顔見知りなのに、本人を前にしてその人の名前が出てこない、なんてことがよくありますね。
「え〜っと、すみません、お名前を忘れてしまって」と最初に謝ってしまえば済むのですが、それができない。
思い出せないまま会話が進み、いまさら名前を尋ねる訳にもいかず、なんとかその場をやり過ごすわけです。
まさか相手が怪しんで「ところで私の名前、覚えてます?」と訊いてきたらどうしようと、不安がよぎります。
「忘れてるわけないじゃないですかぁ。それより…」と強引にその質問を終わらせる賭けに出るべきか。
岸信介元首相が使っていたという「秘策」を思い出します。
「君の名前は?」「○○です」「それはわかってるよ○○君。名字じゃなくて名前を忘れてしまったのだよ」
名前を忘れるのではなくて言い間違える名人と言えば、いまバイデン米大統領の右に出る人はいないでしょう。
ゼレンスキー大統領をプーチン大統領だと紹介し、ハリス副大統領と言うべきところでトランプ副大統領と。
これほど典型的な絶対やっちゃダメな間違いをNATO首脳の前で繰り出すとは、大失態にもほどがありますよ。
岸田首相も前にホワイトハウスで、米国のことを指して「同盟国たる中国」と言い間違えたことがありました。
私もたまに、最後に言おうと思っていたことが、なぜか手前の方で口から出てくることがあります。
いつも頭の中を占めている重苦しい事柄が、つい別の大事な部分に置き換わってしまうんですよね。
バイデン氏も弁解する通り、誰でも時々あることです。ただ、その状況と内容がなんとも絶妙で最悪でした。