百日咳が流行しているのでワクチンを打ちましょう、と言ってきたのに、いまワクチンが不足しています。
「3種混合ワクチン」の需要が急に高まり、メーカー側が供給(出荷)を制限しているのです。
この百日咳ワクチンを含む混合ワクチンは、通常、0歳で初回、1歳で追加接種を行います。
そして数年で免疫が切れるとされているので、小学生ぐらいから、百日咳に罹りやすくなります。
ところが興味深いことに、百日咳の患者報告数は小学生が多く、中学生以降はだんだん減っていきます。
なぜかと言えば、多くの小学生が百日咳に罹ってしまい、結果的に免疫を獲得するからです。
なので、小学生の罹患を予防することが最重要であり、就学前のワクチン接種が推奨されているわけです。
当院としては、小学校入学前と中学校入学前の2回、3種混合ワクチンの接種を行うよう、お勧めしています。
これは、以前から日本小児科学会が推奨している接種スケジュールや、諸外国の接種プランに則ったものです。
ところがコロナ禍において、マスクや「3密」対策等が奏功し、コロナ以外の感染症の発生が抑えられました。
その結果、小学生の百日咳罹患が少なかったため、いま中学生の罹患が多くなっていると考えられます。
そんなわけで、コロナ禍によって免疫獲得の機会が減った年齢層への、ワクチン接種が急がれるのです。
つまり現時点では、小学生以上成人までの全ての人が、実は接種対象と言うこともできます。
とくに、ワクチンデビュー前の赤ちゃんや妊婦さんがいるご家庭では、小学生以上の家族全員接種が理想です。
と書いておきながら、ワクチン不足なんですよね。希望されてもすぐには接種できず、心苦しいばかりです。