保険証の発行は停止されたけど

マイナ保険証の利用率はまだ低いですが、従来型の健康保険証の新規発行は、当初の計画通り停止されました。

いまのところ、保険証はまだ使えるので、医療現場での混乱は(少なくとも当院では)まだありません。

国は医療機関にインセンティブを与えて、マイナ保険証の利用率を上げようと躍起になっています。

「医療DX推進体制整備加算」もその1つで、加算点数は3段階、例えるなら、松・竹・梅、があります。

現在「松」の加算を得るためには、医療機関の「マイナ保険証利用率」が15%以上であることが要件です。

来月からは、30%以上でなければ「松」は取れなくなります。20%以上で「竹」、10%以上なら「梅」です。

当院は30%を超えているので、今月も来月も「松」です。でも全国平均は16%程度と低迷しています。

つまりこのままでは、今月までは「松」だけど来月からは「梅」に落ちる医療機関が多いということです。

で、その加算点数はどのぐらいかと言うと、松11点、竹10点、梅8点です。(1点は10円)

当院を受診される方には、11点(110円)、3割負担の方なら30円程度の窓口負担をいただいています。

このような制度設計では、マイナ保険証利用率が低い病院の方が医療費が安くなるというジレンマを生みます。

まさか「当院はマイナ保険証利用率が低いのでオトクですよ〜」と宣伝するような病院はないでしょうけど。

マイナ保険証のシステム(オンライン資格確認)の導入時に、医療機関は多額の初期投資をしています。

その費用の多くは、国からの補助でまかないました。しかし、通信費などの維持費は、医療機関の手出しです。

専用回線を使うので、そのためだけに通信業者に毎月数千円を払っています。これが永久に続きます。

国は医療機関にちまちまインセンティブを付ける前に、まずシステムの維持費用を負担するのが筋でしょう。