奇妙な春の旅、始まる

札幌に来ています。研修旅行です。このあとの予定が立て込んでいるので、早めにブログを投稿しておきます。

そういうわけで本日は勝手ながら、臨時休診させていただいております。

熊本から札幌に来るには、バスで福岡空港まで移動して福岡–札幌の直行便に乗る、という方法があります。

しかし当然のことながら私は、熊本–羽田、羽田–札幌と乗り継いで来ました。飛行機好きなら当然のことです。

羽田–札幌線ANA61便の機材は、先日も書いたANAの最新機種「Boeing 787-10」(通称78K)です。

就航から2週間も経ってない真新しい機内は、もちろんピカピカで、シートからは新品特有の香りがしました。

さて今日は、ANAの「特典航空券」を駆使して飛んでいます。

手持ちの「マイル」を使って無料で乗れるのが特典航空券。ただし「燃油サーチャージ」等は別料金です。

ANAの特典航空券が発売されるのは、出発の355日前の午前9時。人気路線は「秒で」売り切れてしまいます。

その時間帯にパソコンの前に毎日張り付いていることができない者は、運に頼るしかありません。

つまり、特典航空券を誰かがキャンセルした瞬間や、特典枠自体が増枠された瞬間に遭遇できるかどうかです。

その意味では、自分が旅行したい(旅行可能な)旅程通りの枠をゲットできるのは、まさに奇跡でしょう。

そう言いながらも私は時々、休診日の朝9時ジャストに、特典枠をチェックしたりしています。

たいていは何も得られないのですが、ごくごく希に、すごい空き枠を見つけてしまうんですね、これが。

というわけで、特典航空券でちょこっと飛び回る奇妙な春の旅がいま、始まったところです。(つづく)

