注射の好きな子なんて、いません。たまに例外的なお子さんがいるので驚きますが、ホントに例外です。
必要があって点滴や採血をすることもありますが、いちばん機会が多い「注射」は予防接種です。
大人でも同じことですが、予防接種は予防医療であり、病気の治療ではありません。
なので、ひどく嫌がって大暴れする子どもに、無理矢理ワクチンを接種する際には、やや慎重になります。
つまり、その子のための医療であるならば、その子の気持ちを十分に考慮しなければならないからです。
乳幼児ならともかく、5,6歳以上のお子さんを、3,4人がかりで羽交い締めまでして接種するのは疑問です。
とくに、インフルエンザワクチン程度の(と言うと語弊がありますが)重要度だと、余計にそう思います。
最近私は、小学生以上の大きなお子さんが激しく接種を拒否するときは、接種を諦めることにしています。
もちろんこれはポーズです。「どうしてもイヤなら注射しないよ」と子どもに伝えて、私はその場を去ります。
実は子どもは子どもなりに、注射が必要であることは、漠然とわかっています。
なので親からの説得と、たぶんご褒美の提案などを受ければ、やがて子どもは接種に向き合ってくれます。
そして歯を食いしばって接種に耐え、それが終わるとホッとして、「痛くなかった」と強がったりします。
私たちが皆で褒めちぎります。子どもはとっても良い笑顔を見せてくれます。そうやって成長するのです。
時間はかかりますが、羽交い締めして接種するよりも、子どものためにはずっと良いやり方だと思います。