「医療費削減」が叫ばれていますが、削減できるのか、ていうかそもそも削減すべきことなんですかね。
団塊の世代がみな後期高齢者となったいま、高齢者の医療費が過去最大規模に膨らむのは至極当然のことです。
そのような状況で医療費を削減しようとすれば、高齢者1人あたりの医療費を減らさなければなりません。
そのためには、高齢者が医療を受ける頻度(量)を減らし、医療内容(質)を縮小しなければなりません。
どうやら国は、医療費が膨らんだのは医者がムダな医療をして儲けているせいだと、そう思っているようです。
そこで、手っ取り早く、医療費の単価を安くすることで医療費の総額を減らそうというのが国のやり方です。
つまり、高齢化のツケを、医療機関を薄利にすることで乗り切ろうというわけです。
医者への報酬(診療報酬)とは、一定の診療内容に対して医者に支払う単価であり、国が自由に設定できます。
医療の量や質は同じでも、医者の儲けだけが減るような報酬体系にすれば、医療費が容易に減らせるわけです。
細かくチマチマと点数をいじるのが常套手段でしたが、1点10円の根幹に手を付ける可能性も出てきました。
医者だけ限定して収入減にするため、医者以外の医療従事者のベースアップを確保する仕組みも作られました。
こんな理不尽なことが何年も行われているのに、メディアは医者の味方をしてくれず、世間にも知られません。
しかしそもそも、高齢者の医療費を負担するのは生産年齢人口です。それが減っているから大問題なのです。
何年経っても少子化を食い止められないのは、国の失策です。医者はただ、日々の医療を行っているだけです。