Wi-Fiルーターは故障するもの

Wi-Fiルーターというのは、必ずいつかは故障して、困ったことになります。それを見越した対策が必要です。

当院の電子カルテは「オンプレミス型」というもので、端末は閉鎖的な院内有線LANでつながっています。

インターネットには接続していません。いや、接続していませんでした、と過去形で言わなければなりません。

なぜなら、受付の端末と「オンライン資格確認」用の端末とを、LAN接続する必要があったからです。

きわめてセキュリティの高いネット接続をしているので、情報漏洩等の心配はしていません。

ただ最近、院内LANが不安定になることが時々あり、ネット接続との「干渉」じゃなかろうかと疑っています。

それに加えて、ネット予約システム等に使ってる、別系統の院内Wi-Fiの具合もおかしくなりました。

Wi-Fiルーターは2つの機器が稼働中ですが、新しい方の電波が不安定になりました。老朽化とは思えません。

なので危機(機器)管理としてはここで、予備のルーターを準備することにして、新たに2台購入しました。

2台というのは、一方は自宅用です。自宅のWi-Fiも、最近2階まで電波が届きにくくなってきたのです。

幸い2階にEthernetが配線されていたので、新しく買ったWi-Fiルーターをそこに繋ぐことにしました。

そして昨夜遅く、接続設定作業をしたのですが、まあこれが、うまくいかない。

過去に何台も(10台以上)Wi-Fi機器の設定をしたことがありますが、おおむね、いつもうまくいきません。

こりゃ不良品か?と機器を疑ったりして、とりあえず全機器を再起動して、トイレに行ったりします。

で、書斎に戻ると、Macは何食わぬ顔で、ネットにつながっていました。おおむね、いつもそうなります。

後世にメッセージを残す

NHKスペシャル『Last Days 坂本龍一 最期の日々』を見ました。

坂本龍一という人の芸術活動については、もはやここでは書きません。

番組で私の心を打ったのは、闘病中の、しかも余命宣告を受けた後の、じつにリアルな手記や映像記録です。

それは家庭であったり仕事場であったりもしますが、最後の方はほとんどが病室で録画されたものでした。

しかも、誰が撮ったのか自撮りなのか、ご自分の姿と声が写っている動画が多く含まれていました。

いよいよの最期は、ご家族が撮影したのか、臨終間近の姿が、それも音声(歌声など)入りで写っていました。

家族や社会の人々に何かを伝え残したい、その執念が、自分の最期の日々の記録へと駆り立てたのでしょう。

ある著明な医師が「私は、がんで死にたい」と言っていました。人生を整理し、締めくくる時間がほしいと。

私もまったく同感。ポックリはいやです。急病や事故で突然命を絶たれると、その時間がないですからね。

やり残したことにケリを付けたいし、家族や友人や同僚・後輩やなんなら社会に、伝えるべきことを伝えたい。

昨日の番組を見て強く感じたのは、せっかく与えられた余命をどう生かせるか、それこそが最期の大仕事だと。

伝えるという観点からは、自分の姿や声や思いを記録して残すのもひとつのやり方でしょう。

坂本氏はその究極だと思いますが、私も、拙いブログや、なんならVlogでも残そうかと思いました。

奇しくも、ちょうどVlogにはまり始めたものだから、練習がてら日常風景などを撮影したりしています。

ドライブや旅行やBBQの動画を編集して、エッセイ風に仕上げてみるのも一興でしょうか。まずは、楽しく。

ただ、自分の様子を撮す分には良いのですが、不意に撮される家人にはどうも不評ですね。

発熱者は少なくても、感染はくすぶっています

発熱外来(という呼称もすでに廃れているのですが)は、日曜日なのにすっかり落ち着いてきました。

ひところは朝のうちに夕方までの予約が埋まっていたのに、今日の最後の方は受診者がありませんでした。

とは言え、まだ今日もコロナは出ています。11人検査した中で陽性者は5人でした。先週は18分の5でした。

よほど希望する(=怪しみの強い)方だけが検査を受けるので、検査数は減っても陽性率は逆に高いのです。

周囲にコロナなどまったくいないという陽性者も多く、おそらく未検査の感染者がウヨウヨいるのでしょう。

そう言えば例の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4549.html" target="_blank" title="「麻疹(はしか)騒ぎ」">「麻疹(はしか)騒ぎ」</a>は、最近めっきり報道されなくなりましたね。

つまり、ほとんど感染が広がらなかったということです。良かった。

海外から麻疹が持ち込まれたので緊張しましたが、結局は「集団免疫」によって流行が阻止されたわけです。

近年、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4559.html" target="_blank" title="麻疹のワクチン">麻疹のワクチン</a>の接種率が低迷していて、十分な集団免疫が確立されていないという懸念がありました。

しかしそのマイナス部分を、コロナ禍から続く国民の感染防御意識の高まりが補ったのかもしれません。

ともかく油断せず、しかし慌てず、まずはお子さんから、ワクチンの接種を完了させていきましょう。

日本だけでなく米国でも定期接種率の低下が問題になっているのは、「反ワクチン」の人たちがいるからです。

そしてその接種を拒否している人を、他の人たちがワクチンを接種して集団で守ってあげているのが現状です。

親が反ワクチンのせいで未接種だったお子さんが、今回の麻疹騒動を機に接種を受けた事例を聞きました。

麻疹は怖い、ワクチンで防げると、先月メディアが喧伝してくれた効果が、それなりにあったようです。

Vlogは編集がキモ、というか楽しい

YouTuberになろうとは思いませんが、「Vlog」に手を出すのであれば、やはり動画編集スキルが必要です。

勤務医の頃には、学会や研究会で発表するための、おもに手術の動画を編集することが時々ありました。

大学病院時代には、Appleの「Final Cut Pro」という高度な編集ソフトを使って、Macで作業していました。

その後、市民病院に来て、まだビデオテープを使ったアナログなダビングをしているのを見て愕然としました。

しかしそんな20年以上前とは異なり、今ではどの病院でもきっとパソコンで動画編集をしているはずです。

昨日は試しに、自宅での夕食シーンを撮影して編集してみましたが、これがケッサク。楽しめました。

Insta 360 GO 3で撮影し、USB-CでMacBook Proに繋ぎ、Mac標準ソフトの「iMovie」で作業をしました。

その際に得たノウハウ、というか気づきを書いてみます。

動画は短いカットに仕上げると見やすいと昨日は書きましたが、実際の撮影は流し撮りの方が簡単そうです。

ビデオのサイズが大きいとMacへの取り込みに時間がかかりますが、編集作業はそっちの方が楽ですね。

長いシーンの中から、必要な部分を選んで切り取って繋げれば良いからです。バカみたいに簡単。

テロップ入れて、特殊効果を入れて、BGM入れて…などと凝り始めたら、楽しすぎてキリがありませんね。

などと書きながら、すでにFinal Cut Proが欲しくなってます。90日間フリートライアルなんてのもあるし…

「Vlog」用カメラ購入

「Insta360 GO 3」という、「Vlog(ブイログ)」用のアクションカメラを、遅ればせながら買いました。

Vlogというのは、動画によるブログ(Video Blog)、あくまで個人的な動画記録(<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-582.html" target="_blank" title="ライフログ">ライフログ</a>)ですね。

