足りないから多めに確保したくなる

新型コロナワクチンの公費接種が先月で終了し、未使用の約2億4千万回分のワクチンが廃棄されるとのこと。

政府がメーカーと契約した9億2840万回分のうちの約4分の1は、使われずに捨てることになったわけです。

壮大なムダにも思えますが、購入はムダではなかったと、武見厚労相は次のように述べました。

「世界各国で獲得競争が継続する中で、その時々の状況を踏まえ必要なワクチンを確実に確保するためだった」

しかし日本が自国の利益を優先させたせいで、競争に負けてワクチンが一時的に不足した国もあったはず。

ワクチンを大余りさせた日本としては、反省のひと言ぐらい、武見氏には付け加えてほしかったものです。

毎年インフルエンザワクチンを接種する時期になると、厚労省はいつもアナウンスしてきました。

ワクチンは必要量が供給されるので、慌てず自院で使う量だけを過不足なく確保せよ、過剰に発注するなと。

しかし予約者に接種出来ないと困るので、医療機関が早めに余裕をもってワクチンを発注するのは当然のこと。

結局毎年、シーズン初期にはいつも<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3680.html" target="_blank" title="ワクチンは足りず">ワクチンは足りず</a>、予約分を確保できるかどうかギリギリでした。

国が国民のためにコロナワクチンを確保したように、医療機関はインフルエンザワクチンを確保したいのです。

医療機関にはワクチンをムダにするなと言いつつ、国は余らせてもムダではない、という理屈は通りません。

毎年の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3309.html" target="_blank" title="インフルエンザワクチンの生産供給量">インフルエンザワクチンの生産供給量</a>は、国が決めています。メーカーには自由に作らせません。

ワクチンが余ったらムダに接種するだろうと、前年の使用実績を踏まえてギリギリしか製造させいないのです。

でもそれは逆効果でしょう。ワクチンが足りなければ、念のため早めに多めに確保したくなるのは当然のこと。

もしもワクチンが潤沢に供給されれば、医療機関も必要量だけを随時発注するようになるんですけどね。