いよいよ問題の2024年度

来年度から時間外労働の制限が強まるため、各業界で労働力が不足する「2024年問題」が危惧されています。

とくに問題視されて報じられているのが、物流業界(トラックドライバーなど)と医療業界(勤務医)です。

当院は、九州自動車道熊本インターにほど近く、近隣にはトラックセンターや運送各社の物流拠点があります。

そんなことから患者さんには、トラックドライバーの方が何人もいます。

2024年問題のことを尋ねたら、「困る」のひと言。残業ができなくて収入が減るから困る、という意味です。

労働力不足が必至の2024年問題を、業界は合理化やIT化などの創意工夫で乗り切ろうとしています。

従業員の残業時間はなんとか抑えながら、しかし物流量は減らさず、顧客の利益は損ねない、ということです。

つまり、どう転んでも、ドライバーの残業手当は減る方向なのです。

どうやら働き方改革というのは、残業しても良いから稼ぎたい、という方には「改悪」の面があるようです。

残業したくない者の意志も、残業したい者の希望も、どちらも尊重される改革の仕方ってないんですかね。

医療業界の2024年問題はまた、様相が異なります。時間外労働の上限に「特例」が残ります。

部署等によっては1,860時間まで残業OK。医師の働き方改革よりも、地域医療の提供を優先する考え方です。

もちろん、そんな特例なんて関係なく、もとより職業意識から大幅な残業を厭わない勤務医もおおぜいいます。

ならばせめて、そのような医師には十分な手当が与えられるような、そんな職場環境であってほしいものです。

「プベルル酸」

小林製薬の「紅麹」に混入していた「意図しない成分」は、「プベルル酸」だった疑いが出てきましたね。

プベルル酸。初めて聞きました。青カビが作る天然物質ですか。色んな物質を生み出しますね、青カビって。

「プベルル」という響きからはどうしても凶悪さを感じず、私はちょっと肩透かしを食らった気がしています。

「ルル」で終わってるからでしょうか。ほかにどんな言葉があるのか、辞書で「後方一致」検索してみました。

【アルル】「アルルの女」のアルルですか。フランス南部の観光都市。

【ウルル】オーストラリアの「エアーズロック」の、アボリジニーによる名称。ダイキンは無関係。

【シャルル】ボイル–シャルルの法則で有名な、フランスの物理学者。

【テルル】原子番号52の元素。「地球」にちなむ命名。元素記号「Te」。馴染みないですね、この元素。

【ホノルル】あ〜これこれ。馴染みある〜。漢字だと「花瑠瑠」ですか(じゃあプベルルには何を当てる?)。

で、プベルル酸ですが、その関連物質は「抗マラリア薬」の候補として研究されている抗生物質だとか。

ペニシリンとかと違って、マラリア限定ですか。プベルル酸が特殊なのか、マラリア原虫が特別なのか。

これがどのような経路で紅麹に混入したのか。青カビ由来だけに、製造現場の衛生管理などが気になります。

商品のネーミングではとても斬新な小林製薬ですが、カビの生えるような管理体質だったってことですか。

「5種混合ワクチン」は原則ワクチンデビューから

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4527.html" target="_blank" title="「5種混合ワクチン」">「5種混合ワクチン」</a>が届きました。来月から、子どもの定期接種に使う予定です。

また、新たに15価になった「小児用肺炎球菌ワクチン」も、数日前に届いています。これも来月から使います。

これらの新ワクチンを導入するのに際しては、先日も書いたように<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4551.html" target="_blank" title="「交互接種」">「交互接種」</a>の問題があります。

