結核を予防するための「BCG」は、いまでも「管針法」による皮内接種(いわゆるハンコ注射)をしています。
乾燥したBCGが入っているガラスアンプルを、アルコール消毒してカットするところから、すでに面倒臭い。
アルコールがよく乾いてからカットしなければ、中のBCG菌が死滅する可能性があり、慎重を要します。
溶解液をアンプルに入れて、これまた慎重に、時間をかけて溶解します。
上腕部をアルコール消毒して十分に乾かした後、BCG液をスポイトで吸って上腕部に垂らし、薄く伸ばします。
その濡れた部分にハンコを2カ所押します。シャチハタみたいに簡単にならんかなと、毎回思います。
ハンコの針跡(接種痕)は、3×3の9個が2セットで合計18個の点が並びます。大人になっても残ります。
過去にBCGは、経口投与→皮下注射→皮内注射→経皮接種(ハンコ注射)と、接種法が変遷してきました。
現在の方法がいちばん痕が残りにくい洗練された方法なのですが、それでもなんとなくレトロですよね。
しかもいまBCGをハンコ注射している国は、驚いたことに、世界中で日本と南アフリカだけだそうですね。
日本はつい2021年に「結核低まん延国」の基準を満たしたばかりで、先進国からは数十年遅れています。
なのでBCGがまだ定期接種なのですが、欧米先進国ではすでにBCGを接種しなくなった国が多いようです。
そもそもBCGは乳幼児の重症結核を予防する効果しか無く、日本もやがて接種を中止する日が来るでしょう。
昔は多くの予防接種が集団接種であり、注射器具の使い回しによるB型肝炎感染が問題となっています。
その「B型肝炎訴訟」における証拠として、医師によるBCG接種痕の確認(意見書)が求められています。
それがハンコ注射なら一目瞭然です。ところが昭和42年までは、皮内注射だったのです。
その接種痕を見る機会が最近ありましたが、種痘の接種痕とよく似ていて、私には判別できませんでした。
最近の人のハンコ注射痕と比べてどっちが目立つか(醜いか)、これは意外と甲乙付けがたいですね。