待合室や車の中で診察の順番を待っている子どもたちは、たいていスマホかタブレットで何かしています。
動画を見たりゲームをやったり、待ち時間を潰す道具が多くて、子どもたちは退屈しなくていいですね。
10年ぐらい前まではまだ「親も親だなぁ」なんて思いで見ていましたが、さすがにもう普通の光景です。
たまに、「しりとり」などの言葉遊びに熱中している親子がいると、逆に新鮮でほほえましいですね。
先日、子どもの診察をしている間、その子の兄弟が母親としりとりを続けているのを耳にしました。
子「しりとり」→ 母「りんご」→ 子「ごりら」→ 母「らっこ」→ 子「こざかな」
「こあら」と来ると思って耳を傾けていたのに「こざかな」と来て、思わず爆笑してしまいました。
個性的で良いですね。それに、「こあら」ではまた「ら」に戻るので、それを回避したとも考えられます。
大人は、子どもがうまく言葉を探せるように、平易な言葉で誘導してあげるのがしりとりのミソです。
そしてたまに「ん」で終わってみせて、「んがついたぁ」と子どもに指摘されて「しまったぁ」と言うのです。
英語にも、似た様な遊び “word chain” があるようですが、これは「スペル」の最後の文字をしりとりします。
スペルを知らなければできないので、「音」だけで遊べる日本のしりとりの方が原始的で普遍的でしょうね。
「最後の一音」をしりとりで繋げていけるのは、一音ずつ発音する、日本語特有の音韻構造によるのです。
これを専門的には「モーラ拍」というそうですが、おかげで日本の幼児は、話し言葉だけで遊べて幸せですね。