ドラマ『舟を編む』始まる

NHKの連続ドラマ『舟を編む』(原作・<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1586.html" target="_blank" title="三浦しをん">三浦しをん</a>)が、始まりました。

「辞書作り」にかける情熱を描いたものですが、言い換えるなら「日本語」を題材にしたドラマでしょうか。

幼少期から私は辞書好きだったので、このドラマには期待していますが、全10話ですか。長丁場ですね。

なにしろNHKですから、ちょっとお高くとまった、うんちく臭の強いドラマにならないことを願っています。

世の(あるいは私の)辞書ブームの火付け役と言えば、赤瀬川原平の『新解さんの謎』ですね。

「新解さん」というのはもちろん、三省堂の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1444.html" target="_blank" title="新明解国語辞典">新明解国語辞典</a>」のことです。

私の手元の辞書がまさに新解さん(第三版)でしたが、そのユニークさにはまったく気付いていませんでした。

しかし「謎」を読んで早速、「名版」とも言える<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3916.html" target="_blank" title="「第四版」">「第四版」</a>を購入。辞書を読み込む日々が始まりました。

とは言え、だんだんと興味は別の方に向いていたのですが、10年ぐらい前からまた、辞書がマイブームです。

勢いで新解さんの「第五版」「第六版」「第七版」を大人買いし、最新の「第八版」も出てすぐ買いました。

ドラマの第1話で、「右」という言葉をどのように説明するか、という質問が出ました。私の手元の辞書では、

【広辞苑(第二版)】「北を向いたとき、東にあたる方」

【デジタル大辞泉】「東に向いたとき南にあたる方。大部分の人が、食事のとき箸を持つ側」

【日本国語大辞典】「正面を南に向けたときの西側にあたる側。人体で通常、心臓のある方と反対の側」

【新解さん(三)】「多くの人が はしや金づちやペンなどを持つ方(の手)。からだの、心臓が有る方の反対側」

【新解さん(四)】「アナログ式時計の文字盤に向かったときに、一時から五時までの表示のある側。

         「明」という漢字の「月」が書かれている側と一致」

新解さんは第四版から現在の第八版に至るまで、語釈を変えていません。現状で満足しているのでしょうか。

で、いちおう私の語釈。「ピアノの鍵盤の高い音の側」「パソコンのキーボードのリターンキーのある側」。

あてにならないコロナ感染者数

日曜の診療の後半はいつも、発熱外来一色となります。今日はそれが38人。

コロナ陽性者は23人検査中6人(26%)、インフルエンザ陽性者は30人検査中の10人(すべてB型)でした。

ひと頃と比べて、コロナもインフルも、検査数や陽性率がそれぞれ減って来ています。

新型コロナは今年に入って定点あたり報告数が増え続けていましたが、2/5〜11の週では減少に転じています。

これは熊本市でも、熊本県でも、全国的にも、ほぼ同じ傾向です。

一方でインフルエンザは、年末に比べて1月は少し減ったもののまた増加に転じ、2月はさらに増えています。

感染者数の推移はそうかもしれませんが、定点あたり報告数の集計は、どこまで正しいのでしょう。

まず、コロナは検査費用が高いため、発熱者の検査希望は明らかに「インフル>コロナ」となっています。

このバイアスがあるので、インフルとコロナの感染者数を比較することは、ほとんどナンセンスです。

また小児は医療費の公費負担があるので、コロナの検査希望数は「小児>成人」となりがちです。

そのため、コロナ感染者の年齢分布を正確に分析することも、現状ではほとんど不可能です。

そのようなこともあって、当院発熱外来のデータ分析も、最近はあまり精密にはやらなくなりました。

4月から検査の診療報酬が「激減」します。これもまた、見かけ上の感染者数の減少につながりそうですね。

「H3」ロケット打ち上げ成功

JAXAの次世代基幹ロケット「H3」2号機が、ついに、打ち上げに成功しました。良かった良かった。

歓喜に沸く関係者。どれだけプレッシャーがかかっていたことか。私は少し泣きました。

前回の失敗時に、悔し泣きの会見をしたJAXAの開発責任者の岡田氏(61歳)は今日、笑いながら泣いたとか。

