診療報酬は、増えるか、減るか

診療報酬の改定が話題になる時期にはいつも、増大する社会保障費をどうするのか、という議論が出てきます。

社会保障費を抑えるには医療費を削減する必要があり、そのためには診療報酬を減らすべきだという論法です。

この理屈に、一般国民はああそうかと納得するのかもしれませんが、実はまったくオカシな話です。

診療報酬というのは、保険診療への対価であり、医療機関や医療従事者の収入の原資となります。

それは医者の「働き」に比例して得られるものなので、頑張れば頑張るほど収入が増えるのは当然のことです。

その際の、さまざまな診療内容に対する「点数」は国が定めており、それを国は自由に「改定」できます。

医者の儲けの総額ともいえる国民医療費を抑えるのは簡単。その点数の設定を引き下げるだけで済むのです。

しかしそもそも、国民医療費が増えたのは、高齢化やコロナ禍などによって、医療の需要が増えたからです。

たとえ、医者が頑張って国民の寿命を延ばしてきたとしても、高齢化社会は医者の責任ではありません。

なのに、医療需要が増えたので、医療費を減らすために医者の儲けの単価を下げようという話なのです。

そして残念なことに、医者の儲けを減らして医療費を削減することに対して、世論はあまり反対しないのです。

医師の働き方改革や看護師などの給料アップが求められる中で、診療報酬の改定はどっちへ向かうのでしょう。

車のエアコンが故障

言うまいと思えど今日の寒さかな( You might think today’s some fish. )。

あれ、前にも書いたっけ、と検索したら同じ出だしで書いてました。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3058.html" target="_blank" title="クルーズ船問題の頃">クルーズ船問題の頃</a>ですか。なつかしい。

