検査キットが綱渡り

医薬品や医療用品の需給バランスがうまくいかず、品薄になることがよくあります。

医薬品であれば、ジェネリックメーカーや製剤行政にも問題があって、製造が滞っているときにそうなります。

検査用品であれば、感染症の急拡大によって検査需要が急増したときにそうなります。

そしていま、昨日も少し書いたように、溶連菌感染症の検査キットが不足しています。

大型連休後半戦に備えて検査キットを確保しておく必要があるのに、昨日の診療で在庫を使い尽くしました。

いつもお願いしている業者に連絡したところ、入荷は連休明けになるとのこと。それじゃ間に合いません。

別の業者も返事は同じ。メーカーが休みらしく、どうしようもないそうです。メーカーは10連休かよ。

いや〜な汗が出てきました。検査キット無しで、連休を含む明日から1週間を乗りきれるとは思えません。

病状だけで診断を確定させる「臨床診断」を多用したとしても、全例でそんな診断にするわけにはいきません。

検査キットではあまり取引の無い業者にも、担当者の携帯に電話をかけまくりました。なんとかしてくれと。

4つの業者のうち1人からは、在庫ゼロなので入荷は連休明けだという折り返しの連絡を受けました。

しかし残る3社からはそれぞれ、なけなしの在庫を持って来てくれることになりました。ありがたいことです。

でも当院に回す分、他の医療機関への供給が減ることになるのでしょう。そう考えると申し訳ない限りです。

メーカーの需要予測が間違っていて製造量が少ないか、卸業者の在庫が少なすぎるのが問題なのです。

予想外の感染急拡大などに対応するために、製造や在庫に余裕を持たせようという発想がないのでしょう。

コロナは次は第何波でしたっけ?

大型連休の前半戦を振り返ってみましょう。空港とかハワイの話じゃありませんよ。

この3日間(土・日・祝)、当院の「いわゆる発熱外来」の受診者には、顕著な特徴がありました。

それは、インフルエンザが消え、そのかわりコロナが増え、それ以上に溶連菌感染が多かったということです。

3日間のインフルエンザ陽性者はなんとゼロでした。コロナ陽性は10人、溶連菌陽性は18人でした。

溶連菌感染は、おもに幼小児が罹る細菌感染症で、たいてい発熱と咽頭痛を訴え、しばしば発疹が出ます。

しかしこの3日間の溶連菌感染者18人の中では、発熱17、咽頭痛8、発疹はわずか3人でした。

のどが硬口蓋まで燃えるようにブツブツ赤くなる発赤所見は半数程度に過ぎず、しかも軽い方が目立ちました。

このように、感染症の症状は必ずしも典型的な症状が揃うとは限りませんが、今回はとくに非典型的です。

ただ、溶連菌感染で39度以上の高熱の方も6人いて、インフルエンザを疑って来院されるケースがあります。

溶連菌感染では、咽頭所見が典型的なら(さらに発疹もあれば)、検査せずに臨床診断することもあります。

とくに今日は、検査キットが不足しそうだったこともあり、未検査で臨床診断した方が4人いました。

コロナの定点あたり報告数は、まだ全国的には減少しつつありますが、減り方が鈍っています。

東京や沖縄や熊本など一部の地域では、4/15〜21の週から上昇に転じており、当院の数字も同様です。

その勢いのまま大型連休に突入したわけですから、来週以降どうなるか、少々恐ろしくもあります。

1週間後の大型連休終了日ごろに、また総括することにしましょう。お大事に。

家庭菜園に手を出す年頃?

