冷蔵庫の前は涼しい

これだけ猛暑が続くと、しかも年々暑くなるようだと、もはや待ち遠しいのは次の「氷河期」でしょうか。

2030年から「ミニ氷河期」に入るという予測記事を、何年か前に読んだことがあります。

「この暑さが止まるなら氷河期でもいい」という心境なのか、最近また氷河期の記事の再掲載を目にしました。

本格的な氷河期に入るのは数万年後だとされているので、とても待ちきれません。

それにたとえミニ氷河期でも人類には大打撃なので、できれば「ミニミニプチ氷河期」ぐらいでお願いします。

冷蔵庫の扉を開けたとき、溢れ出てくる冷気が心地よくて、しばらく浴びていたい気持ちになりますね。

幼少期、まだ一般家庭にはエアコン(クーラー)が存在しなかった頃、いちばん涼しいのは冷蔵庫の前でした。

そのままずっと扉を開けっぱなしにしておけば部屋が涼しくなるのに、と思いますよね、子どもなら。

でも、ちょっと長い間冷気を浴びていると、早く閉めなさいとと親に叱られます。

昔のわが家の冷蔵庫は、扉が重くて簡単には開かず、それを補助するためのペダルが付いていました。

それだけ重くてしっかりした造りでないと、当時の技術・素材では、冷蔵効果が保ちにくかったのでしょうね。

いまのわが家の冷蔵庫は、一定の場所に触ると勝手に扉が開きます。孫でもワンタッチで開けられます。

で、扉を閉めるときにうっかりその部位に触れてしまい、閉めたつもりなのにすぐ開くことが、時々あります。

もしかすると「扉を開けて」と言えば開く冷蔵庫も、すでに存在しているかもしれません。

いつも思うのですが、その手の口頭指示家電って、テレビ番組からキーワードが発出されると困りますよね。

テレビを消し忘れて外出して帰宅したら冷蔵庫の扉が開いてた、なんてことになるのが最悪。

『ハリスの旋風』

米大統領選挙は、ハリス陣営が追い上げてますね。

メディアは昔のアニメの名前を使って、「ハリスの旋風(かぜ)」が吹いているとオヤジギャグをとばします。

果たして、「どんがらがった」じゃなくて「どんでん返し」はあるのか。

あの<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4671.html" target="_blank" title="暗殺未遂事件">暗殺未遂事件</a>は、当時は絶妙なタイミングに思えましたが、いま考えると少し早すぎたかもしれませんね。

