検診で癌を予防する?

「ワクチンと検診で、子宮頸がんを予防しましょう」と訴えるテレビCMを、ときどき見かけます。

でも「検診で癌を予防」という表現は誤解を招きますね。やめてほしい。

検診を受けるのでワクチンは打ちません、みたいな人が増えるのも、そういうCMのせいじゃなかろうか。

たしかに子宮頸がんは、検診によって「異形成」という前がん状態を発見することが可能です。

しかし「前がん状態」であるならば、経過観察で済む場合もあれば、手術が必要になることもあります。

そして手術すれば、その内容にもよりますが、その後の妊娠への影響(流早産のリスク等)も出てきます。

このような、前がん状態で発見できて早期治療を行えることが、本来の意味での「癌の予防」なのでしょうか。

もしも、胃がんを80%予防できるワクチンがあったとします。しかも無料で接種できるとします。

いやいや、ワクチンなんて打たなくても私は検診で予防しますから、っていう人はあまりいないでしょう。

でもそんな便利なワクチンが存在しないから、定期的に検診を受けて早期発見・早期治療につなげるわけです。

子宮頸がんはしかし、発がんを90%以上予防できるワクチンがあるところが、胃がんとは大違いです。

もちろん100%予防できるわけじゃない。なので検診も組み合わせて、早期発見に努めることが大事なのです。

いまこのワクチンの接種を推奨するなら、もっと正確で理論的な表現でCMを打ってほしいものです。

「百日咳ワクチン」接種希望者急増中

先日当ブログに書いたせい、だけでもないでしょうけど、百日咳ワクチンの問合せが増えています。

(1)年長になったが接種すべきか、(2)妊婦なのだが接種できるか、などが主な問合せ内容です。

百日咳ワクチンの免疫は約10年で切れるとされてきましたが、最近では5年程度だとも考えられています。

なので、3種混合または4種混合ワクチンの追加接種を1歳のときに受けた方は、年長時が次の接種時期です。

ちょうど年長時にはMRワクチンの第2期接種を行うので、それとの同時接種を当院ではお勧めしています。

とくに百日咳は学校で流行しやすいので、就学前の予防接種はとても有効です。

しかし考えてみると、小学生や中学生だけでなく、高校生も大人も、全員が免疫切れの状態と言えます。

ワクチンの接種を勧めるのであれば、全年齢層の方にお勧めしなければならないということになります。

と考えると、任意接種対象者はかなり多くなるかもしれません。はてさて、ワクチンが足りるんでしょうか。

そのことに気付いて、3種混合ワクチンを院内に少し在庫しておこうかと考えたのがつい昨日のことです。

さっそく薬品卸に電話すると、営業所に在庫が無い。複数の業者をあたりましたが、県内在庫はわずかでした。

あちこち手を回して、福岡から取り寄せたりして、明日にはある程度は確保できる見込みです。

で、最後はワクチンが余ったりするかもしれませんが、まあこういうのは、備えあれば憂いなしなので。

「新型コロナウイルス武漢研究所起源説」再燃

「新型コロナウイルスは、中国・武漢のウイルス研究所が発生源だ」

そんなことは誰でも知ってます。ていうか、それだと腑に落ちます。ていうか、そんな気がする。しらんけど。

真実かどうかはともかく、ホワイトハウスが公式にそう言ってるので、今後の論戦がどうなるのか楽しみです。

この件を検証したドキュメンタリー映画は、すでにいくつか作られているようですね。

ですがこの際、ホワイトハウス公式のドキュメンタリー作品を作ってくれませんかね、陰謀論プンプンの。

もしも中国が非を認めて(あり得ないけど)全世界に賠償するとしたら、どのぐらいの金額になるのか。

どこかのIT企業の入社試験で出そうなこの推論の、解答例を誰か提示してくれませんかね。

東京ドームにピンポン球を詰めたら何個入るか、みたいなやつです。

そういう推論というのは、正解かどうかではなく、計算根拠の妥当性を含め思考過程が重要です。

でもいまどきは自分の頭で考えず、AIさんに尋ねてしまうんでしょうね。ためしにChatGPTさんに尋ねたら、

(1)「東京ドームにピンポン球は14億個入る」

単純にドームの容積をピン球の体積で除してるけど、それは隙間を考慮してないからダメでしょ。

そこを問い詰めたら、「六方最密充填」というのを持ち出して修正してきました。それを最初に使わなきゃ。

(2)「中国が世界に払うべき賠償額は、総額510兆円」

経済損失+医療費+社会的影響だとか。ふーん、わからん。でも全然少な過ぎる気がする。

死者とその子孫の遺失利益はどうなのかと問い詰めたら、50兆円上乗せしますとの返答あり。その程度なん?

