検査キットが綱渡り

医薬品や医療用品の需給バランスがうまくいかず、品薄になることがよくあります。

医薬品であれば、ジェネリックメーカーや製剤行政にも問題があって、製造が滞っているときにそうなります。

検査用品であれば、感染症の急拡大によって検査需要が急増したときにそうなります。

そしていま、昨日も少し書いたように、溶連菌感染症の検査キットが不足しています。

大型連休後半戦に備えて検査キットを確保しておく必要があるのに、昨日の診療で在庫を使い尽くしました。

いつもお願いしている業者に連絡したところ、入荷は連休明けになるとのこと。それじゃ間に合いません。

別の業者も返事は同じ。メーカーが休みらしく、どうしようもないそうです。メーカーは10連休かよ。

いや〜な汗が出てきました。検査キット無しで、連休を含む明日から1週間を乗りきれるとは思えません。

病状だけで診断を確定させる「臨床診断」を多用したとしても、全例でそんな診断にするわけにはいきません。

検査キットではあまり取引の無い業者にも、担当者の携帯に電話をかけまくりました。なんとかしてくれと。

4つの業者のうち1人からは、在庫ゼロなので入荷は連休明けだという折り返しの連絡を受けました。

しかし残る3社からはそれぞれ、なけなしの在庫を持って来てくれることになりました。ありがたいことです。

でも当院に回す分、他の医療機関への供給が減ることになるのでしょう。そう考えると申し訳ない限りです。

メーカーの需要予測が間違っていて製造量が少ないか、卸業者の在庫が少なすぎるのが問題なのです。

予想外の感染急拡大などに対応するために、製造や在庫に余裕を持たせようという発想がないのでしょう。