溶連菌感染治療はシッカリと

「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の今年の報告が、過去最多だった去年の報告数をすでに上回っています。

致死率が高いために、メディアはこの細菌を「人食いバクテリア」と呼んでいます。

これとまったく同じ菌が、通常はおもに小児に「溶血性レンサ球菌咽頭炎」を起こします。

劇症型とは感染経路は異なると考えられているので、咽頭炎が悪化して劇症型になるわけではなさそうです。

「咽頭炎」と書きましたが、咽頭炎だけでなく発疹を伴うことが多い感染症でもあります。

とくにいま流行しているのは、咽頭炎所見は比較的軽く、発疹の方がひどいお子さんが目立ちます。

ほぼ全身が真っ赤になっている、いわゆる「猩紅熱」の症状になっているお子さんも、今年は時々見かけます。

溶連菌感染は、いったん治っても保菌状態になることがあり、再発しやすい疾患です。

風邪を引いて免疫が低下したときに溶連菌感染が併発すると、症状は複雑で分かりにくい場合があります。

私が研修医から若手医師の頃、心臓外科の外来や病棟の患者さんの大半は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2406.html" target="_blank" title="「僧帽弁狭窄症」">「僧帽弁狭窄症」</a>でした。

左心房と左心室の間にある「僧帽弁」が、石のようにカチカチに固く分厚くなり、開口部が狭くなる病気です。

この特異的な病気の原因は「リウマチ熱」であり、その原因は溶連菌感染です。

いまは見なくなった病気ですが、溶連菌感染が及ぼす影響(合併症)は幅広く、どれも避けたいものばかり。

しかしそれなのに、抗生剤を短期間だけ服用して治療をあっさり終了しているケースにときどき出会います。

当院では、少なくともお子さんには原則通り、ペニシリン系抗生剤を10日分飲んでもらうことにしています。

その後、尿検査も必ず行っています。何度も受診していただきますが、合併症対策なのでご了承ください。