そんな折も折、愛車のエアコンが突然、故障しました。車が暖房できなくなりました。車内が極寒です。

真冬に向かいつつあるこの時期を見計らったかのようなタイミング。マーフィーの法則ってやつでしょう。

先々週ぐらいから兆候はあったのです。なんか暖気がぬるい→設定温度をアップ、の繰り返しで今や28度設定。

ついに先週からは、人肌(しかも平熱が低い人の)程度の温風しか出なくなりました。もう、温風ですらない。

シートヒーターとステアリングヒーターは生きているので、運転中はお尻と手だけがカッカしている状況です。

EVって、電気のことなら任せとけって雰囲気がありますが、実はその電気こそが弱点なんです。

バッテリーで長距離を走ることが最優先なので、走ること以外の機能ではなにかと節電しちゃうのです。

オール電化の住宅で、IHコンロの熱量やお風呂のシャワーが弱いようなものです。ちょっと違うか。

インパネに常に表示されている航続距離予測は、エアコンのスイッチをONにしただけでガクッと減ります。

それを目の当たりにすれば、暖房よりも距離だ、と思いたくもなりますね。

もしも雪の高速道路で渋滞したら、どれだけ暖房を使わずに過ごせるかが、電欠を防ぐための決め手です。

雪国にEVで出かける方は、渋滞に備えて車内にはダウンジャケットや毛布の準備が必要です、マジで。

「さすまた」を振り回す使い方も、ある

貴金属店に押し入った強盗を、猪八戒似の(失礼)ガードマンが刺股(さすまた)で撃退した拍手喝采な事件。

刺股をあのように振り回す使い方があるのかと、しかも実際効果抜群じゃないかと、映像を見て驚きました。

たしかに刺股は本来、「刺す」「股状の」器具であって、おもに首などを壁側に抑え込む使い方ですよね。

しかも、複数の刺股で同時に別々の角度から刺して抑え込んでこそ、威力を発揮するモノだとされています。

ひとつだけを「刺し出す」と、その股状の部分を相手に両手で掴まれたら、容易に奪われてしまいそうです。

そうなると、その相手に本来の持ち手の棒状の部分で突かれたら、形勢は完全に逆転してしまいます。

だからこそガードマンは、相手に股を持たせないために激しく振り回したのかと、そう考えると腑に落ちます。

まあなんにせよ体格の良い方ですから、刺股でなくてもそれこそ猿股でも、武器にできそうな勢いでしたね。

「刺股」と聞くたびに、昔教科書で読んだ、魯迅の『故郷』を思い出す人もいるでしょう。私もその1人です。

「チャー」を捕まえるときの武器が刺股。チャーとは、ミュージシャンじゃなくて、西瓜を食べる獣ですね。

そして、チャーと同時にに思い出すのが、「ヤンおばさん」ということになります。

懐かしくなって青空文庫で読んで驚きました。「刺股」も「チャー」も「ヤンおばさん」も出てこないのです。

それぞれ、「叉棒(さすぼう)」「土竜(もぐら)」「楊二嫂(ようにそう)」。なにそれ。もうガッカリ。

と思っていたら、さきほどの井上紅梅の訳ではなく、佐藤春夫の翻訳版もありました。

こちらには「刺又」「チャー」「楊小母さん(ヤンおばさん)」が出てきました。これですよ教科書のやつは。

翻訳者の言葉の使い方・選び方って、こうも違うんですね。

井上版で習っていたら、これほどまでに私の記憶に残る小説ではなかったかもしれません。

「安全」も「安心」も、どちらも大事

インフルエンザが流行し、タミフルなどの抗インフルエンザ薬を処方する機会も増えました。

そのタミフルは一時、「異常行動」の原因と見なされて、10代への処方が禁止されていた時期がありました。

後に、タミフルではなくインフルエンザそのものが異常行動を引き起こすことが、多くの研究で判明しました。

濡れ衣だったことが科学的に証明されたわけですが、いまなおタミフル処方には難色を示す方が一定数います。

HPVワクチンもそうです。いま接種希望者は増えていますが、このワクチンには懐疑的な方まだ多いのが現状。

メディアが大々的な反ワクチンキャンペーンを張り、国までもが「接種を推奨しない」と明言したからです。

「安全」よりも「安心」を重視した、と言えなくもないですが、当時の国は科学よりも心情を優先したのです。

科学者に耳を貸さず、市民団体や国民感情に左右される日本の役所の弱腰行政には、心底ガッカリしました。

医療従事者やWHOからは懸念の声が出ましたが、国は科学的データを黙殺し、なかなか動きませんでした。

幸い、新事実が出たわけでもないのに国は方針を転換し、近年HPVワクチンは勧奨接種が再開されました。

いま福島原発の処理水放出事案では、科学的には安全だと日本が説明しても、中国はなかなか納得しません。

この件は、中国の国家的戦略が根幹にあるので、科学的に納得できていないだけの単純な話ではありません。

しかしうわべ上、中国は科学的観点から問題を指摘し、日本は科学的観点から安全を訴えている状況。

かつて反ワクチンに加担した国が、今回は科学的安全性を押し通すという、そのご都合主義が滑稽です。

ネット予約枠は秒で埋まり、電話回線は1秒も途切れません

日曜や祝日の発熱外来は、いつも早朝から予約が殺到します。

