「医師の偏在」からくる医師不足の問題を、今夜のNHK「クローズアップ現代」が取り上げていました。
以前からよく言われているように、「地域による偏在」と「診療科による偏在」の2つの偏在があります。
医師は「経験値」を積まなければならない職業。症例の多い都市部と比べて、地方勤務はどうしても不利です。
単に数だけでなく、数が集まれば質も高くなり、経験の幅も広がります。都市部では指導者にも恵まれます。
とは言え、医者も人の子。若いうちはともかく、拘束時間の長い激務を20年も30年も続けるのはつらいです。
医師研修制度によって医師の将来が見通せるようになり、外科系が避けられるようになってきたのでしょう。
医師の働き方改革も、とくに忙しい診療可については例外扱い。ならばせめて、報酬を増やしてあげませんか。
過酷な労働もしっかり報われるのであれば人も集まり、人が増えれば1人当たりの労働時間も減らせます。
長時間勤務の過酷な診療科と、そうでもない診療科とで、基本給を変える仕組みを作らなければなりません。
ここで私はもうひとつの「偏在」を提唱します。「曜日による偏在」です。休日診療の担い手が少ないのです。
何か有効なインセンティブさえあれば、休日の医療態勢はもう少し充実するのに、現実は逆です。
たとえば、当院のように自主的に休日診療をしている医療機関は、現制度では休日加算が算定できません。
「好きで休日診療してるんでしょ」という判断なんですね。国は、休日医療にてこ入れする気が無いわけです。
「好きで外科医になったんでしょ」という考え方も同じ。こんな発想では、外科医が増えるはずがありません。