HPVワクチンの「キャッチアップ接種」の接種率は、まだまだ低いようです。
その接種期間が来年3月末で終了します。3回分の接種を標準的に行うためには、今月中の接種開始が必要です。
実は制度上は、11月中の接種開始でもギリギリ間に合うのですが、その裏技を最初から狙わないでください。
さて今回のキャッチアップ接種は、「(定期)接種する機会を逃した」方を救済するための措置です。
なぜ「逃した」かといえば、一部メディアによる誤情報によって、副反応への過剰な懸念が煽られたからです。
さらに、慌てた国が積極的勧奨を差し止めたことが、この誤情報にお墨付きを与えた形になってしまいました。
このワクチンは世界中で以前から広く接種が行われており、その有効性と安全性は十分に立証されています。
しかし日本は当時、子宮頸がんを予防するメリットよりも、副反応のデメリットの方を重要視したのです。
これを極論すれば、「副反応から逃れるためなら子宮頸がんになってもかまわない」ということになります。
いまキャッチアップ接種率が低迷しているのは、「副反応報道」のトラウマがあまりにも強かったからです。
そしてそれが「誤情報」であったことを周知する努力が、国にもメディアにもメーカーにも足りないからです。
今後徐々に接種率が上がるとは思いますが、キャッチアップ接種を今年度で終えるのは早すぎます。
先進諸国は、子宮頸がんの撲滅に向かっています。英国は2040年、豪州は2035年を撲滅目標としています。
日本でも子宮頸がんで亡くなる女性をなくしたければ、まずはキャッチアップ接種の期限をなくしましょう。