、当時は。

臨時休診して旅行に行く

勤務医時代は、おおむね年中無休で働いていました。当時は(今も?)多くの病院が「ブラック」でした。

それが普通だと思っていました。求められた医療は万難を排して行い、個人の都合など二の次であると。

ところがある時、「夏休みを交代で取ろう」と上司が言い出したのです。

外科医が3人だけの部署で、手術は常に3人で行うので、だれか1人欠けても手術ができないというのにです。

でも確かに、症例を選び他の科の医師に応援を頼めば、3人のチームを編成して手術を行うことは可能でした。

連休など諦めていたので戸惑いましたが、慌てて旅行を計画して、家族でディズニーランドに行きました。

当院の休診日は火曜と金曜です。日曜・祝日診療を続けているので、連休となるのは年末年始とお盆だけです。

しかし最近、どうしても連休がほしくなって、ときどき水曜と木曜を臨時休診して、4連休を作っています。

とくにこの1,2年、まるでコロナ禍の閉塞感からの脱出を図るかのように、私は時々海外旅行をしています。

できるだけ遠くへ、行けるうちに行っておこうという気分にもなるんですよね、この年になると。

そんなわけで今年もたまに、ごくたまに、臨時休診して連休を作って、旅に出ることがあろうかと思います。

日曜だけは休まないようにしますが、平日の臨時休診は、早めに告知しますので皆さまご了承ください。

ということで、十分に伏線は張りましたからね。その時「ああ、あれか」と思い出していただければ幸いです。

第何波かは知りませんが、コロナ流行中

ご存じでしょうか。いまはコロナの感染者の方が、インフルエンザよりも多いのです。

定点あたり報告数は、1週間遅れで集計・発表されますが、熊本市の最近の数値は以下の様になっています。

第1週(12/30〜1/5)インフルエンザ:41.96、コロナ2.04

第2週(1/6〜1/12) インフルエンザ:38.40、コロナ:4.88

第3週(1/13〜1/19) インフルエンザ:17.56、コロナ:4.40

第4週(1/20〜1/26) インフルエンザ:10.52 、コロナ:4.48

第5週(1/27〜2/2)  インフルエンザ:4.48 、コロナ:4.92

このところ、インフルエンザが毎週のように半減しているのに対して、コロナは不気味なほどに横ばいです。

いや、コロナはもしかすると今後増えるかもしれません。

現に当院の今日の発熱外来では、インフルA型3人、B型1人、コロナ6人と、コロナが逆転していました。

先月は、インフルエンザかと思ったらコロナだった、という方が多かったですが、今月は様相が異なります。

今日の陽性者6人のうち3人は、家族か会社か学校でコロナが出ている、という方でした。

つまり、学校や事業所などあちこちに、コロナのクラスターができているのです。

いまは3密対策やマスクが徹底しておらず、今後のコロナの流行拡大は避けられないでしょう。

それに加えてコロナは検査率も低いので、感染が拡大しても過小評価されがちです。

私の肌感覚では、定点あたり報告数を2〜3倍したぐらいの流行が起きているように思います。

完全予約制では時間厳守を

生活習慣病などの方の診療と発熱外来を両立するためには、動線や時間帯の分離を徹底することが必須です。

そして時間帯分離のためには、完全予約制での診療を行う事になります。

完全予約制の診療順は、予約時間どおりに来られた方が優先です。

隔離室の運用等の事情もあるので、予約時間に遅れた方がいると、全体の診療の流れに大きく影響します。

遅刻した方の診察は、予約通りに来られた方よりも後回しになり、かなりお待たせすることになります。

予約時間よりも早く来られても、診察順は早まりません。また、お待ちいただく場所で困ることもあります。

車で来た方は駐車場で待っていただくのですが、徒歩やバスやタクシーで来た方の場合が問題です。

屋外に屋根付きのベンチはありますが、寒い日や熱い日に、そこで長時間お待ちいただくわけにはいきません。

暑くても大丈夫と言って外で待たれていた方が、やはり暑かったのか、最後に苦情が出たことがありました。

最近見学した某クリニックには、隔離診察室のほかに隔離待合室が作ってあり、なるほどと思いました。

