小林製薬が製造した「紅麹」関連商品の「薬害」は、日ごとに被害者が増え、回収騒ぎが拡大しています。
私がとくに問題だと思うのは、
(1)死亡報告1例目の方は、紅麹食品を3年間摂り続けていた
急性中毒ではなく長期連用による作用なので、いま服用をやめても多くの方に影響が残る可能性があります。
(2)混入していた想定外の(意図しない)成分が原因と考えられ、まだ特定できていない
原因不明では製造再開が不可能だし、小林製薬の他の商品への意図しない混入を否定できる根拠もありません。
紅麹が「コレステロールを下げる」と謳っている根拠は、その「ロバスタチン」という成分にあるようです。
今回の報道を聞いたとき、最初は「ロスバスタチン」という名前のよく似た別の薬のことなのかと思いました。
ロスバスタチンは、悪玉(LDL)コレステロールを下げる医薬品として、日本でもよく使われています。
ロバスタチンもまた、コレステロールを下げる薬で、米国では承認されていますが日本では未承認です。
語尾が示すようにいずれも「スタチン」という種類の薬で、横紋筋融解症や肝障害などの副作用があります。
スタチンを処方している患者さんには当院の場合、年に2回または3回の血液検査と尿検査を行っています。
もちろん今回の薬害は、ロバスタチン以外の混入物が原因ということですから、スタチンとは無関係でしょう。
しかしスタチンを、定期的な副作用チェックもせずに長年飲み続けるなんてのは、健康食品の怖さですね。