従来のワクチンを接種してきたお子さんに対して、途中から新ワクチンに切り替えて良いかどうかの問題。

厚労省は認める方向ですが、保健所に問い合わせてみると、まだ交互接種はしてくれるな、という回答でした。

事情があれば認めるというその「事情」が、まだ厚労省から通知されていないからだと保健所は言います。

どっちみち、5種混合ワクチンは卸値がバカみたいに高いので、無理して早めに導入する意欲が湧きません。

それに、ワクチンの成分は「4種+ヒブ」とまったく同じなので、被接種者の医学的なメリットもありません。

もろちん、注射の本数(=針を刺す回数)は1つ減りますから、痛む回数が減るメリットはあります。

ですが、交互接種を時々行っていては間違い接種の危険もあるので、当院では当面はは導入しない方向です。

一方で肺炎球菌ワクチンは、従来の13価が15価に進化しているので、早期導入には医学的な意義があります。

保健所もその点はわかっていて、交互接種を過誤接種とはしないという、なんとも中途半端な立場です。

でもこれは絶対に、交互接種となってでも新ワクチンに移行すべきなので、当院も早めに移行する方針です。

というわけで当院は、5種混合はワクチンデビュー時から、15価肺炎球菌はすぐ切り替え、という方針です。

「Boeing 787-10」就航

ANAの国内線の次期「旗艦機」となる、「Boeing 787-10」(2クラス429席)が就航しました。

「初便」は昨日のANA59便(羽田–札幌)で、多くの「初便マニア」が集まったり搭乗したりしたようです。

今後、那覇、関西、福岡、伊丹の順に、羽田往復の幹線に投入していくそうで、どうやら熊本には来ませんね。

通称が「78K」と付いたこの大型機を、ANAはすでに11機発注済ですが、1機目を11日前に受領したばかり。

これに置き換えられて退役する「Boeing 777-200ER」よりも、座席数は多いのに燃費が25%も良いとか。

技術革新ってヤツですかね。デザインもシートも良いので文句はありません。

「787」シリーズには、「787-8」「787-9」「787-10」とあって、どんどん胴長になっています。

エンジン後部のギザギザはシリーズ共通の特徴なので、やたら長いギザギザエンジン機は78Kということです。

そういうわけで(どういうわけ?)、さっそく予約を入れました。来月某日の羽田–札幌便です。

ていうか詳しく言えば、78Kの登場に驚いて、既に予約していた旅程を慌てて78K運航便に変更したのです。

その便に乗るためには、まず羽田に行かなきゃならないし、札幌からどうするのって話ですよね。楽しみです。

紅麹問題

小林製薬が製造した「紅麹」関連商品の「薬害」は、日ごとに被害者が増え、回収騒ぎが拡大しています。

私がとくに問題だと思うのは、

(1)死亡報告1例目の方は、紅麹食品を3年間摂り続けていた

急性中毒ではなく長期連用による作用なので、いま服用をやめても多くの方に影響が残る可能性があります。

(2)混入していた想定外の(意図しない)成分が原因と考えられ、まだ特定できていない

原因不明では製造再開が不可能だし、小林製薬の他の商品への意図しない混入を否定できる根拠もありません。

紅麹が「コレステロールを下げる」と謳っている根拠は、その「ロバスタチン」という成分にあるようです。

今回の報道を聞いたとき、最初は「ロスバスタチン」という名前のよく似た別の薬のことなのかと思いました。

ロスバスタチンは、悪玉(LDL)コレステロールを下げる医薬品として、日本でもよく使われています。

ロバスタチンもまた、コレステロールを下げる薬で、米国では承認されていますが日本では未承認です。

語尾が示すようにいずれも「スタチン」という種類の薬で、横紋筋融解症や肝障害などの副作用があります。

スタチンを処方している患者さんには当院の場合、年に2回または3回の血液検査と尿検査を行っています。

もちろん今回の薬害は、ロバスタチン以外の混入物が原因ということですから、スタチンとは無関係でしょう。

しかしスタチンを、定期的な副作用チェックもせずに長年飲み続けるなんてのは、健康食品の怖さですね。

うなぎは青魚ではないけれど

高脂血症の方に、青魚をよく食べてますか、などと尋ねたりするのですが、

「青魚の反対はなんだろう?」ということになりました。赤魚?じゃないですよね。赤ザカナ言いにくいし。

「青ザカナ赤ザカナ煮ザカナ」的な。

青魚に含まれる高脂血症に効く成分は、EPAとDHAという「多価不飽和脂肪酸」です。DHCではありません。

サントリーなど、いろんなメーカーがその製剤を発売しています。飲んでいる患者さんにもよく出会います。

同効の医薬品は処方できます。たぶんその方が(保険が利くので)安いでしょう。

昔からある「エパデール」は、その名の通り「EPA」含有の薬で、1日に1800mg相当を飲みます。