「ハッピーリタイア」を勧めるメールや郵便物が、最近よく届きます。

お菓子の特売広告じゃないですよ。それは「ハッピーターン」。

私の職業と年齢を知っていて、「そろそろ、承継についてご相談に乗りますよ」と親切に提案してくるのです。

いろんな業者から口々に指摘を受けるほどに、私はもうそんな「適齢期」なのでしょうか。今年64歳。

私は某医療系サイトや製薬会社のWeb会員だし、別のサイトでも職業や年齢を記載したことが何度もあります。

そのせいで、登録した医療系サイトからだけでなく聞いたことも無い業者からも、メールなどがよく届きます。

個人情報は、色んな所に漏れて拡散してるんですね。そうして、必要とする業者の商売の種になるわけです。

いずれも詐欺メール等ではなく真面目な提案のようですが、今のところ私にその気がないので無視しています。

そのうち、詐欺メールが紛れ込み始めるかもしれません。いやもしかすると既に届いているかも。

同年代の友人・知人や、かかりつけの患者さんたちの中には、この春に定年を迎えた人が何人もいます。

再就職等した人もいれば、当面は無職となって趣味に精を出したり、奥さんと旅行をしたりと、様々です。

定年の1,2年前から土地を借りて農園を作っている人もいて、その苦労話を語る笑顔がなかなか良いですね。

私には野菜を育てる根気などありませんが、土を耕して庭に苗木を植え育てることは嫌いじゃありません。

とりあえずこの春は、久しぶりに庭にひまわりの種を蒔いて、巨大に育ててみようかと思いついたところです。

連休は大盛り上がりですが…

大型連休が始まったらしいですね。

この連休期間中も、当院の休診日は火曜と金曜だけです。祝日で休むのは、5月3日(金)だけですが何か。

まあ、いいですよ。5月中旬の平日に少し休診させていただきますので。

羽田空港の国際線旅客数は、出入国合計で前年同期比32%増、2019年同期比でも21%増と見込まれています。

コロナ前よりも2割も多いのは、リベンジ旅行の意識が円安のデメリットに勝っているということでしょう。

出国のピークは今日と明日、入国は5月6日がピークと予測されています。

鉄道による旅行なら、ハードルは「改札」だけで、あとは予約した列車の予約した座席に座るだけです。

一方で飛行機による国内旅行では、「チェックイン」「手荷物預入」「保安検査」「搭乗」の関門があります。

さらに国際線だと、保安検査のあとで「出国審査」があり、一定の緊張感に続いて開放感が得られます。

このように、海外旅行には幾重にも関門があるからこそ、いやがおうにも高揚感が盛り上がるわけです。

私はそんな関門が好きで、出入国審査時に多少のトラブルがあっても、むしろ面白い経験をしたと喜べます。

もちろん本来の楽しみは旅先にあるわけですが、私の場合、途中の面白さで満腹になってしまうんですね。

いやそれどころか、飛行機に搭乗する前のラウンジで、文字通り満腹になるまで食べ過ぎてしまいます。

正確に言えば、高揚してると満腹中枢が麻痺してしまうのです。そしてあとになって一気に満腹感が来ます。

そういえば今日は、コロナ陽性者が久しぶりに3人いました。土曜にしてはちょっと多い印象。

連休を楽しむ方に水を差すわけじゃないですけど、何かイヤな予感がします。連休明け、大丈夫でしょうかね。

ANA機のオイル漏れは軽微な事故なのか

札幌新千歳空港に着陸した羽田発のANA機で、オイル漏れのトラブルがありました。一昨日のことです。

正月の羽田での事故を思い出してしまいますが、今回は火災もなければけが人も出ませんでした。

オイル漏れと言えば5年前に、伊丹発羽田行きのANA機がエンジンオイル漏れを起こした事故がありました。

これは上空で起きたエンジンオイル漏れであり、一方のエンジンを停止して緊急着陸する事態になりました。

それと比べれば今回は、油圧系統のオイル漏れということで、重大インシデントの扱いにはなりませんでした。

しかしこの機材、登録番号JA804AのBoeing787-8には、実は世界的に知られた有名な事故歴があります。

