急発進の抑制だけで良いのか

自動車のアクセルとブレーキの踏み間違い事故を防ぐため、国連が車の急発進を抑制する基準を策定しました。

国連はあくまで、「停車した状態から、アクセルをいっぱいに踏み込んだ場合」を想定していますが…

私は数年前に、高齢者が車でフェンスに激突する事故の一部始終を、ほんの目の前で目撃したことがあります。

最初はおそらく、ハンドル操作かシフト操作を誤ってフェンスに衝突したようでしたが、問題はその後です。

衝突後、車はそれ以上進めないのにエンジン音が轟き、タイヤは空回りし続け、白煙が立ち昇っていました。

「アクセルとブレーキを踏み間違えた」という高齢者の事故の実態は、次のような状況が多いと思います。

(1)シフト操作かハンドル操作を誤り、意図した方向とは逆または違う方向に車が動き出した

(2)慌ててブレーキを踏もうとしてアクセルを強く踏み込んでしまい、急加速して突き進んだ

まず、(1)では急発進をしていません。普通の緩徐発進です。ただ、向きが違った。

問題は(2)です。慌てて、ブレーキを踏むつもりでアクセルを強く踏み込んでしまう。

ところがブレーキが効かない。もうパニクって、さらに強くアクセルを踏み続けてしまうわけです。

停止状態からの急発進だけを抑制したのでは、多くの事故が防げるとは思えません。

低速走行からの急加速という運転こそ、危険視すべきです。それを防ぐ仕組みをぜひ車に搭載してもらいたい。