とくに日曜は生活習慣病の方の定期受診も多く、動線および時間帯の分離は徹底しなければなりません。

そのためには、完全予約制が必須です。直接来院による窓口受け付けは(原則として)行っていません。

となると予約はネットか電話となるのですが、ネット予約枠はすぐに埋まり、電話回線もすぐパンクします。

ネット予約は、予約開始後1〜数秒以内に、すべての予約枠が埋まってしまいます。

「予約開始と同時に枠が満杯になるとは、どういうことか」という苦情をたびたび頂戴します。今日もです。

申し訳ありません。予約希望者数が予約枠よりも圧倒的に多く、そのスタートダッシュが凄いのです。

電話は、切っても1秒以内に次の電話がかかってくる、いわゆる「チケットぴあ」状態です。

「何十回も電話したのにつながらないとは、どういうことか」という苦情もたびたび頂戴します。今日もです。

申し訳ありません。実際に電話が途切れないのです。運良くつながった方の予約だけで、枠が埋まるのです。

毎週日曜には予約が殺到し、ネットが埋まり、電話がパンクし、苦情が出て、いつも謝罪しています。

高熱などで苦しんでいる方からの予約なので、可能ならすべて受け入れたいところですが、限界があります。

そのことをご説明するのですが、クレームがヒートアップすることもしばしばで、対応には苦労します。

今日はいつも以上に電話で謝ることが多く、ずいぶん時間を要しました。大事だけど減らしたい時間です。

当院の診療キャパは限られます。それに加えて、そもそも熊本の休日の発熱外来のキャパが小さすぎるのです。

パスポート偽造組織の臭い

東京都のパスポートセンターの従業員が、申請者の個人情報などを不正に持ち出していたことが発覚した件。

他の個人情報の流出と異なるのは、パスポート作成希望者に特化して、その必要情報が漏洩したという点です。

つまり、今回の犯行には、偽造パスポートを作るという明確な目的があると考えられます(個人の推測です)。

となると、巷のオレオレ詐欺グループ等とは別格の、巨大な犯罪組織の関与が臭いますね(個人の嗅覚です)。

国際的犯罪グループとか、テロ組織とか、あるいは某国かもしれません。

実行犯の女性は、たぶん脅されて犯罪に加担させられただけで、組織とは無関係の、むしろ被害者でしょう。

その彼女に指示を出した人間ですら、組織の末端の下っ端のトカゲの尻尾の先っちょでしょうね、多分。

警視庁公安部も、女性の背後に国家的な組織の関与の有無を捜査したようですが、確認出来なかったとのこと。

しかしこれは額面通りには受け取れません。公安が手の内を明かすはずがなく、捜査はまさに進展中でしょう。

公安は彼女を長い間泳がせていたはずです。ところが最近、その内偵を組織に気付かれてしまったのでしょう。

このままでは彼女の身が危ない、消されるぞ、となった。そこで急遽、彼女を保護すべく、身柄を拘束した。

・・・そんな筋書きで、だいたい合ってますかね。

「就学時健診」

「令和6年度入学児就学時健診」に行って来ました。私が学校医をしている「託麻北小」です。

健診対象者(=入学予定の年長児)は68人。どうやら新1年は2クラス編成になりそうです。

お隣の「託麻東小」は1学年7クラスもある児童数のようで、人口の増減にはずいぶん地域差があるんですね。

68人のうち7人が欠席したので、健診を実施したのは61人。そのほとんどが、顔見知りの子でした。

コロナ禍になって、保護者が付き添って健診に来ますが、その保護者ともたいてい顔見知りです。

高学年によく見かける肥満傾向のお子さんは年長児に少なく、問題点は小学校時代の生活習慣にありそうです。

胸部正中切開創のある心臓手術後の子が2人。61分の2は多く感じますが、これは偶然でしょう。

託麻北小は、白川の河岸段丘の2段目の段丘崖の上に立っています。

近隣の東部中も崖の上ですが、託麻北小は表玄関が崖に向いていて、まさに崖の上の学校って感じですね。

校区は白川に沿って東西に細長く、全域が河岸段丘を2段とも含むので、アップダウンの激しい校区です。

それを子どもたちは歩いて登下校するとのことですが、場所によっては片道でも小一時間かかりそうです。

でもそのおかげで、足腰の強い、持久力のある、たくましい子が育つと思います。

いつかその地形に感謝する時が来るはず。きっとこう言うでしょう。「段丘ベリーマッチ」。

ネット予約の予想外のメリット

「勤労感謝の日」の今日、熊本で発熱外来やってるのは当院だけなのか、と思うぐらいの勢いでした。

インフルエンザは35人検査中21人陽性(陽性率60%)、コロナは16人検査して2人陽性(12.5%)。

近隣の小中学校には、インフルエンザによる学級閉鎖や学年閉鎖、学校閉鎖(休校)まで出ています。

実はこれまでは、発熱外来受診希望者の病状を把握するため、電話主体で診療予約を受け付けていました。

もちろん、ゆっくり電話問診していたのでは、2回線の電話はすぐにパンクして繋がらなくなります。

そこで、受けた電話での問診は最小限にして、あとで当院の携帯電話で折り返して尋ねる工夫をしてきました。

スタッフ2人で、1件当たり30秒〜1分程度の通話時間で、8時半からずっと電話を受けっぱなしです。

