溶連菌感染が増えてますが、状況は複雑です

今日発表された熊本県の感染症情報によると、インフルエンザは2週連続、コロナは8週連続で増えています。

インフルエンザの増え方は微妙です。

最近8週間の定点あたり報告数は、38→47→39→29→32→16→17→21ですから、減り方が止まった印象。

一方でコロナは、たしかに一方的に増え続けています。

最近8週間の定点あたり報告数は、2.23→3.14→3.94→5.71→8.09→10.84→12.86→16.08です。

これを「増加率」の推移でみると、1.4→1.3→1.4→1.4→1.3→1.2→1.3と、少し増え方が鈍って見えます。

「溶連菌感染症(咽頭炎)」が増えていることも、最近の特徴です。

定点あたり報告数は、2.98→3.74→3.82→3.22→3.84→1.60→2.90→3.72と、再上昇に転じています。

溶連菌感染のおもな症状は熱と咽頭痛で、のどの手前側(軟口蓋)が燃えるように赤くなるのが特徴です。

インフルエンザやコロナではおもに咽頭後壁が赤く腫大するので、溶連菌感染はまったく異なる咽頭所見です。

発疹が出ることもあり、腹部や大腿部などに「赤い鳥肌」とでも言いたくなる小さい発疹がたくさん出ます。

ベタッと赤くなることもありますが、よくよく見ると赤い点々が集まっています。咽頭発赤でも同じです。

「イチゴ舌」は他の感染症でも見られますが、溶連菌感染の時にはツブツブが小さい印象があります。

当院でも、今日は3人の溶連菌感染陽性を診断しました。ただし、話はそう単純ではありません。

そのうち1人はコロナとの重複感染、もう1人はインフルエンザとの重複感染だったからです。

コロナの経過中に発疹が出てきた子と、インフル経過中に熱が再上昇して軟口蓋が赤くなってきた子です。

最初の感染症によって免疫力が低下して溶連菌を二次感染したか、元々保菌状態だったのかもしれません。

そのように重複感染や二次感染が多いので、ひとつの感染症に決めつけてかかったら痛い目に遭いそうです。