成人用肺炎球菌ワクチンの対象年齢

高齢者に対する「肺炎球菌ワクチン」の定期接種の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4506.html" target="_blank" title="経過措置が今年度で終了する">経過措置が今年度で終了する</a>ことは、先日書いた通りです。

来年度からは、65歳の方だけが定期接種の対象となりますが、対象年齢については注意点があります。

これまで10年間の経過措置の間は、「年度」単位で接種対象が決められていました。

たとえば今年度(令和5年度)は、今年度中に対象年齢(65歳以上の5の倍数の年齢)になる方が対象でした。

なので先月65歳になった方も、来週65歳になる方も、いずれも今年度の接種対象者です。

ところが来年度からは、「実年齢」が65歳の方のみが接種対象となります。

たとえば来年度中に65歳になる方でも、実際に誕生日が来て65歳にならなければ接種対象ではありません。

そのかわり、令和7年度の66歳の誕生日の前日までは、まだ65歳なので接種対象です。

今年度の対象者に限っては、今年度の1年間に加えて、来年度も誕生日前日まで接種できるのでオトクです。

なお、「年齢は誕生日の前日に繰り上がる」という民法の規定も、おそらく有効です。

ですがその規定に縛られると、66歳の誕生日の前日はもう66歳なので接種対象外となってしまいます。

なので現実的折衷案としては「65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日まで」が対象となるはずです。