比較的新しい「ロトリガ」は、EPAが930mg、DHAが750mg含まれた製剤で、通常は1日1回1包です。

言っておきますが、これらの薬は決して噛んではなりません。噛むと口の中がひどい魚臭になります。

それが好きな人は、ぜひしっかり噛んでください。

多価不飽和脂肪酸は、脂ののった部分に多く含まれるので、マグロでも赤身にはほとんど含まれていません。

なのに「毎日マグロの刺身(赤身)9人分」摂れますか」などと煽るサプリメーカーは、信用できません。

普通に、青魚の赤身ではない部分を食べれば良いのです。うなぎでも良いです。

私は魚好きですが、なにしろ1日1食なので、考えてみたら多価不飽和脂肪酸は摂取不足かもしれません。

というわけで今日は、うなぎをいただきました。やっぱり栄養素は、サプリより食品から摂りたいものです。

胸部レントゲン検査

従業員の「胸部レントゲン検査」実施状況を知らせるようにと、保健所から連絡が来ました。毎年のことです。

その連絡に応じる形で、年度末になってようやく職員の胸部レントゲン検査を行うのもまた、毎年のこと。

他の検診等で検査済の者や、妊娠中等の職員を除き、全員が当院内で検査しています。

定期的な血液検査も同様です。院内で一定の時期に、昼休みなどの時間を利用して検査を行っています。

こういうときって、職場が医療機関だと便利ですね。

思えば勤務医時代、仕事中に急病を発症して、そのまま<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-350.html" target="_blank" title="職場(院内)で治療">職場(院内)で治療</a>を受けたことが何度かあります。

手術(従事)中に尿管結石を発症した日は、ICUで術後管理をしながら自分も点滴治療を受けました。

点滴をぶら下げたキャスター付きスタンドを引っ張りながらの診療姿に、周囲からの失笑を買ったものです。

最終的には、仕事の合間に<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-143.html" target="_blank" title="「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」">「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」</a>を受けるという顛末なのでした。

大学病院勤務時代は、週に1回程度、個人病院で当直または日勤のバイトをしていました。

どの病院にも共通したことは、その病院で自分が受けた検査費用や薬代は、すべて無料だったということです。

なんて太っ腹な病院なんだろうと当時は感謝しましたが、院長も損はしていないことが後でわかりました。

だって、窓口負担分の3割を失うだけで、残り7割の儲けは確保してるんですからね。

麻疹のワクチン接種は慌てず粛粛と

80代の女性から、「はしかのワクチンを打ちたい」と電話がありました。いまそんな問合せが増えています。

はしか(麻疹)単独のワクチンは入手困難なため、実際に接種するのは<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-619.html" target="_blank" title="麻疹/風疹混合(MR)ワクチン">麻疹/風疹混合(MR)ワクチン</a>です。

そのMRワクチンは、接種希望者の殺到による品薄が懸念されるため、接種対象はある程度制限すべきです。

MRワクチンはまず、子どもへの定期接種が最優先です。

定期接種の第2期接種は就学前の「年長児」が対象のため、年度末の3月は駆け込み接種が増える月です。

さらに来月4月は、新たに接種対象となった子どもたちが、例年より早い動きで接種に来るかもしれません。

定期接種ワクチンは、当院ではつねに1カ月分の在庫を保っていますが、いまMRは少し多めに確保しています。

それをやりすぎてはいけませんが、たぶん全国の医療機関が、多めに確保しておこうと画策しているはずです。

その結果、関東などではすでに品薄状態だと聞きます。接種予約の受付を休止している医療機関もあります。

そんなわけなので当院では、いまは小児以外への接種は基本的に受け入れられません。

成人の方はまず、本当に免疫が不十分なのかどうか血液検査をしていただく方針です。

そもそも、いま日本で麻疹が流行しているのかと言えば、まったく違います。

かつて日本は他国から<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-23.html" target="_blank" title="「麻疹輸出国」">「麻疹輸出国」</a>と揶揄されていました。2008年の麻疹発生数は1万人を超えていました。