11年前、山口宇部から羽田に向かっていた時にバッテリートラブルを起こし、高松空港に緊急着陸しました。

緊急脱出となったため、それなりのケガ人(軽症)等が出ました。

同時期にJALの787機も、ボストンでバッテリーから出火するトラブルもありました。

これらの事故を受けて787機はバッテリー改修が必要となり、世界中の同型機の運航が数カ月間止まりました。

航空機の機体のトラブルは、それが空を飛んでいることから、車や列車とは別格の危険につながりかねません。

事故が起きる「確率」は車に比べれば断然低いとされていますが、ひとたび事故が起きると被害は甚大です。

たとえ軽微なトラブルでも、設計や整備など、あらゆる観点からその問題点を潰しておかなければなりません。

すべての機器を最新OSにはしない

所有する複数のMacのOSを揃えていないこと、つまり全てが最新OSではないことは、前にも書きました。

最新版と、1つ前と、2つ前と、3つ前と、もっとずっと前の古いOSのMacが、それぞれ稼働中です。

これは、新しいOSだと動かない古いソフトウェアとか、最新ソフトの古いバージョンに対応するためです。

それらのMacは毎日電源を入れて、実際に電子カルテやその他の用途で使っています。

Macというものは(PCはすべて?)、電源を入れずに何年も放置しておくと、うまく立ち上がらなくなります。

以前は、内蔵電池の消耗だったりしましたが、いまはおもにシステムの起動やソフトウェアでトラブります。

Wi-Fiや、AppleIDや、その他の多くのサービスやソフトのパスワードを、けっこう変更しているからです。

毎日稼働していれば、その都度、諸設定を更新できるので、ずっと使い続けられます。

iPhoneは現在3つ使っています。15Proと13Proと11Proです。それ以前のiPhoneは書斎の棚で休眠中です。

通話にも使う15Proは、最新のiOS17.4.1で、それ以外はわずかに古いバージョンです。

このようにiOSを揃えてないのは、最新版では得てして不具合があり、改善するまで時間がかかるからです。

iOSは毎年大きくアップデートしますが、それが完全に安定するのはたいていマイナーアップデート後です。

なので念のため、少しだけ前のバージョンのiPhoneを持っておくのは、一種の危機管理になります。

最新のiOS17.4.1では、通話トラブルの話が出ています。もしそうなら、スマホにおいては最悪の不具合です。

万一の際には、15から13にSIMカードを入れ替えるつもりです。2台持ち歩く最大のメリットはそれです。

「ベースアップ評価料」

今年度の診療報酬の改定では、「ベースアップ評価料」なるものが新設されました。

簡単に言えば「看護職員等の賃上げをするなら、医療費を割増にして患者から請求できる」という制度です。

この評価料による増収分は、医院の儲けにはできず、全額を従業員の賃上げとして配分しなければなりません。

でも、賃上げの原資は本来は経営者が工面するものであって、患者から直接取る仕組みは筋近いでしょう。

おそらく国は、医療機関全体の収入を増やしたのでは、職員の賃上げに直結しないと考えているわけです。

世論を考慮すると医療従事者の給料は増やしたい、でも医者は締めつけたい、そう考えた官僚の苦肉の策です。

残念ながらこの制度は、あまりにも複雑な仕組みなので私はいまだによく理解できていません。

おそらく当院ではベースアップ評価料を算定せず、単純に職員全員の昇給をするという方向になると思います。

今回の評価料は、事務職員には適用されません。看護職員等にだけ適用されるのがミソです。

経営側としては、看護職と事務職とで昇給幅に差を付けられず、結局は両者同程度の昇給となるでしょう。

看護職だけを「補助」することで、医療従事者全体の昇給を引き出すという、国のずる賢い政策なのです。

「ご理解いただき、ありがとうございます」

「【重要】【ヤマト運輸】からお届けする商品が、お客様のご住所不備のためお届けできませんでした。」

このような件名のメールが届きました。ヤマト運輸のクロネコのロゴ入りのメールです。

以前と比べれば、日本語としてはずいぶん、こなれてきてますね。ですが残念。