なんにせよ、65歳になったら忘れないうちにすぐ接種する、というのが正解ですね。ちなみに私は来年なり。

基本的に「サージカルマスク」

発熱外来で私は、「サージカルマスク」を使っています。高規格の「N95マスク」はほとんど使っていません。

そのかわり、診療中にマスクをたびたび取り替えています。1日に1箱(50枚)使うこともザラです。

場合によっては、1人診察・検査が終わるたびに、新しいマスクに替えたりします。

とくに、検査中に患者さんが咳込んだり、クシャミをしたりした場合は、必ずマスクを取り替えます。

もちろん、マスクを装着していない(そして泣き叫ぶ)お子さんの診察後にも、マスクの取り替えは必須です。

検査中に私は呼吸をするので、マスクの表面および内部にはウイルスが付着・残留するはずです。

良いマスクを適切に装着すれば必ず、そのマスク自体はウイルスで汚染されるということです。

そんなウイルスだらけのマスクを着けたままで、電子カルテの端末に向かって作業を続けたくはありません。

付着したウイルスが私の呼気によって剥がされ、診察机や電カルのキーボードに降り注ぐのは避けたいのです。

N95マスクは濾過機能が高いため、マスクに付着・残留するるウイルスの量も当然、多いはずです。

そんな高性能で高価格のマスクを1日に数十枚も替えたくはないので、私は日頃N95はあまり使わないのです。

一般にN95マスクを使っている先生方はたぶん、患者毎にマスクを取り替えたりはしていないでしょう。

着けっぱなしのマスクは、ウイルスだらけになっているかもしれませんよ。私はそれが耐えられないのです。

次の「新興感染症」に備えて

コロナ禍は終息したわけではありませんが、もう、次の「新興感染症」のための動きが、始まっています。

令和4年末に成立した「改正感染症法」は、部分的な施行を経て、ついに来月1日、全面的な施行となります。

平時から、自治体と医療機関の機能・役割分担を確認しておくために、「医療措置協定」が締結されます。

今後、重大な感染症が発生・蔓延した際に、国や自治体や医療機関等が迅速かつ的確に動けるための準備です。

新興感染症の際、病床確保や発熱外来などの医療を提供することを、医療機関があらかじめ約束するものです。

今週がその協定締結の意向調査の締切ということで、当院も先週、電子申請サービスを介して回答しました。

もちろん次回も当院は、発熱外来を担うつもりです。それが何年後か何十年後のことか、わかりませんけど。

この協定には「流行初期医療確保措置」が含まれます。流行初期の医療機関の減収を、国が補填する措置です。

診療報酬収入が感染症流行前の同月の診療報酬収入を下回った場合、その差額が支援されるそうです。

これは太っ腹ですね。コロナ禍初期の頃には、いちばん望まれていた方策かもしれません。

しかし減収分しか補填しないというのは、コロナ禍で問題となった「焼け太り」への対策のような気もします。

いずれにしても、新興感染症の際に医療機関がすごく頑張ることへのモチベーションには、なりにくいですね。

電カル不具合の原因は、機械ときどき自分

電子カルテのソフトが突然、フリーズしたり不具合を起こすことがあります。診療中なので激しく焦ります。

すべてのクライアント機がフリーズしたら、それはサーバーかルーターの問題でしょう。

不具合の原因はよくわからなくても、サーバーかルーターの電源を入れ直すと、たいていスッキリ復旧します。

たまに、サーバー機(MacBook Pro)がバッテリー切れになっていることがあります。

毎朝、電カル起動時にACアダプタを電源に繋ぐのですが、それを忘れると、夕方にはバッテリーが切れます。

バッテリー保護のために、未使用時にMacを充電しないようにしていることが、裏目に出るわけです。

今日は、診察室の私の端末(Mac mini M2)だけが、不具合を起こしました。

電カルは普通に起動していて、ボタンをクリックすると反応はするのですが、その先に進みません。

まるで誰かが遠隔操作で、私のクリック操作をいちいち取り消しているような、そんな感じなのです。

ふと見たら、聴診器が「esc」キーの上に乗ってるじゃないですか。ずっとキーを押し続けていたようです。

こんなトラブルは想定外ですが、日頃ありがちなのは、記憶違いやもの忘れに起因する間違いですね。

万事において、機械のせいにしたり他人を疑う前に、自分が原因ではないかと考える必要があります。

年を取るにつれてミスが増えて来ました。誰でもそうなるのです。どうか温かい目で見守ってくださいね。

「VISAタッチ」マイブーム

不法行為とは承知で、おととい近所の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1247.html" target="_blank" title="「美容室」で「理髪」">「美容室」で「理髪」</a>をしてもらいました。どうかご容赦願います。

その店での支払いはいつも、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4419.html" target="_blank" title="「VISAタッチ」">「VISAタッチ」</a>決済です。タッチとはいいますが、ほぼ「タッチレス」です。

キャッシュカードを店員に手渡さなくてもいいし、コンビニのように機械に差し込む必要すらありません。

スマホのロックを解除してアプリを立ち上げてボタンをタップしてQRコードを読み取る、という作業も不要。

iPhone(ロック状態可)を右手に持ち、親指でサイドボタンを2度押しし、顔認証が終わったらタッチする。

という決済を、最近は出先(空港など)でいつもやっているのですが、今回はうまくいきませんでした。

認証までは進むのに、最後の画面で「失敗」の表示。通信エラーか機械の不具合か。店員さん大慌てです。

結局、キャッシュカードを店員に手渡し、コードを入力するという、まったく不本意な決済となりました。

帰宅中に確認してみたら、ありゃま、残高不足でしたね。店員さんには、お騒がせしてすみませんでした。

なんとなく面倒で、まだ「オートチャージ」に設定していなかったのです、私としたことが。

ちなみに私が「VISAタッチ」推しなのは、FeliCaじゃないので<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4368.html" target="_blank" title="海外でもそのまま使える">海外でもそのまま使える</a>という点です。

日本のキャッシュレス決済比率は、2022年時点で36%だとか。韓国の95%や中国の84%と比べると大違い。

コロナ禍の給付金等でも露呈したように、日本は社会の仕組みではIT後進国です。悲しいほど出遅れています。

その原因はさまざまですが、新機軸に対して漠然と不安を抱くという国民性が、根底にあるのかもしれません。

キャッシュレス決済の「利便性」よりも、何か弊害がありそうだという「懸念」の方が先に立つのです。

ちょうど、「有効性(効果)」よりも「安全性(副作用)」の方を重視する、ワクチンの場合と同じです。

「5種混合ワクチン」の交互接種

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4527.html" target="_blank" title="「5種混合ワクチン」">「5種混合ワクチン」</a>が発売されました。「5種」とは、「4種」に「ヒブ」を混合した新ワクチンですね。

