電カルのMacで「へ」と入力すると「ヘルパンギーナ」、「て」では「手足口病」に変換されます。
だいぶ前に辞書登録したものですが、最近は変換頻度が高くなったので、上位に現れるようになりました。
この2つの疾患は、咽頭結膜熱(プール熱)とともに、子どもの夏の感染症の代表例と思われてきました。
しかしコロナ禍以来、インフルエンザを筆頭に感染症の「季節性」がかなり乱れています。
ヘルパンギーナと手足口病は、近縁のウイルスによる感染症なので症状が少し似ていますが、異なります。
発症初期には区別が付きにくいことがありますが、口腔内の所見は比較的特徴的です。
ヘルパンギーナの発疹は軟口蓋に限局していて赤く、あるいは潰れて白く、ひどく痛々しく見えます。
手足口病の発疹は、咽頭や頬や舌や口唇などあちこちに散在しています。初期には舌だけのこともあります。
なお、発疹の数が数えられるレベルではなく、小さな赤い点々の集合体のようだと、溶連菌感染を疑います。
発熱してノドに赤い発疹が1個か2個だけ、という時は、ヘルパンギーナか手足口病か区別が付きません。
その場合は、現時点ではヘルパンギーナの疑いがあるけどすぐに下熱したら手足口病かも、と説明しています。
ときどき、手足口病なのに高熱が長引いたり、ヘルパンギーナなのにすぐ下熱する子もいたりします。
いずれも特別な治療薬はありませんが、溶連菌感染ならば話は違います。抗生剤治療が必要です。
いま流行している溶連菌感染の咽頭所見は典型的ではないので、怪しければ検査をするのが正解です。
という風に、咽頭所見に特徴のある疾患が、いまとても増えています。