飛行機ではいつも「窓際族」

飛行機では、旅行慣れした人やビジネスマンは、乗り降りの楽な通路側の座席を選ぶかもしれません。

でも私は、できるだけ窓側の席を選びます。そもちろん第一には、機窓の景色を眺めたいからです。

あるいは、パソコンの画面を隣からジロジロ見られたくなくて、画面をちょっと窓側に向けたいからです。

さらにもうひとつ、隣の乗客がトイレに立つ時、自分の膝の前を通られるのもイヤですね。

飛行時間の長い国際線の場合は、人によって考え方が分かれます。

(1)窓側派:自分が寝ている時、隣の乗客がトイレに立つために起こされるのがイヤ

(2)通路側派:自分がトイレに立つために、寝ている隣の乗客を起こしたくない

もちろん理想的には、自分の席が「窓側かつ通路側」であるような、上級クラスのシートに座りたいものです。

さて航空券を予約するとき、どの座席が空席かを示す「シートマップ」が予約画面に出てきますね。

ANAのサイトの場合、国際線だと、予約前にマップを見られるので、窓側が取れるかどうかが確かめられます。

ところが国内線では、予約後でなければマップが見られず、ありゃ窓側があいてない、なんてことになります。

もちろん、決済前にはマップを確認できるので、座席が不満なら解約して別便を予約することは可能です。

とは言え、それもまた不便。何度も解約して別便の予約を取り直すことも、時々ありました。

ところが5月29日からは、ANAのサイトが刷新され、国内線でも予約前の空席照会ができるようになるとか。

どうしてこれまでそれができなかったのか不思議ですが、ともかく、私のような「窓際族」には朗報です。

「帯状疱疹ワクチン」定期接種、始まってます

高齢者向けの「帯状疱疹ワクチン」の定期接種が、今月から始まっています。

思いのほか希望者がいないというか、高額だからか周知不足か、いまひとつ盛り上がりに欠けていますね。

このワクチンのテレビCMも最近見かけません。たぶんCMは、任意接種を想定していたものだからでしょう。

定期接種には生ワクチンの選択肢もあるので、不活化ワクチンのCMが流しにくくなったのかもしれません。

熊本市のサイトに、この定期接種制度についての記載が初めて登場したのは、4月3日のことでした。

そこには、対象となる方への勧奨ハガキの送付は6〜7月ごろを予定していると、記載してあります。

接種費用の自己負担額(裏を返せば市の負担額)が決まるのが遅くて、準備が遅れているのかもしれませんね。

とは言え、おかげで初年度の対象者は、勧奨を受けてからの接種可能期間が少し短くなります。

新しい制度や経過措置というのは得てして、初年度の対象者が割を食うものです。

今日は合志市在住の方が、勧奨手紙を持って来院されました。合志市からの案内は今月上旬には届いたとか。

こういう動きの速さって(逆に言うなら熊本市の動きの鈍さって)、何か役所の体制の違いなのでしょうか。

自己負担額も、合志市は熊本市よりも割安です。ちなみに私の居住地菊陽町も自己負担額は合志市と同額。

それらと比べると熊本市は高い。財政の問題だけかどうか知りませんが、もう少し頑張ってほしいです。

「米国車が日本で売れてない」

トランプ大統領は、日米の貿易不均衡を訴える中でしばしば、「米国車が日本で売れてない」と言います。

申し訳ないけど、米国車が日本で売れないのは、米国車に魅力が無いからですよ。単純な話です。

偏見かもしれませんが、アメ車って昔から「大味」で「乱暴」なイメージがあるんですよね。

例外的に、テスラは最近よく見かけるようになりました。

しかし性能はともかく安全性に不安があるし、なによりそののっぺりしたデザインを私は好きになれません。

車を選ぶ基準が、価格、性能、品質、デザイン、サービス、だとすれば、米国車に優位性は何もありません。

サイズが大きすぎるとか、ガソリン食うとか、そういう問題じゃなく、ただ欲しいと思わないのです。