狙撃されても立ち上がり拳を振り上げるトランプ氏の映像で、バイデン氏の弱々しさがいっそう際立ちました。

がしかし、先月バイデン氏が選挙戦から降りるこどで、ハリス氏の浮上がギリギリ間に合ったようです。

事件がもう少し遅く起き、バイデン氏が撤退の時期を逸していたら、民主党はガタガタになったはずなのに。

狙撃事件がトランプ氏の自作自演であったとすれば、詰めが甘かったということです(しつこく陰謀論)。

『ハリスの旋風』は幼少期に見たアニメで、番組のスポンサーは「カネボウハリス」というガム会社でした。

後に中学か高校の歴史の授業で、私はそのチューインガムの会社と同じ名前の人物を知ることになります。

幕末に井伊直弼と日米修好通商条約を結んだ、初代米国駐日公使のハリス(Harris)ですね。

じゃあそもそも、「ハリスガム」の「ハリス」って何なのか。本日ググってみて驚きました。

戦後、菓子会社の創業者が、駐日公使のハリスにちなんで命名した社名だと。やっぱりそのハリスでしたか。

ただしスペルはHarisだし、シンボルマークはハリスの「リス」だし、ハリス氏へのリスペクトはなさそう。

HPVワクチン接種、増えているけどまだ少数

HPVワクチンは、メーカーの試算では、接種率が約40%だと聞きました。

私の印象や当院のデータではそこまで多くはないのですが、最近増えていることは間違いありません。

先月発表された大阪大学の調査では、世代ごとの接種率を詳細に算出しており、興味深いものです。

(1)勧奨接種差し控え前の公費助成世代(1994〜1999年度生まれ):接種率約70%

(2)差し控えによって接種が激減した世代(2000〜2003年度生まれ):接種率約4.6%

(3)勧奨接種ではないが個別案内を受けた世代(2004〜2009年度生まれ):接種率約16%

(4)積極的勧奨が再開された世代(2010年度生まれ):接種率2.8%

勧奨接種の再開後もまだ接種率が低迷しているようです。ただ、接種状況は年々改善しつつような気はします。

当院では、対象年齢に近いお子さんが別のワクチンを接種しに来た際には、必ずHPVワクチンも勧めます。

すると保護者には積極的な方もいらっしゃいますが、大半はワクチンへの懸念や不安を口にされます。

「副反応が心配です」

その心配は当然です。かつてメディアが喧伝し、国が接種を事実上ストップするほどの一大事でしたからね。

その懸念が消えたからこそ勧奨接種が再開されたのですが、人々の不安はまだ完全には払拭されていません。

勧奨接種の差し控えが医学的には誤りであったことを、国が認めないからこんな中途半端なことになるのです。

「ワクチンって、効果はあるんですかね」

いま使っている9価ワクチンは、約9割の予防効果があることが最近の研究でわかっています。

日本で毎年1万人近くが発症している子宮頸がんを、毎年9千人減らせる計算です。当然、死亡も激減です。

「検診をしっかりと受けさせますので、ワクチンは打たなくてもいいかと」

もちろん「検診」も大事ですが、それはがん(または前がん状態)を早期発見・早期治療するためのもの。

せっかく予防法があるのに、敢えて予防せずに発がんするまで待つのですか。それほどワクチンが嫌いですか。

まず予防して、でも万一に備えて検診もする。先進諸国のその考え方が、日本人にはまだ無理なのですかね。

真夏の洗車をどうする

ついつい延び延びになってしまうのが「洗車」ですね。なにしろ暑くて暑くて。

炎天下で洗車すると塗装を傷めるので、クリニックの駐車場が日陰になる夕方の時間帯に洗車しています。

仕事が終わってから作業する元気なんてありません。洗車するのは休診日です。

しかも他に予定がなく、そして気力・体力の充実した日に洗車することになります。

2日前のこと。日没時刻を調べると19時11分、雨雲は19時までは発生しない。う〜ん、やらない理由が無い。

というわけで、愛車もひどく汚れているし、夕方5時半頃から、久しぶりに洗車をしたのでした。

最近のお気に入りは泡洗車です。まずしっかり水をかけ、次に専用の器具を使って車体を洗剤の泡で覆います。

それから濡れたミトンで汚れを落とし、シャワーですすいで、マイクロファイバーのクロスで拭き上げます。

その、最終段階の拭き上げのときでした。日差しはなくてもひどく暑い環境に、ついにやられたんですね。

頭の上半分の血が抜けたような感覚に陥り、じっと立っていられず、ひどくムカムカしてきてきたのです。

まさかの熱中症か。いや、せめて拭き上げは終わらさねばと無理をして、さらに病状は悪化しました。

作業を終えて這うように院内に入り、冷房と冷風を浴びつつ、水とアリナミンを飲みました。

これが劇的に効いて、20分位で気力が戻りましたが、たかだか1時間の作業でこのザマですからね。

まず体力不足を痛感しました。日頃の運動不足ですね。あとは洗車前の水分・塩分摂取も必要かもしれません。

こうなったら「空調作業服」を買ってみますか(真剣に悩み中)。この真夏、皆様は洗車をどうしてますか?

