小数の読み方

「35.8度」を私は、「サンジュウゴテンハチド」ではなく「サンジュウゴーテンハチド」と読みます。

この場合の「5」の部分は、「ゴ」ではなく「ゴー」の方が、「収まり」が良い気がするのです。

 

ところが、とくに若い人が前者のように言うのを時々耳にすることがあり、違和感があります。

それが言葉の揺れなのか、たまたま今風なのか、単に私が古いのかと、ずっと気にしていたことでした。

 

最近、NHKの放送用語委員会がその点を議論している文章を見つけ、ようやく合点がいきました。

それは、小数の読み方の「拍数(モーラ数)」は、2拍に合わせた方が自然な発音になる、という学説です。

つまり、「イチ・ニ・サン・ヨン・ゴ・ロク」ではなく、「イチ・ニー・サン・ヨン・ゴー・ロク」だと。

具体的には、2.5(ニーテンゴ)、3.5(サンテンゴ)、4.5(ヨンテンゴ)、5.5(ゴーテンゴ)となります。

 

なるへそ(=なるほど)と思って読み進んでいたら、もっと面白いことが書いてありました。

 

それは、小数点以下の「2」と「5」の読み方においては、「2拍に調整されない」場合もある、ということ。

具体的には、2.2(ニーテンニ)、2.22(ニーテンニーニー)、2.222(ニーテンニーニーニ)という具合。

どうやら、小数部分の桁数が奇数の場合、最後が「ニー」にはならず、「ニ」の1拍に留まるというのです。

そうなる理屈の詳細は割愛しますが、自然に発音しやすい方向に変化した(=揺れた)結果なのでしょう。

 

なので年配のアナウンサーには、「サンジュウゴテンハチド」のように、古風な発音をする人もいるとか。

最近の若い人がそのように発音する事例は、いわば「揺れ戻し」なのでしょうか。