H3の全長はH2Aよりも10m長い63m。飛行機で言えば、国際線主流機のBoeing 787-9とほぼ同じ長さです。

ところがその重さは、B 787-9の247トンに対してH3は575トンと倍以上。さすがに中身詰まってますねぇ。

ちなみに「世界最大級のICBM」などと言われる某国の「火星17」は、長さ23m。全然ちっちぇえじゃん。

やはり先進国の本格的なロケットは巨大です。あんなに大きくて重い物を、よく真っ直ぐ打ち上げるものです。

日本はようやく、宇宙開発や宇宙ビジネスで、世界の第一線に肩を並べたというところでしょうか。

でも米国に比べれば、周回遅れかもしれません。政府の理解(=予算)が今度どうなるのか、そこが問題です。

観測衛星「だいち」は、今回は搭載していませんでした。JAXAもちょっと弱気だったんでしょうかね。

まあそうやって、だんだん自信を取り戻してくれればよいのです。今日は岡田氏の言葉にも打たれました。

「H3を宇宙の軌道と言うよりも、事業の軌道に乗せていくというのが重要だと思っています」(泣ける)

「成田–メキシコシティー線」に乗るなら今でしょう

「成田–メキシコシティー線」がANAの「最長路線」だと昨日書いた通り、東海岸よりも遠いのです。

成田–ニューヨーク(JFK)間は6,739マイルですが、メキシコシティー(MEX)までは7,003マイル。

メキシコがニューヨークよりも遠いことは、地球儀を見ればすぐ分かりますが、つまり地球は丸いんです。

この路線。後述するようなこともあって満席運航が難しくて、JALが2010年に撤退した経緯があります。

昨日の「メキシコタッチ」の方々の乗った復路便は、いま太平洋上を西に向かって飛行中です。

もちろんこの便(NH179便)は、昨日メキシコシティーに到着したNH180便の、同じ機材の折り返しです。

往路はメキシコシティーに午後2時に到着、復路は午前1時出発と、折り返しにしては現地滞在が長いのが特徴。

このように現地滞在時間が長い理由が、ちょっとしたトリビアなのでご紹介。

(1)メキシコシティ国際空港の標高が高い

空気が薄くて揚力が足りず離陸しにくいため、できるだけ揚力をかせぐために気温の低い夜中に離陸します。

機体が重すぎると飛べないので満席にしにくく、コスパが悪くなります。JALが撤退した理由の1つでしょう。

(2)成田空港は着陸できるのが午前6時以降

成田空港は午前0時から午前6時までの離着陸が制限されているため、メキシコを出発する時間も限られます。

6時前に着きそうなら、銚子沖を蛇行したり旋回して時間稼ぎをします。成田はなにかと不便な空港なのです。

ANAには頑張ってほしいですが、念のため早めに(撤退する前に)乗っておきたい路線ですね。

ANA「成田–メキシコシティー線」就航7周年

ANAの「最長路線」である「成田–メキシコシティー線」が、本日就航7周年を迎えました。

その「NH180便」(Boeing 787-8)は17時過ぎに成田を出発し、いま太平洋上を東に向かっています。

熱狂的なANAファンの中でも「初便ファン」や「記念便ファン」の方々が、今日は大挙して搭乗したようです。

その人たちの多くは、到着の約11時間後にメキシコシティーを出発する復路便で、成田に戻ってくるとか。

これが「メキシコタッチ」です。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4450.html" target="_blank" title="「タッチ」">「タッチ」</a>とは、行ってすぐ戻る旅程のこと。パラダイス山元氏の造語です。

その便に乗ることだけのために乗る。山元氏が、ANAの機内誌「翼の王国」のコラムに書いている通りです。

「快適な空だけの旅」というタイトルのその連載は、私が機内誌で最初に読むページです。

皆様もご存じの通り、最近の機内誌は、あらかじめシートの前ポケットに入れてあるわけではありません。

搭乗時にギャレーに置いてある機内誌を取るか、巡回中のCAさんに機内誌をくれと伝える必要があります。

私は毎月最初にANAに搭乗した時に、1冊か2冊、CAさんから機内誌をもらいます。言った冊数だけくれます。

2回目に搭乗したときにもまた、1冊もらうこともあります。なので各月2,3冊を所蔵しています。

昨年の11月号には、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4417.html" target="_blank" title="「くま博2023」">「くま博2023」</a>に来ていたパラダイス山元氏に、サインをしていただきました。