そんなペースで予約を受け付け続ければ、やがて夕方までの予約が埋まってしまいます。

それ以降の電話には、よほど例外的な事例を除いて、すべてお断りの返事をすることになります。

電話がつながらず、しびれを切らして直接来院する方も大勢います。

それが重症者だったり遠方から来院の場合には、予約者の合間に割り込んで診療することになります。

しかし割り込みが多くなると、予約済者の診療時間がどんどん遅れてしまいます。

なので申し訳ないですが、いくら直接来院された方でも、通常はいったんお帰りいただくことになります。

と、これまではそんな具合でしたが、今日はネット予約枠を大幅に増やし、電話予約枠を減らしてみました。

午前中の診療枠はネット予約だけで埋め、午後の診療枠のみ従来のように電話受付を併用したのです。

すると驚いたことに、ネット予約者の多くが、以前からの当院の「かかりつけ」の患者さんでした。

これまでのような電話予約だと「新患」の方ばかりになり、かかりつけの方が予約をとれなかったんですね。

ネット予約の方が、かかりつけの方の受診を受け入れやすくなることが、今日はっきりしました。

とは言え、予約電話は混雑するし、直接来院する方も大勢いました。忙しさはいつもと同じでした。

どうあがいたところで、当院の診療キャパは、これ以上増やしようがないのです。

『純アルコール量」

厚労省が「飲酒ガイドライン」の案を取りまとめました。

「体への影響は、酒に含まれるアルコールの量『純アルコール量」で把握するほうが正確だ」と。

純アルコール量とは、酒に含まれるアルコールの量(g)で、飲む量x度数x0.8、で算出できます。

男性は1日当たり40g、女性は20g以上を摂取した場合に、生活習慣病のリスクを高めるのだそうです。

しかし個人差が大きいですから、純アルコール量で把握する方が「正確」ってところが同意できませんね。

ちなみに私が毎晩の「基本ビール」としているKIRINの「豊潤」は、アルコール度数6%。

その純アルコール量は、350mlの缶1本当たり、350x0.06x0.8=16.8g。じゃあ、2本しか飲めないの?

缶をよく見たら、「1本当たり純アルコール量16.8g(詳しくはtekiryo.jp)」と書いてありました。

そんな記載、初めて見ましたよ。私の計算は合ってるみたいです。

で、その「tekiryo.jp」を見てみると、KIRINのサイト「適正飲酒を身に付けよう」でした。

ポイントは、食事と一緒にゆっくりと、長時間飲み続けず、無理強いしないこと、などだそうです。

「無理強い」と言えば、今風に言えば「アルハラ(アルコールハラスメント)」ということになります。

昭和の時代には当たり前でしたが、いま「イッキ飲み」などを強要すると、ほぼ犯罪なんでしょうね。

大学入学直後に繰り返された「新歓(新入生歓迎)コンパ」では、イッキ飲みが当たり前でした。

飲んでは吐き、吐いては飲む。そうして強くなるのだと先輩に教えられ、信じて頑張って飲んだものです。

まあそれ以前に、高校卒業直後の18歳で飲酒ってどうなのって話ですけどね。

院長室刷新

休診日だというのに朝7時に出勤し、職人さんたちが来る前に、院長室の片付けを無事完了しました。

掃除機もかけ、新築時の状態に戻った(ような)部屋を写メして、家人に送ろうとしたら、エラーが出ました。

なんと、院内のWi-Fiがつながらない。そうか、ルーターの電源もケーブルもはずしてたのでした。ありゃま。

院内のLANはすべて、院長室に大元があって、そこからWi-Fiやら院内LANの配線が始まっているのです。

これは困った。工事は夕方までかかります。その間の私は診察室にこもる予定でしたが、ネット難民は辛い。

そのとき閃きました。インターネットの光回線の大元が、レントゲン操作室の奥にあるはず。

探してみると、ONUという装置から、壁のLANコンセントにケーブルがささっています。

これが院長室まで行ってるヤツか。そのケーブルを抜いて、持参したWi-Fiのルーターに繋ぎました。

そのルーターというのが、Appleの「AirMac Time Capusule」なのです。丸みを帯びた直方体のヤツですね。

HDD内蔵なのでNASとしても使えるのですが、どういうわけか調子が悪くて、ずっとルーター専用です。

なお、この手のAppleの「AirMac」シリーズは、5年半前にすべて、販売終了となっています。残念です。

工事が終了し、壁紙とカーペットも新しくなりました。院長室が明るくなりました。

でわ、まずは院内LAN環境の復旧から。明日の診療のためには、電子カルテの稼働確認が最優先ですからね。

そうそう。外部接続(WAN)の復旧も大事。オンライン資格確認のシステムにも繋がってますから。OK。

それからついでに、無線LAN環境も確認。これは診療や予防接種の予約システムに使っているiPad用です。

書類やファイルや小物類の再搬入は後日にしましょう。その際に断捨離でもしようかと考えています。

院長室は、過去十数年でいちばん整頓された状態になりました。はたして、これをいつまで維持できるのやら。