世の中のブログは、これまで「画像+文字」が主体でしたが、最近は動画で構成されたVlogが増えています。

その観点からすると、当ブログのような「文字のみ」は、かなり殺風景というか、地味で面白味がないですね。

孫たちが遊びに来ると、通常はスマホで、写真やビデオを山のように撮ります。

シャッターチャンスを逃すまいと思うのですが、スマホをずっと構えているのにも限度があります。

なので三脚にスマホを固定して流し撮りしたり、タイムラプス撮影したりもするのですが、効率が良くない。

旅行の時も同じ。手にずっとスマホを持って歩き回るのも不便です。

私の「旅日記」は写真主体ですが、「Vloger」の動画作品を見ると、臨場感があってすごくいいのです。

たとえば何かを食べる数秒間の動画だけで、静止画には不可能なほどの美味しそうな雰囲気を盛り込めます。

そのような動画を即座に撮るためには、小さくて、必要な時にすぐ起動・撮影できるカメラが必要です。

さらに衣類やバッグにも簡単に装着できて、手ぶれ対策もバッチリなのが「アクションカメラ」なのです。

ワンカットを長々と撮らず、短いシーンをたくさん繋げるように編集すると、楽しい動画に仕上がるそうです。

今後の私の旅行中の、たとえば飛行機内での作業が、ますます忙しくなりそうです。

『空飛ぶドクター』

渡辺由紀子さんというお医者さんが書いた、『空飛ぶドクター』という本を読みました。

防衛医大を出て陸上自衛隊医官となり、さらにフリーランスとなって日本中の僻地を飛び回っている方です。

優秀で、真面目で、タフで、とにかく積極的だからこそ、こんなフリーランスが務まるんでしょうね。

ただし本としては、レビューを書きたくなるような読後感がなく、医者以外の一般の方が読むと良い内容です。

でも、年に200回以上も飛行機に乗っている、という点は、素直にうらやましく思ったりします。

2日前に、Amazonから届いたその本を当院のスタッフに見せたら、「先生と同じですね」というコメント。

あー、空飛ぶドクター繋がりですか。私は単に、空を飛ぶのが好きなだけのドクターなんですけどね。

日本中の僻地に、文字通り飛び回って活躍中の渡辺先生と比べては、申し訳ないです。

でも実は世の中には、飛行機好きが高じて、離島の診療所に通う仕事を始めた医師もいます。うらやましい。

それならば私も行く行くは、石垣島かどこかに週1でバイトに言ってもいいなと、妄想したりします。

いやいや、そんな遊び半分で離島診療なんて務まりませんね。失礼しました。

そういえばこれまでに、搭乗した<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2899.html" target="_blank" title="旅客機内で急遽、診療行為">旅客機内で急遽、診療行為</a>をしたことが2回ほどあります。

そのうち1回は、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2278.html" target="_blank" title="私が心肺蘇生をしたケース">私が心肺蘇生をしたケース</a>です。患者さんの心拍と血圧はなんとか戻りました。