来月から定期接種での使用が始まりますが、当面の間は移行期間として、「4種」や「ヒブ」も使用できます。

ただしその際に、少々面倒な規則があります(ありました)。

(1)「4種+ヒブワクチン」と「5種」とは、交互接種ができない

たとえば、一度でも「4種」と「ヒブ」を別々に接種したら、次回からも別々に接種しなければなりません。

なので「5種」が接種できるのは、最初から「5種」の接種でワクチンデビューしたお子さんだけです。

がしかし、昨日行われた厚労省の説明会で、この交互接種も事情があれば許容する旨の説明が出たようです。

こういう場合の「事情」は医師の裁量で判断可能でしょうから、事実上、交互接種はOKということです。

(2)「5種」の2製品の交互接種はできない

いま使われている「4種」には、KMBの「クアトロバック」と微研の「テトラビック」の2製品があります。

4月から使われる「5種」には、KMBの「クイントバック」と微研の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4199.html" target="_blank" title="「ゴービック」">「ゴービック」</a>があります。

「クアトロ」と「テトラ」は交互接種できますが、「クイント」と「ゴー」の交互接種はできないルールです。

がしかし、この交互接種もそのうち解禁されるでしょう。最近の厚労省はわりと、朝令暮改なとこがあります。

容認するための知見がないという理由による規制には、積極的に禁止するというほどの根拠もないのです。

あわや補助金の返納か?