「医療DX推進体制整備加算」

猫も杓子も「DX」の時代。医療の分野にもDXが求められています。

「デラックス」じゃないですよ。「デジタルトランスフォーメーション」のことですね。

マイナ保険証により取得した情報を活用し、また電子処方箋等を導入し、質の高い医療の提供を目指します。

一定のDX体制を整えた医療機関には、初診料に「医療DX推進体制整備加算」を加えることができます。

その加算点数は1人あたり8点、つまり80円。チリツモです。これを財源に、医療機関はDXを進めるわけです。

ところがこのたび国保連合会かから、子どものDX加算は認めないと、当院のレセプトが差し戻されました。

これを「返戻(へんれい)」といい、たいていの場合は先方の言いなりになるしかありません。

がしかし、今回は引き下がれません。なにしろ該当するケースの全例が返戻対象だったのです。一大事です。

午前の診療が終わって昼休みに国保連合会に電話すると、あちらの昼休みが終わってから折り返すとのこと。

あのね、こっちは昼休みを返上して電話してるのに。そうか、そっちは仕事として返事するわけか。なるほど。

で、午後1時過ぎに電話がありました。どうやら国保のシステム設定にミスがあったとのこと。なにそれ。

それに、こちらが言うまでミスに気付かないってどうなの。国保こそDXが必要なんじゃないのですかね。

「物価高騰対策支援金」申請も3回目

「熊本県医療機関物価高騰対策支援金」の申請期限が迫ってますよ、という親切な連絡が県から届きました。

もちろん申請しますよ。できれば、「医療機関診療報酬暴落対策支援金」なんてのも作って欲しいですね。

物価高騰対策支援金制度は3年連続。2年前は10万円、去年は7万円、そして今年は5万6千円に減りました。

毎年ほとんど同じ申請書を書いています。とても形式的な申請書なので、毎回書かせるのもどうかと思います。

・暴力団密接関係者ではありません

・物価高騰の影響を受けています

のような事項について誓約し、振込口座の通帳のコピーを添付します。

「昨年と同じ場合は、その旨をメールでご連絡くだされば、今年度の申請は不要です」とすればいいのに。

「なお、新たに暴力団と付き合い始めた方はご連絡ください」と付け加えておけば良いだけでしょう。

などと今さら言ってもアレなので、先ほど申請書を仕上げて、pdfにして県の担当部署に送信しておきました。

送ったらすぐに「申請受付事務局」から、自動返信で受信確認のメールが届きました。

こういう返信って、ありがたいですね。申請書が先方に届いたことの記録(証拠)になりますから。

以前、別の補助金申請で、添付ファイルが重くて届いてないことに気付かなかったことがありました。

予備申請したのに本申請がなされてないことから役所から問合せがあって、メールの未着が発覚したのでした。

メールによる申請にはこのようなリスクがあります。さらにMacユーザーには、互換性のトラブルもあります。

このような申請受付は、専用サイトに申請フォームを設けてもらいたい。ご面倒でしょうけど。

コロナの薬

コロナ陽性が判明した方からの、よくある質問集。お薬編。

「コロナの薬ってありますか」

「重症化予防効果がある、とされている薬があります。ただし3割負担ですとかなり高額です」

(具体的な金額を伝えると、たいてい、処方は不要です、ということになります)