そこで<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-358.html" target="_blank" title="ワクチン接種">ワクチン接種</a>に力を入れ、2015年にようやく<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1278.html" target="_blank" title="「麻疹排除状態」">「麻疹排除状態」</a>であることがWHOから認定されました。

ただしその後も、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1786.html" target="_blank" title="旅行者を発端とした発生">旅行者を発端とした発生</a>が見られ、2019年の麻疹届出数は744例に及びました。

ところがその翌年、コロナ禍の「3密回避」等が奏功して、麻疹が激減するという予想外の展開となりました。

なので当然ですが、人の移動がまた増え始めた昨年からは、麻疹もまた増えています。

海外から麻疹がまた持ち込まれることは、すでに予想されていた展開なのです。

そして少なくとも、現在の20人ほどの発生では、麻疹が流行しているというほどの事態ではありません。

慌てず騒がず、定期接種対象者から順次、粛粛と、ワクチンを接種すれば良いのです。

バッテリーの飛躍的進歩はまだですか

愛車は今夜も、午前0時から6時まで作動する「タイマー充電」をセットしています。

家族の誰かが活動している時間帯に充電するとブレーカーが落ちる恐れがあるので、夜中の充電なのです。

しかしカタログ上はフル充電で500km以上走れると言いながら、エアコン使いまくれば250kmも走れません。

こんなスペックでは、少なくとも米国では受け入れ難く、なのでEVはあまり伸びないとみる向きがあります。

EV嫌いのトランプ大統領となればなおさらで、なのでいま高笑いしているのはトヨタということになります。

もちろん今後の技術革新によって、5分充電で1,000キロ走れるとかになれば、もう完全にEVの時代です。

つまりその意味では、今はまだ過渡期なんですね。だから慌てる必要ナシ、というのがトヨタなのでしょう。

EVに限らずスマホもパソコンも、バッテリー性能が飛躍的に進歩したらどれほど便利になるかと思います。

いま使っているiPhone15では、バッテリー保護のために、充電の上限を80%に抑える機能を使っています。

そのかわり、バッテリーの寿命は延ばせても、たびたび充電が必要になるという皮肉な現状に甘んじています。

ひとたび充電したら、1カ月とは言いませんが1週間もてば、旅行時に充電器を持ち歩く必要がなくなります。

そのような時代はすぐに来るだろうと、もう10年来思って来たのですが、なかなか実現しませんね。

国際線仕様の国内線に乗る

ANAの「Boeing 787-8 Dreamliner」の国際線仕様、通称「78M」が、3年半前から国内線を飛んでいます。

座席のピッチが広くて快適な大型機です。最近は羽田–熊本線でも、妙に頻繁に使われていますね。

たとえば今日のANA熊本–羽田便は、ソラシド運航以外の5便のうち4便が78Mでした。78M率なんと80%!

ところが4月に入ると、78Mはたった1便か2便になります。

ただそのかわり「78E」という新しい機材が出現しています。「B 767-300ER」の国際線仕様ですね。

いつか(早めに)乗ってみたいですが、機内Wi-Fiが使えないらしく、私にはちょっと痛いです。

というわけで今日は、「所用」にかこつけて、78Mで羽田に行ったりしてみました。

朝8時20分発のANA 642便の機材は、昨夜ANA 649便で熊本に来て熊本空港に寝泊まりしていた78Mです。

考えてみると、今年になってこの642便の78Mに乗るのは、もう5回目なのでした。よく乗ってるなぁ。

今朝私が乗った78Mは、羽田に着いた後で広島と福岡を往復したのち、今夜秋田に到着しました。

つまり、熊本→羽田→広島→羽田→福岡→羽田→秋田と飛び回って、いま秋田で羽を休めているわけですね。

今月のANA 642便に使われた機材は、毎日だいたいそんなパターンで運用されています。

ところで、同じ機材を朝から晩まで乗り倒すという、実に楽しげな航空旅行をする酔狂な方が、一部にいます。

たとえば熊本から夜までに秋田に着けばいいような日は、朝から6便ほど乗り継いで行ったりするわけですね。

全部同じ機材なので、敢えて全部同じ座席にして、なんなら荷物もシートに置きっぱで(それはダメ)。