令和2年度の補助金の実績報告書に不備があるから連絡せよと、厚労省から通知が届きました。

なんと、令和2年度の書類を今ごろチェックしてるんですか。恐れ入ります。ていうか大変ですね、厚労省。

送付書類の控えを確認してみたら、一部の備品では領収書ではなく請求書を添付していたことが判明しました。

最悪の場合、その備品代金27万円は、返納を求められるかもしれません。これは痛い。痛すぎます。

ともかく大慌てで探して、領収書をやっと見つけました。あとでコピーして郵送することにしました。

で、厚労省の担当者に電話したところ、「確かに支払は済ませたのか」と問うので「済ませました」と返答。

すると「それでは確認が取れましたので、本件はこれで終了します」だと。気が抜けますね。

「領収書は送らなくてもいいのですか」とは言いませんでした。言えば「送ってください」となるでしょう。

万一、領収書が見つからなかったとしても、それを自ら白状するのは愚。そんな情報を与えてはなりません。

向こうも作業を増やしたくないし、こっちも同じなら、互いに余計なことは尋ねないし言わないことですね。

お役所というところは融通の利かない組織ですが、その構成員たる公務員は人の子。家族もいれば犬もいる。

自分(公務員)も相手(市民)も最小限の負担になるような、そんな事務処理を望んでいるはずです。

市民の心構えとしては、聞かれたことには誠実に答え、聞かれないことは何も言わない。それに尽きますね。

ていうか、こんなことブログに書いても良かったんでしょうかね。厚労省の方に読まれないことを願ってます。

麻疹(はしか)の大流行は防げるのか

海外から持ち込まれた「麻疹(はしか)」の感染が、各地で拡大しています。

麻疹は感染力が極めて強いため、ワクチンの接種が不十分な人は、容易に「空気感染」してしまいます。

感染者からの飛沫がなくても、感染者と同じ部屋・同じ列車等にいただけで、感染してしまうということです。

報道番組では、「はしかが増えているのは人の移動が増えたからです」という説明で済ませています。

これではスッキリしません。いくら人が移動しても、はしかが湧いて出てくるわけではありませんから。

世界には、アフリカや南米や東南アジアやインドなど、はしかが流行(蔓延)している国があります。

そういう国への行き来が増えて来たので、蔓延国からの持ち込み・持ち帰りが増えたということです。

ワクチンの接種率は、アフリカ諸国でもそれなりに増えて来ていましたが、コロナ禍によって頓挫しました。

そうして接種率が低下して麻疹がまた増えて来たところへ、人の移動だけは活発化した、という経緯なのです。

ワクチンの接種率の低下はしかし、発展途上国だけの問題ではありません。先進国でも深刻な問題です。

それは、「反ワクチン」あるいは「ワクチン忌避」の考えを持った人たちの存在です。

ワクチンが子どもたちの健康を害するリスクを過度に心配する方や、陰謀論を唱える人もいるでしょう。

中には、周囲の子どもの接種による集団免疫に期待して、わが子には接種をしない方もいるかもしれません。

麻疹の流行を防ぐ集団免疫の確立のためには、95%以上のワクチン接種率が必要とされています。

日本ではコロナ禍前までは、定期接種の1期・2期ともに、全国的にほぼ95%以上の接種率を保ってきました。

ところが2021年から接種率が下がり、とくに2期は全国的に92%程度という危機的状況です。

その危険なタイミングで、海外から麻疹が持ち込まれたからこそ、今回はとくに問題が大きいのです。

流行を防ぐにはワクチンしかありません。とりあえず第2期未接種の年長児の方へ。接種期限は今月末ですよ。

「低残渣食」の効果絶大

食事中の方、食直後か食直前の方、病後回復期や虚弱体質の方は、今日は読まない方が良いかもしれません。

人間ドック2日目の今日は、全身各部の超音波検査と胸部CT検査と、胃カメラと全大腸CT検査を受けました。

大腸CT検査は、大腸内視鏡検査と同様に、あらかじめ「腸管洗浄」という準備が必要です。そのためには、

(1)2,3日前から「残渣」(消化しきれない食べカス)のできにくい食事を心がける

(2)前日は「低残渣」の検査食(「低残渣食」)を摂り、バリウムと下剤を飲む

(3)当日は、検査前に特殊な下剤を飲み、何度も排便する

去年まで私は、腸管を早く空っぽにするために、検査前日は完全絶食していました。絶食には慣れているので。

ですが、前日飲むバリウムが大腸の粘膜に均等に広がるためには、食事を摂った方が良さそうな気もします。

なので今年は思い切って、検査前日は昼と夜の両方とも、検査用の「低残渣食」を規定通りに食べたのです。

その分、検査当日の腸管洗浄(下剤&排便)には時間がかかってもしょうがないと、少しは諦めていました。

ところが、便の量は思いのほか少なく、つまり「便の材料」をほとんど食べていなかったことが判明しました。

「低残渣食」を食べたのだから当たり前だろう、と言われればそれまでですが、想定以上の「低残渣」でした。

昨日の食事は、昼はカレーライスで夜は親子丼でした。野菜はゼロ。ご飯の他は、牛肉赤身と鶏肉と卵だけ。

それだけ食べている限り、ほとんど便は出ないということです。じゃあ、日頃の便の原料って何、って話です。

一般に、便の約80%が水分で、固形成分は食物残渣と腸粘膜と細菌が3分の1ずつだといわれます。

なので今朝出た薄い便の成分は、ほとんど腸粘膜と細菌だったということになります。マジですか。

逆に言うなら、野菜とか肉の脂身とか豆類などの食材が、便の「便らしさ」をもたらしているんですね。

低残渣食にブロッコリーだけ加えて食べたらどんな便がでるか、いつかそんな人体実験をやってみようかな。

「欠航または欠航」問題

発達した「南岸低気圧」の影響で、各地で大気の状態が非常に不安定になり、「春の嵐」が吹き荒れています。

こんな時しばしば、羽田発着の航空便が欠航します。

「すでに欠航または欠航が決まっているということです」と、今日もTVニュースで報じていました。

「欠航または欠航が決まっている」という表現にはしかし、私は以前から違和感を覚えます。

「遅延または欠航が決まっている」ならいいですよ。ところが「欠航または欠航が決まっている」ですよ。

「優勝または準優勝が決まっている」ならいいですが、「優勝または優勝が決まっている」だと変でしょ。

ちゃんと最後まで聞いたら意味は分かるっショ、という態度なら、それは間違っています。

文章とは異なり音声は、聞いた順に逐次理解するものなので、途中で引っかかるような表現は避けるべきです。


なぜか、文字ベースのNHK「NEWS WEB」の方が、表現は親切で、

「すでに欠航した、または欠航が決まっているということです」と記載しています。これなら多少マシですね。

「すでに欠航したか、または欠航が決まっている」なら完璧ですけどね。どうしてTVでそう言わないのか。

この<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2490.html" target="_blank" title="「欠航ネタ」">「欠航ネタ」</a>を書くのは、じつは3回目です。「欠航または欠航」と聞くとどうしても書きたくなるので。

でも今日は、違うことをしてみました。NHKに「ご意見メール」を送って、私の違和感を伝えたのです。

返信が来るかどうかはわかりません。NHKの反論があったらぜひ聞きたいですね。