「じゃあ、何も薬はないのですか」

「解熱剤が必要なら解熱剤、咳止めが必要なら咳止め、そのように対症療法の薬を処方することはできます」

「それを飲めば早く治りますか」

「治りを早くする薬ではありません。治るまでの間の症状を少しでも軽くするのが目的です」

「ということは、じっと寝て治すしかないということですか」

「インフルエンザを、タミフルを飲まずに治すイメージです」

たいていの方は、だいたい最後の説明で納得されます。

しかしそのタミフルですら、インフルエンザを劇的に治す薬、というわけではありません。

そもそも、インフルエンザになったらタミフルを飲めばいい、という発想自体が日本人特有のものです。

なにしろ日本は、世界中のタミフルの約80%を消費しているともいわれる、タミフル盲信国ですからね。

ワクチンに対しては異常に慎重なのに、新しい治療薬には積極的という、特異な国民性なのです。

熱い外来

まあしかし、暑い。熱いと言ってもいい。熊本市の最高気温は38.8度だったとか。そんな中の発熱外来でした。

駐車場に行って焼け焦げ、院内に戻って涼む、また出て焦げる、また涼む。この繰り返しで汗まみれです。

このままでは私が発熱しそうで、そうかこれこそが発熱外来なのか。空を見上げると太陽がまぶしすぎます。

雨でも降ってくれればいいのにと天に念じれば、安倍晴明でもこうはいくまいと思うほどの、突然の豪雨。

コロナはいま、昨年の流行極期のような様相を呈しています。受診者は殺到し、陽性率も高い。

予約受付用の電話回線は2回線ありますが、朝いちばんからすぐにパンクして、なかなかつながりません。

ネット予約分と、やっと電話がつながった人の予約だけで、夕方までの予約枠がうまっていきます。

電話がつながらないので直接来院する方もいますが、よほど重症でない限り受診をお断りすることになります。

高熱・重症だけど辛抱強く予約順を待っている方が大勢いるのに、軽症の割り込みを許すわけにはいきません。

去年も一昨年も書いたように、当院の診療のキャパと受診希望者の数が、休日はかなり乖離しています。

それは、熊本の休日診療態勢が貧弱すぎるということです。コロナ禍を経ても、改善の兆しが見られません。

労務など経営上の苦労が多い割に利益が少ないので、休日診療を担う医療機関はなかなか増えません。

せめて、休日診療を標榜すると休日加算が取れないという非道なルールは、ぜひ撤廃してほしいものです。

労働時間の比較、勤務医 vs. 開業医

日本医師会の調査によると、50代の開業医は同世代の勤務医よりも労働時間が長いことがわかったとのこと。

「時間外労働が月80時間」の過労死ラインを超える割合も、開業医の方が勤務医よりも高かったといいます。

しかしこれをもって、勤務医よりも開業医の方が長時間働いているから過酷だ、という結論にはなりません。

まず、病院の業務で残業している勤務医と、自らの意志で働く開業医とでは、労働時間の意味が違います。

しかしまた、開業医は労働時間を自分で決めることができるゆえ、長時間働いてしまう側面もあるわけです。

開業医には医事や経営や労務や営繕などの仕事もあり、それらは診療時間外や休日にしなければなりません。

そのかわり、勤務医の過労の一因でもある研究は、少なくとも私においてはだいぶ削減されてしまいました。

ただ、患者の要請に応えるために長時間働いている点では、勤務医も開業医も医師としての根本は同じです。

今回の調査において、いわゆる「自己研鑽」の時間の扱いはどうなのかが気になります。

勤務医ではそれが労働時間には含まれず、開業医はそれを労働時間に含んでいる可能性があります。

どんな職業でも、50代といえば知識と経験と体力とのバランスがもっとも良い年代。いちばんの働き時です。

その意味では、たしかに開業医もいちばん頑張る時期かもしれません。で、私はすでに60代なのですけれど。

綺麗な市民病院

所用で熊本市民病院に行きました。新病院に行くのはこれで2度目です。

新外の方から自衛隊の真ん中の道を南下すると、街路樹の緑がとても鮮やかで、しかもよく茂っています。

おかげで市民病院の建物が見にくく、道をよく知らない人は交差点を曲がり損ねそうです。標識も貧弱だし。

市民病院は新しくて綺麗で機能的です。私が働いていた、老朽化して建て増しだらけだった旧病院とは大違い。

古巣の先生方のお仕事を邪魔しないよう、誰にも電話したり医局に行ったりせず、目的の病棟に向かいました。

ところが、ひょんな人気(ひとけ)の無い通路で相良院長とバッタリ。相良先生は私と同い年です。

「これは相良先生、ご無沙汰してます」

「鶴原先生、スリムになられましたね」

「そうでもないですよ。先生も院長になられてさぞかしお忙しいでしょう」

「そうでもないですよ」

そんな感じで社交辞令を何往復かして、別れました。

コロナ禍の市民病院の院長職ですから、それはそれは苦労の連続だったことでしょう。

ところで今回に限らず、数年ぶりに出会った方によく、スリムになったと言われます。体重は減ってないのに。

もしかすると、顔がやつれた(=ハリが無くなった=老けた)のかもしれません。ヤバいですね。