さて、タッチです。国際線でこれをやろうとすれば、かなりの出費になります。

一方で、マイルを使った「特典航空券」で取ろうとすれば、こんどは競争率が激しくて入手はなかなか困難。

ですがそこは頑張って、どこか遠方に行ける特典航空券を入手して、いつかタッチをしてみたいですね。

これって実は、航空旅行ファンのおじさんの趣味として、いま一部でけっこう盛り上がっているんです。

開業医の働き方改革

「働き方改革」(労働基準法の改正)によって5年前から、残業時間の上限が罰則付きで定められました。

医師にはその適用が5年間猶予されていましたが、今年4月から、残業は原則「年960時間」が上限となります。

これで本当に医師が働きやすくなるのか、病院は十分な医療を提供できるのか、懸念はたくさんあります。

とても大事なことなのでいつか日を改めて書くとして、今日は「開業医の働き方改革」について考えました。

いま世間で言われている「医師の働き方改革」の対象となるのは「勤務医」です。

その勤務医を、規則に違反して「残業させた」場合には、「使用者(雇用主)」が罰せられます。

同じ医師である「開業医」はしかし、誰かに指図を受けて残業するわけではないので、この罰則の対象外です。

開業医も残業することはありますが、これは地域医療に貢献するために自分の判断で決めたことだからです。

とは言え、開業医が時間外に行っている医療行為は、社会の要請に応じたものです。

もとより医師には、医療の提供を求められたら応じなければならないという「応招義務」があります。

しかし、医師が健康を害するほど長時間労働をすることは、あまり持続性のある働き方とは思えません。

また、たとえ医師本人は体力の許す限り診療したいとしても、医療行為には医療スタッフが必要です。

医師以外のスタッフの働き方改革の観点からも、開業医であろうとも、残業はできるだけ減らすべき時代です。

そういうわけで、勤務医のみならず開業医の働き方改革にも、世の中の理解が得られることを願っています。

「特定接種」の登録更新

「特定接種」登録の有効期間が満了するため更新手続きをするようにと、厚労省からメールが何度も届きます。

あまりしつこいので、今日、更新手続きを済ませました。

特定接種とは、2012年に施行された「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づく予防接種です。

2009年の新型インフルエンザの経験を踏まえての、強毒性の新型インフルエンザ等の感染症への対策です。

医療従事者や、インフラ業務の従業員や、感染対策に携わる公務員などに限定して、臨時に接種を行います。

接種を受けるからには、感染症の対応から逃げることは許されないという、バーターな制度でもあります。

この特例接種はしかし、新型コロナワクチンの接種の優先順位には適用されませんでした。

新型コロナは、国民のほとんどが短期間に感染して死亡者が多発するとは想定されない、というのがその理由。

ワクチンの供給に不安があり、高齢者の致死率が高いこともあって、高齢者等優先の接種が始まりました。

さて、厚労省の「特定接種管理システム」にログインしました。パスワードは忘れていたので再発行しました。

「事業所検索」ボタンを押すと当院が表示されるので、

「更新確認」ボタンを押すと確認画面に変わり、

「更新の意思あり」にチェックを入れ、

「更新確認」ボタンを押すと、

「このデータを更新します。よろしいですか?」と表示されるので、

「更新する」ボタンを押すと、

「更新の意思確認情報データの更新処理は正常に行われました。」と表示されました。

どんだけ「更新」の意思を再確認させるんですか。そこまで覚悟が必要なものですか、特定接種って。

どっちみち本番(パンデミック)では、その時点の状況で接種の優先順位が決まることになるんでしょうに。

近隣の小中学校は学級閉鎖だらけ

この日曜・祝日の2日間、発熱外来の受診希望者(からの電話等)はかなり多く、当院のキャパ一杯でした。

診療や検査の順番は、基本的には予約受付順ですが、病状等によって診療順を調整しています。

(1)病状のとくに重い方は、早めの診療順とする(その分、軽症者は遅くなる)

