昨日・今日の2日間、当院を受診した急性感染性疾患の方でとくに多かったのは、胃腸炎と溶連菌感染でした。
幼児の胃腸炎はこの数カ月断続的に出ていますが、いま目立つのは大人の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1308.html" target="_blank" title="「カンピロバクター感染」">「カンピロバクター感染」</a>です。
この細菌はニワトリが保菌しているので、生の鶏肉を食べると感染することがあります。
「鶏刺し」か「鶏タタキ」を食べた数日後に胃腸炎症状が出た方が、この2日間で3人いました。
すべて外食であり、さらにその中には、一緒に食べた人が同様の症状だという方もいました。食中毒案件です。
鶏肉の生食は規制されておらず、農水省のサイトでは鹿児島県の郷土料理として鶏刺しを紹介するほどです。
私も勤務医の頃には、行きつけの店でよく鶏刺しを食べていました。でも開業してからは食べていません。
それはある時、カンピロバクター感染後に「ギラン・バレー症候群」を発症した事例を聞いたからです。
ギラン・バレー症候群は、麻痺や呼吸困難などを起こす神経障害で、後遺症が残りやすく死亡例もあります。
食中毒菌がなぜ神経障害?と思うかもしれませんが、この菌の構造に神経の構造と似た部分があるのです。
そのため体の免疫がカンピロバクターを攻撃する際に、誤って神経も攻撃してしまうのです(自己免疫反応)。
おなじみの病気が意外にも自己免疫反応を惹起することがあり、身近な例では溶連菌感染がそうです。
だから抗生剤でしっかりと治しましょう、ということになります。これも大事な話ですが、今日は割愛します。
そういえば、豚肉は言うに及ばず、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-85.html" target="_blank" title="病原性大腸菌の食中毒">病原性大腸菌の食中毒</a>が問題となってからは牛刺しも私は食べていません。
でも馬刺しだけは好んで食べます。生の馬肉で食中毒は起きないのかと心配になりますが、大丈夫らしいです。
馬は体温が高いので雑菌が繁殖しづらく、寄生虫は冷凍処理によって対処できるそうですね(by 菅乃屋)。