ANAの機内誌「翼の王国」には、多くの「連載記事」があります。
たとえばパラダイス山元氏による「快適な空だけの旅」は、私の大好きなエッセイです。
他にも何編か連載エッセイがあり、それぞれに見方や趣味や雰囲気がまったく異なって、読み応えがあります。
もちろん機内誌ですから、海外や国内の都市や街を紹介して旅に誘うような特集が、毎号2つあります。
例えば今月号では、ストックホルムと福岡をとりあげています。
私がいちばん興味深く読むのは、ANAの「中の人」の仕事について紹介する、「翼の流儀」という記事です。
今月号は「マイルを軸としてANA経済圏の構築、拡大に取り組むANA Xの取り組み」というタイトルでした。
「取り組み」という言葉がダブってるのが気になりますが、今回は触れないでおきます(触れたけど)。
「ANA X」というのは、ANAの「非航空」分野の顧客サービスを行う、グループ企業です。
それが「マイル」を軸として「ANA経済圏」を構築しようというのですが、私には理解に苦しみます。
ANAの航空機に乗ったり、系列の通販や実店舗で買い物したりANAカードを使ったら、マイルが貯まります。
そのマイルを「1マイル1円相当」で使える、その利用店舗を全国で拡大していこうというものです。
しかしそれでは、楽天などの「ポイント経済圏」に食い込めるほどのアドバンテージがないし、後発すぎます。
むしろマイルは、1マイル3円〜10円以上のレートで入手できる「特典航空券」にこそ、利用価値があります。
マイルを、なるべく使わずコツコツ貯めたら、いつか航空券に替えられる喜びがあるのです。
たとえば明後日からの1週間、熊本–羽田や熊本–那覇間の特典航空券は、片道4千マイルで入手できます。
ハワイ往復(現在:ローシーズン)の特典航空券だと、エコノミーで3万5千、ビジネスで6万マイルです。
そういうご褒美のような使い方こそがマイルの醍醐味なので、1マイル1円で浪費する気には私はなれません。