ヤマトからなら「商品」じゃなくて「お荷物」でしょう。「ご住所不備」も件名の句点(。)もおかしい。

「下記の配送情報をご記入いただきますよう、1-2営業日以内に再配達の手配をさせていただきます。」

日本人には普通、このような妙な文は書けませんね。明らかに途中のフレーズが「抜けて」ます。不合格。

「ご理解いただき、ありがとうございます。」

文末のこの一文は、間違いじゃないけど違和感がありますね。

飛行機内等で、“Thank you for your understanding and cooperation.” というアナウンスをよく聞きます。

これを日本語で言うときは、「ご理解とご協力をお願い致します」になるはずです。

お願いをする時点ではまだ、日本人は「ありがとう」とか「感謝します」とはあまり言いません。

「わかりました。協力します」と応えられてはじめて、「ありがとうございます。感謝します」となるのです。

「てにをは」などは以前よりも改善しましたが、詐欺グループの日本語にはまだまだ穴がありますね。

「香炉峰の雪は?」

昨日放送の大河ドラマ『光る君へ』で、清少納言が当意即妙に対応した場面が、ちょっと話題ですね。

中宮定子に「香炉峰の雪はいかがであろうか」と尋ねられ、「簾をかかげて看る」体(てい)で応えました。

これは唐の詩人白居易(白楽天)の漢詩の場面を「再現」したものです。

がしかし、中宮定子に問われた清少納言が約3秒間、考え込んで沈黙したことを、私は見逃しませんでした。

この3秒の間に私は既に、「簾をかかげて看りゃいいんじゃないの?」と口に出してましたからね。

清少納言の反応の鈍さに、私はむしろ驚いたぐらいです。

自慢じゃありません。こんなことは「(元)受験生」であれば誰でも、即座に反応できることです。

「香炉峰の雪は?」というフレーズを聞いたら、脊髄反射的に「簾をかかげてみる」ときてしまうのです。

「マハーバーラタ 」とくれば「 ラーマーヤナ」、「リアカー無き」とくれば「K村」なのです。

その意味では、埋もれた受験知識が「日の目を見る」機会に恵まれる、稀有なドラマですね「ヒカキミ」は。

さて来週以降、やがて道長が権力を掌握することになるのでしょう。わかってはいますが、楽しみです。

これから8カ月。戦国時代とはまた違う、ドロドロした陰湿な戦いが続くんだろうなと、期待しています。

Facebookの詐欺広告問題

いまに始まったことでもないのですが、Facebookの詐欺広告が問題になってますね。

有名人の名をかたって、たとえば投資関係の詐欺サイトに引きずり込もうとするものです。

そんな広告の真偽を確かめもせず大きく表示するって、そりゃプラットフォーマーの責任は大きいでしょう。

以前、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-306.html" target="_blank" title="Facebookの黎明期の頃">Facebookの黎明期の頃</a>には、広告は画面の端の方にちょこっと出ているだけでした。

こんなことで、Facebookの経営は成り立つのかと、心配になるほどでした。

ところがだんだんと、広告が「本文部分」に割り込み始め、今はもう広告の合間に本文があるような状況です。

私はネット広告のバナーは基本的にクリックしませんが、でもたまに、興味をそそる広告が目にとまります。

そんな場合は、広告の内容を元にググって、オリジナルのサイトを直接見に行くようにしています。

ただ、たどり着いたそのサイトが安全かどうかは別問題ですけどね。

広告の審査はしているが、世界中の膨大な広告を審査することには課題も伴うとFacebookは言い訳します。

自分が対応できないほど広告を出して稼いでおきながら、広告が多すぎて対応できないとは、どういう了見か。

挙げ句の果てには、これは社会全体でのアプローチが重要だという他人事な態度。話になりませんね。

そんなムカツクFacebookですが、いくつかのグループのページは捨てがたく、今後も使ってしまうのです。