日本車はすべてにおいて合格点。ただし性能とデザインをとくに重視するなら、ドイツ車の魅力も捨てがたい。

「ドイツの車はいっぱい走っている」と、石破首相が皮肉を込めて語りましたが、まさにその通りです。

一方でiPhoneは、米国以外で圧倒的に国内シェアが高いのは日本です。

性能、品質が良くて、デザインが気に入ったら、価格が高くても買うのです。日本人はそういう人種なのです。

日本人がスマホでiPhoneを選ぶように、車もドイツ車なら買うんです。

だからトランプさん、米国が本気で良いモノを作れば、ほっといても日本人は買いますって。

とり逃がした話

換気のためにドアを全開にしていた当院の裏口から、小鳥が院内に迷い込んできました。

「ツバメ」のような燕尾服姿ですが、「スズメ」のような飛び方なので、仮に「ツズメ」としておきます。

裏口から逃がそうとホウキなどで追うのですが、天井付近を飛び回るのでなかなか上手くいきません。

そうこうするうちにツズメは、出口とは逆に院内の奥の方に飛び、ついに待合室に入り込んでしまいました。

追い回されて疲れたのでしょうか、ソファーの方に飛んでいったので、スワロウとしたのかもしれません。

ツズメはソファーの上の窓枠にとまり、向こうのくまモンのぬいぐるみを見つめ、あまり動かなくなりました。

そこを狙って私は後ろからそっと近寄り、サッと紙袋をかぶせ、見事捕獲に成功したのでした(紙袋法)。

屋外に出て紙袋を開け、低木の上にそっと放ってやると、ツズメは私に目配せして、それから飛び立ちました。

まるで名残を惜しむかのように私の上を旋回した後、空に向かってツイーッと元気に羽ばたいていきました。

私はその一部始終を、涙ながらに撮影しました。青い空がとても綺麗でした。感動的な動画になったはずです。

で、録画停止ボタンを押したと思ったら、その時点から録画が始まったんですね。ありゃま、撮れてなかった。

こういう失敗って、私よくあります。

百日咳ワクチン

百日咳が流行していることから、その予防接種を希望する方がいるという話を聞きました。

当院でそのような相談を受けたことは今のところありませんが、今後に備えて、考え方をまとめておきます。

乳児が罹ると重症化しやすいので、いわゆる「ワクチンデビュー」の接種に百日咳ワクチンは含まれています。

いまは「5種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ、ヒブ)ワクチン」として接種を開始します。

少し前までは、ヒブを除いた「4種混合」で、もう少し前までは不活化ポリオも含まない「3種混合」でした。

5種混合は、標準的には0歳の前半で初期接種を3回、1歳になってから追加接種(通算4回目)を行います。

その後、5回目の接種を行うのは、定期接種においては「2種混合」に含まれるジフテリアと破傷風だけです。

なので現状の定期接種制度では、とくに学童期以降の、百日咳とポリオの免疫切れが懸念されています。

小児科学会は、学童期の百日咳とポリオを予防するために、5〜6歳時に5回目の接種を提唱しています。

さらに11〜12歳時には、百日咳ワクチンの通算6回目の接種も推奨しています。

このうような接種スケジュールは、欧米ではすでに標準的ですが、日本ではどうしても導入が遅くなります。

日本人は有効性よりも安全性を重んじるので、何よりも副反応に厳しく、接種を増やすことには慎重なのです。

百日咳はしばしば、小中学生から青年期での集団感染があります。これは免疫切れの年齢層に一致します。

当院でもこのところ、中高生や成人の百日咳(の疑いを含む)患者が出ていますが、幸い重症者はいません。

ただこの病気は、乳児の感染を防ぐことが重要であり、乳児の感染源のほとんどが親や兄弟だとされています。

だからこそ、もっとも感染者の多い小中学生に、ワクチンを接種する必要と意義があるのです。