ただし厳密には、原因が特定できてない複数の発熱者を同じ隔離待合室で待たせることには、問題があります。

おそらく、小さな個別の待合室がたくさんあれば良いのでしょうね。コロナ禍を経て、そう思い至りました。

その待合室がそのまま診察室にもなり、しかも各部屋へは屋外から直接出入りできる設計が理想ですね。

冷たい雨に打たれて

空を見上げ、よし今は大丈夫そうだと傘を差さずに駐車場に出た時に限って、雨が急に降り出したりします。

猛暑の時期もゲリラ雷雨もたいへんでしたが、厳冬の冷たい雨に打たれながらの発熱外来も辛いです。

おもに徒歩やタクシーで来院する方のために隔離室を使うので、車で来た方はたいてい駐車場での診察です。

詳細な診察や血液検査などが必要な方は、院内に入る順番が来るのをしばらく待ってもらうことになります。

この3日間(土・日・月)の陽性診断者は、インフル13、コロナ7、溶連菌3でした。

陽性率は減っている印象ですがインフルが減り止まり、その反対にコロナが確実に増えているという状況です。

熊本市の定点あたり報告数も、インフル17.6、コロナ4.4、溶連菌感染2.1と、当院とだいたい同じ傾向です。

定点報告は1週間遅れたデータなので、今後おそらくコロナはもう少し増えるかもしれません。

インフルは来月初めには警報解除レベルになりそうですが、いまB型が出始めているのが気になります。

そのほかには胃腸炎があいかわらず多く、家族内での感染もよく見られます。

胃腸炎のウイルスにはアルコール消毒が効きにくいことは、医療機関等がもっと周知させなければなりません。

日によっては夕方までの予約枠が朝のうちに埋まり、埋まった後も予約の電話が途切れません。

電話がなかなかつながらないことにご立腹の方も多く、午前中は謝ってばかりの電話対応になります。

多くの方からの電話が殺到するからつながらないという、その単純な理屈をご理解いただければ幸いです。

家族のタミフルを流用できるのか

インフルエンザは少し減りましたが、まだ流行しています。今日は久しぶりにB型が出ました。今年初です。

コロナやマイコプラズマも出ているし、胃腸炎も多いですね。今日は溶連菌感染が目立ちました。

それらのどれも陽性ではない(または検査をしていない)方は、「風邪ですかね」ということになります。

「抗生剤出ますか」

風邪診療における「よくある質問」のトップに来るのが、この手の質問(または要請)ですね。

通常は出しません。次のように理由を述べながら、やんわりとお断りをします。

今回はおそらくウイルス感染と思われるので、細菌感染に効く抗生剤は、効果がありません。

ですが今後、二次感染を疑うような経過であれば、必要に応じて抗生剤を処方する場合もあります。

たとえば、高熱が続いたり中耳炎や副鼻腔炎の治りが悪い場合や、肺炎や尿路感染症の疑いがあるときです。

日頃から漫然と抗生剤を使っていると、本当に必要になったときに効きが悪い場合もあるのです。

「予防でタミフルもらえますか」

病状と状況から、インフルエンザの疑いがあるのに検査で陰性だった場合、処方する場合もあります。

しかしそれは「予防」ではなく「偽陰性」の可能性を考慮した「臨床診断」に基づくものです。

それ以前に、明らかにインフルエンザと臨床診断できる場合は、そもそも検査をしないことが多いですね。

実は家族のタミフルを飲んで来たのです、という方もときどきいます。まあ気持ちはわかります。

その方がインフルエンザだと診断できれば、当院では「追加分」のタミフルを処方することになります。

ただ、家族内でインフルが出ているなど感染が強く疑われる場合であっても、医薬品の流用は本来はNGです。

どうしても家族のタミフルを自分が飲みたいという方は、せめて電話等で医師の判断を仰いでください。

インフルが警報レベルを維持する中で

全国的に、そして熊本でも、インフルエンザはまだ警報レベルです。

今年当院は、1/4から診療を開始しました。今日でちょうど2週間経ったので、流行具合を振り返ってみます。

最初の週(1/4〜10)は、発熱外来受診者171人中、インフル陽性者77人、コロナ陽性者3人でした。