ただ、救急救命に際しての必要物品が、機内にはあまりにもなさ過ぎました。あれって、改善したんですかね。

医師の残業制限だけでは改革にはならない

「医師の働き方改革」によって勤務医の残業時間の制限が厳しくなり、現場の労働力不足が危惧されています。

厚労省の調査では、全国の医療機関の約6%が、診療体制そのものを縮小する見込みだとのこと。

残業時間は原則として960時間以内。例外的に1,860時間またはそれ以上も認められる「抜け道」はあります。

私も大学病院勤務時代には、月平均200時間以上、年間だと2,400時間以上は残業していました。

それは90年代の話ですが、たぶん今でもそのような働き方をしている医者は大勢いると思います。

心臓外科では、緊急手術が入ったり、予定手術が長引いたりして、深夜の手術になることがしばしばあります。

その後、ICUで徹夜で術後管理をしていると、翌日の予定手術の患者さんが手術室に入る時間になります。

そのまま、予定手術をこなします。夕方までには終わったとしても、そこからまた術後管理が始まります。

2人の患者さんのベッドの間にイスを置いて座り、あっち見たりこっち見たりして、また次の夜を明かします。

自分だけが過酷な目に遭っているわけではなく、皆が頑張っているので、当然、自分も頑張るわけです。

しかしこんな働き方をしなければ予定手術がこなせないのなら、明らかに人員が足りないということです。

あるいは、術後管理は基本的に担当外科医がするという旧来のやり方は、合理的ではないのかもしれません。

さらに言うなら、書類仕事など医師でなくてもできる仕事が山のようにあって、手術よりもストレスです。

「働き方改革」では、量だけでなく質的な改革が望まれます。単なる残業制限では診療が縮小するだけです。

新ワクチン接種の注意点

今年度から子どもの定期接種用に、「5種混合ワクチン」と15価の「肺炎球菌ワクチン」が導入されました。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4564.html" target="_blank" title="先日も書いた">先日も書いた</a>ように熊本市では、原則として「5種」の交互接種はできませんが「肺炎球菌」では可能です。

つまり、これまで13価で接種してきたお子さんは、いつでも、15価肺炎球菌ワクチンに切り替えられます。

これら2つの新ワクチンはまた、「筋肉注射(筋注)」も可能です。もちろん「皮下注射(皮下注)」でもOK。

医学的な面はともかく、間違い防止の観点からは、しばらくは新ワクチンでも皮下注をした方が良さそうです。

筋注と皮下注を混在させてると、筋注が認められていないワクチンをうっかり筋注するリスクがあるからです。

いま当院で筋注しているワクチンは、HPVワクチンだけです。乳幼児に筋注するワクチンはありません。

当面はそのようにシンプルに区分しておいた方が、間違い(過誤)接種は避けられます。

5種混合ワクチンでは、初回接種終了から追加接種までの間隔を「6カ月以上」あける、と規定されています。

この6カ月間隔は、4種混合ワクチンや日本脳炎ワクチンでも同じです。

例外はヒブワクチン。ヒブだけは「7カ月以上」あけるルールになっていて、これは今回改定されていません。

ヒブの成分を含む5種では6カ月間隔でOKなのに、ヒブ単独だと7カ月あけろというのは、オカシな話です。

この点を、念のため保健所に問い合わせましたが、「国の規定です」という予想通りの杓子定規な回答でした。

ま、あまりにも理屈に合わないので、そのうち改定されると思いますけどね。

発熱外来の「空白の2カ月」始まる

保険医療機関における診療行為に対する報酬、つまり医療機関のおもな収入である「診療報酬」の話です。

コロナ禍においては「診療報酬上の特例」措置がありましたが、昨年来、段階的に見直されてきています。

たとえば昨年9月までは「トリアージ加算」300点というものがありました。300点とは3,000円のことです。

これは発熱外来における、時間的・空間的分離や感染対策に必要な人員と物品の確保に対する報酬です。

時間や場所を工夫し、防護具も完備して診療する際に認められる、いわば「発熱外来手当」です。

昨年10月からは、その手当が147点に減りました。1,470円です。ちまちました話ですみません。

さらに今回の改定では、なんと20点に減額です。発熱外来の感染予防経費は、200円で抑えろということです。

動線や時間帯分離を緩和したり、手袋やガウンなども節約して使い回せと、そういうことなのでしょうか。

少なくとも私は今日も、昨日までと同じ防護具を使って検査等を行いましたが、今後どうすべきか悩みます。

ついでに言うなら、147点は3月末で終了したのに、20点が始まるのは6月からということです。

診療報酬の大幅な改定は、これまで4月に行われてきましたが、今回からは6月改定となりました。

つまり4月と5月の発熱外来には、それ専用の報酬がまったくありません。まさに「空白の2カ月」なんですね。

減額はしょうがないとしても、空白はおかしいでしょう。この不都合をどう思ってるんですかね、厚労省は。