このことはずいぶん前から指摘されているのに、いまだに百日咳ワクチンの定期接種回数は4回のままです。

当院では、年長児と6年生に対して、百日咳予防のための3種混合ワクチンの接種を推奨していく方針です。

とくに、赤ちゃんが生まれる予定のご家庭では、その兄弟への接種を強くお勧めします。

ミャクミャク収集中

いわゆる「間の日」の今日、当ブログは連続投稿13年に到達。1日も欠かさず、13年間書き続けてきました。

(毎年同じ文ですみません)

さて今日は、大阪に行って来ました。所用です。なんなら日帰りです。残念ながら万博には行っていません。

ですが大阪伊丹空港に到着した途端、万博の雰囲気は感じました。ていうか、万博一色じゃないですか。

これから半年の間、開幕直後の今だけでなく連休とか夏休みにはさらに、大阪は万博で盛り上がるのでしょう。

以前は興味がなかったのですが、55年ぶりの万博体験をみすみす逃すのもどうかと、最近思います。

ならば、同じアホなら、というスタンスに切り替えて、なんなら2,3回は行こうかと思い始めています。

今日は手始めに、万博グッズ、ミャクミャクのステッカーとかお菓子などを、あれこれ買って帰りました。

じつはすでに当院の受付には、1年以上前からミャクミャクのぬいぐるみを置いています。

開幕に合わせて、頭の周りに被る(巻く?)ぬいぐるみも買って、先日は記念撮影などしたところです。

もちろん、記念写真を撮ったら、それをジブリ化するのもルーチンです。

大阪に行くと、いつも必ず「お好み焼き」を食べていたのですが、今日は時間がなくて「たこ焼き」です。

子どもの頃、父がたこ焼き器を買って帰り、当時は大喜びしたものですが、実際に焼いたのは1回か2回。

大人的には、すぐに飽きるのでしょうね。でも小さな子どもなら、きっと喜ぶはず。

今日はそのことに気付いたので、たこ焼き器(IHコンロに乗せて使えるやつ)をポチりました。

そうか、BBQのときだって使えますね。こりゃいい。

熊本地震から9年

熊本で、後に「前震」とされた震度7の大地震が起きたのは、9年前の今日でした。木曜日の夜でした。

翌日は休診日でしたが早朝からクリニックに行くと、パソコンなどの備品のほとんどが床に落下していました。

出勤してきてくれたスタッフと一緒に片付け、翌日にはなんとか通常通り診療できるようにしました。

ところがその夜「本震」が来て、ほとんど全ての家具が倒れ、ほとんど全ての物品が床にまた落下しました。

前日の片付け作業をすっかりムダにし、復旧の希望すら失わせるような、無慈悲で冷酷な仕打ちでした。

ひどい余震が続く中、当院のスタッフのほとんどが、避難所生活か車中泊を始めることになってしまいました。

心身の疲労が続きましたが、スタッフや身内に犠牲者やけが人が出なかったことを幸いと思うようにしました。

地震後も臨時休診せずに診療を続けたのは、かかりつけの患者さんの中に被災した方が多かったからです。

薬を紛失した方への処方も必要でした。保険証が無くても診療・処方ができる措置も取られていました。

クリニック隣のサンピアンは部分損壊して閉店し、その駐車場は車中泊の車で一杯になりました。

大災害を想定した避難所やトイレが、少なくとも熊本ではまったく整備できていないことを思い知りました。

交通路が分断され、水や食糧やさまざまな物資が枯渇しました。熊本にその蓄えができていませんでした。

私自身、職場でも自宅でも、水や食糧の備蓄を怠っていたことは大きな反省点でした。

その後、水を少々蓄えたりもしましたが、喉元を過ぎれば備蓄ゼロ状態に戻っています。いけませんね。

地震の日が来るたびに、このことを肝に銘じるのですが、なかなか具体的な行動には至りませんでした。

しかし今日は、先ほど災害用の備蓄セットをポチりました。使い古された言葉ですが、備えあれば憂いなし。