ところが次の週(1/11〜1/17)は、発熱外来178人中、インフル陽性57人に対し、コロナ陽性は13人。

インフルエンザは峠を越えた印象ですが、コロナはかなり増えています。

とくに昨日と一昨日の2日間は、インフル陽性10人、コロナ陽性6人と、明らかにコロナがヤバいです。

しかもこの、コロナ陽性の6人のうち4人は、もともとインフルエンザの検査だけを希望して来院した方でした。

いずれも熱よりも咽頭痛が目立つので、敢えてコロナとの同時検査をお勧めしたら、陽性と判明したものです。

世の中では、警報レベルのインフルエンザばかりを報じていますが、間違いなくコロナも激増しています。

ただ、検査代も高いしコロナの検査を希望しない発熱者がとても多く、コロナの実数はまったく不明です。

まあ、それも含めての「ウィズコロナ」なのでしょう。私も現状でやむを得ないとは思っています。

インフル横ばい、コロナ増えたかも

「土日祝日」診療を謳う当院が真骨頂を発揮する(?)、新年怒涛の3連診(3連戦)でした。

3日間の発熱外来受診者は118人。うちインフルエンザ陽性者47人(すべてA型)、コロナ陽性は7人でした。

もちろんこの間、生活習慣病の方やその他の疾患の方も75名、動線と時間帯を分離して診療しました。

減り始めたかと思っていたインフルエンザがまだ多いことと、コロナが確実に増えつつあるのが気になります。

日曜祝日の発熱外来では、いつも予約希望者が殺到し、朝から電話回線がパンクします。

「電話がつながらない」という苦情が多く、「予約方法を見直して欲しい」という要望も聞きます。

当院の受診予約は、ネット予約と電話予約の2本立てで、それぞれに一定数の予約枠を設定しています。

ネット予約は、朝8時の受付開始の数秒後には、すべての予約枠が埋まります。

電話予約の受付は8時半から開始しますが、なにしろ電話ですから、繋がるかどうかは運次第の面があります。

私と受付職員の2人が2回線で対応しても、受付開始から30分で、夕方の予約枠まで埋まります。

もしも仮に、電話回線をたとえば4回線に増やして4人で対応したら、予約枠は15分で埋まるでしょう。

どのような受付方法にしたところで、当院のキャパは同じです。予約枠はすぐに全部埋まってしまうのです。

10年以上前までは、予約は途切れるまで断らない姿勢でした。

当時のインフルエンザシーズンには、夜10時過ぎまで延々と診療する日々が続きました。

ですが今は、私の体力や職員の働き方改革等を考慮して、診療時間の延長(残業)は最小限にしています。

これは、今後もずっと休日診療を維持するためにも必要な事なのです。どうか、ご理解のほどを。

新年の発熱外来「3連戦」始まる

今日から当院は「3連戦」です。極寒の駐車場で発熱者と対峙するという、厳しい3日間が始まりました。

ニュースでは、インフルエンザが大流行だ、タミフルが足りない、などと毎日報じられています。

当院の隣の薬局では、いまのところ抗インフルエンザ薬の在庫はある様ですが、咳止めがやや不足しています。

今シーズンのインフルエンザは、咳や咽頭痛が先行したり最初から微熱の方もいて、症状が多彩です。

コロナ禍を経て、インフルエンザウイルスが妙な変異をしたのでしょうか。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4847.html" target="_blank" title="先日も書いた">先日も書いた</a>ように、咽頭炎所見が強すぎて典型的な「インフルエンザ濾胞」が見えないケースが多いですね。

ただし、もしも咽頭後壁に明瞭なインフルエンザ濾胞が見えたら、それはほぼ確実にインフルエンザです。

インフルエンザ濾胞は、アデノのように隆々とした「イクラ」ではなく、扁平で大人しい顔つきをしています。

そしてペンライトで照らすと、妙に白く反射します。扁平ゆえかもしれません。

ただし、咽頭所見の割に痛みが強い場合、ためしにコロナも検査したらそっちが陽性だったりします。

コロナもいま増えている印象です。ひと頃のように、インフルとの重複感染例が出始めるかもしれません。

いまからしばらく、人混みの中ではマスクを外さない方が良いでしょう。