「睡眠相前進症候群」

寝不足を訴える方は多いですが、眠れないのか、眠る時間が足りないのかで、対策はまったく異なります。

前者は不眠症。寝付きが悪い、夜中に目覚める、早朝から覚醒して眠れない、それらの混合型もあります。

当院では、いきなり薬物治療を始めることは少ないですが、睡眠導入剤を少しだけ処方することはあります。

また、過活動膀胱や睡眠時無呼吸や心不全や蓄膿など、他の疾患が潜んでないかを考慮しなければなりません。

後者は生活習慣や環境に起因します。仕事で帰宅が22時、出勤が6時なんて方は、私にはどうにもなりません。

お子さんの弁当作りで5時起きとか、ご家族の介護でまともに眠れない方も、ご苦労をお察しするばかりです。

夜中までテレビを見てしまうとか、布団でスマホを見る方も多いですね。これはまずその習慣をやめましょう。

必要な睡眠時間には個人差がありますが、慣れも大きいようです。

学生時代の私はロングスリーパーでした。昼頃に目覚めて、トイレに行って、また夕方まで寝たりもしました。

ところが勤務医時代には5時間眠れば熟睡感のあるショートスリーパーになり、今は7時間がちょうど良いです。

最近は、何時に寝ても早朝に目覚めるようになりました。高齢者でありがちな「睡眠相前進症候群」ですかね。

朝4時から目が覚めて困るというご高齢の方。何時に寝るのかと尋ねたら7時だと。なかなか「前進」してます。

すべての日常活動を2時間ほど後ろにずらせば済みそうなものですが、そういうわけにいかないんですね。

例えばこの方が、日本と時差2時間の(2時間早い)シドニーに行ったら、生活のリズムは正常化するのか。

残念ながら、睡眠周期が短縮しているので睡眠相はすぐ前進し、現地時間の7時寝・4時起きになるのでしょう。