(2)インフルエンザの検査希望の方は、発症(発熱)時刻から一定時間を経た後に来院していただく

重症で手に負えない可能性のある方は、予約電話の時点で、救急病院の受診をお勧めすることになります。

発熱者の点滴は、隔離室のやりくりが困難になるため、申し訳ありませんが最近は原則として行っていません。

緊急性がまったくないけど、休日しか受診できないという方からの予約は、なかなか悩ましいものです。

血圧の薬が切れるから出してくれ、という他院通院中の方には、医学的にどうしても必要なので処方をします。

しかし不眠症等の場合、発熱外来の枠を減らしてでも受け入れるかどうかは、ケースバイケースです。

救急病院の「コンビニ受診」を減らすために、当院は開院当初から土日祝日の「コンビニ」を続けてきました。

しかし今や発熱外来の受診者が多過ぎて、非発熱の軽症患者さんの受け入れはなかなか難しい状況です。

以前は、外傷の縫合処置などもやっていましたが、もう何年もまったくやっていません。

たぶん、私の外科手技も下手くそになっていると思います。なので今後はもう縫合はできないかもしれません。

コロナ禍でバタバタしているうちに、やってる医療の幅が狭まってしまいました。これじゃイカンですね。

と思いながらも、発熱外来の受診者は一向に減る雰囲気がありません。近隣の小中学校は学級閉鎖だらけです。

この先いったい、どうなるんでしょう。いまだに先が見えません。

「清・少納言」登場

大河ドラマ『光る君へ』の放送は、本編に続く次回予告編の後、90秒間の『光る君へ紀行』があります。

今日放送の「紀行」が取り上げていたのは、私が小学校から高校時代までを過ごした「山口県防府市」でした。

なんと清少納言が、「多感な少女時代を過ごしたとされる地」だとか。マジですか。今日初めて知りました。

いやいや、この私も「多感な少年時代を過ごした地」ですけどね、防府は。

2015年の大河ドラマ<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1532.html" target="_blank" title="『花燃ゆ』の「紀行」">『花燃ゆ』の「紀行」</a>では、最終回で防府市が取り上げられました。

私の母校「華浦小学校」は、主人公・杉文の夫が教鞭を執った「越氏塾(えっしじゅく)」が源流なのです。

私が6年生の時、学校創立100周年記念事業で、在校生が作文や習字などをタイムカプセルに埋めました。

開封されるのは「50年後」という、気の遠くなるような未来でしたが、昨年、その時が来たのでした。

私の母と妹が、その「出土品」をもらって帰り、私が受け取ったはずなのですが、いま行方不明です。

書斎のどこかに置いたことは間違いなく、そのうちひょんな場所から出土されるだろうと薄く期待しています。

今日放送の『光る君へ』(第6回)は、貴族同士の争いに加えて、紫式部には清少納言というライバルが登場。

このドラマの中に『源氏物語』がどのように織り込まれていくのか、「劇中劇」の面白さがありそうですね。

時代の流れは史実に従い、細部はフィクションで遊び、源氏物語はおそらく原典通り描かれるのでしょう。

ようよう面白くなってきました。

挨拶でも学会発表でも、原稿は書くべき

結婚式・披露宴に参列してきました。感慨深くて良いものですね。

若い参列者の多くは新郎新婦に共感して感激し、また別の世代の方は親の気持ちになってウルッとくるのです。

私はもちろん後者。わが子らの結婚式の時を思い出したりして、しみじみとした感動がありました。

結婚式の時点で既に盛り上がっていたので、披露宴での主賓挨拶は、だいぶアドリブが入ることになりました。

そうなることは予想はしていましたが、それでも、話す内容はあらかじめ原稿にしていました。

話しの本筋が仕上がっているからこそのアドリブです。そうでなければ、収拾が付かないことになります。

もちろん原稿を見ながら喋るわけではありませんが、話したいことを明確にするためにも、原稿は必須です。

一方で、学会発表のような学術的な口演では、私は自分にアドリブ禁止を課していました。

ついついアドリブが入ってしまうと、どうしても長くなってしまいがちだし、噛み易くなるからです。

それにそもそも、学会発表でアドリブが入る余地があるのは、元の原稿の完成度が低いからだと思います。

アドリブの入る隙が無い、言いそうなアドリブがすでに全部含まれた、そんな原稿こそ完成版でしょう。

それを何度も黙読・音読・暗唱し、何度も修正し、一字一句たがわずに諳んじられるようにするのがゴール。

ひとたび完全に自分のモノにしたら、逆説的ですが、もう原稿など忘れても構わないのです。