「AIのゴッドファーザー」

ノーベル物理学賞を受賞したヒントン博士は、以前から「AIのゴッドファーザー」と称されていました。

その風貌は、マーロン・ブランドよりはアル・パチーノに似ていますが、今日はその話ではありません。

今回の受賞を受けて、ヒントン博士に関連する新旧の記事が、あちこちに掲載され始めています。

興味深いのは、博士の功績そのものよりも、そのことに対して博士自身が抱いていた「懸念」の方ですね。

SF小説や映画でありがちなのが、人類が機械やコンピュータに支配されてしまっている未来の世界。

AIが人類を超えるのは時間の問題とされるなかで、そのAIを開発してしまった博士の苦悩はいかばかりか。

かといってAI開発の流れはもはや止められず、せめて自分はその開発企業(Google)を退社するという潔さ。

「Googleへの影響を考えることなく、AIの危険性について話ができるようにするため」だと彼は言います。

「フェイク動画やフェイク画像、偽の音声が世の中にまん延し、何が真実なのか分からなくなってしまう」

そのように博士が言うAIの「短期的な危険」は、もう始まってますね。

「AIが人間より賢くなり私たちを支配できるようになったら、それは人類の終わりを意味する可能性がある」

これが「長期的な危険」ですか。せめて善いAIに支配されたいものですが、そんな甘い将来は来ないでしょう。

人類は地下に潜り、「反AI」の闘いが始まるのでしょうか。まるで映画『ターミネーター』じゃないですか。

まさか、過去に遡ってヒントン博士を殺害したりはしませんよね。