大出血シーンの描き方がエグい

『ブラックペアン シーズン2』(TBS)が、なかなか良い感じです。

主人公の天城雪彦のような、型破りな天才外科医を描いたドラマは、わりと似た様なパターンになりますね。

既存勢力からは煙たがられ非難されがちですが、確実に良い結果を出してしまうのでそれなりに評価もされる。

悪徳医師のように見えて実は世の中の悪を許さず、弱者に優しい人物なので周辺には信奉者や仲間もいる。

このようなドラマの源流は、手塚治虫の『ブラックジャック』かもしれません。手術は基本的に失敗しません。

トラブルが起きるとすれば、別の人物の介入による不可抗力で、それを主人公が難なくリカバーするのです。

ただし、いつか手術に失敗して自分の思い上がりを悔やむ日も来るでしょう。ブラックジャックもそうでした。

ドラマに描かれる天才外科医は、たいてい心臓外科医です。それは心臓という臓器の特性によるものでしょう。

心臓のダイナミックな拍動や規則正しい心電図波形によって、手術の成功を直感的に見せることができます。

急な大出血というアクシデントと、それが無事止血できたときの安堵感も、いかにも目に見えてわかりやすい。

ドラマの中で、出血が多過ぎてもはや心臓が見えなくなり、術野から血液があふれ出すシーンがありました。

心臓手術では実際に起こりうる大ピンチの局面であり、経験者であれば見ているだけでイヤな汗が出ます。

私がかつて、極度の緊張を強いられる心臓手術に携わっていたことが、いま自分でも信じられない気持ちです。

そして同時に、現在そのような現場に身を置き活躍している元同僚や後輩たちには、敬服するばかりです。