10月になり、新型コロナウイルス感染症の診療が少し、変わりました。
たとえば、当院でも処方してきたコロナ治療薬の「公費支援」が、「全額」から「一定額のみ」になりました。
自己負担の上限額は、3割負担だと9,000円です。これまで自己負担ゼロだったので、その差は大きいですね。
もともと10万円近い薬なので、最終的に公費負担がなくなれば、自己負担が約3万円になる日が来ます。
この高額な自己負担を考えると、今後この薬を希望するのは、1割負担の方だけになりそうです。
一方で、インフルエンザが陽性の場合には、タミフルなどの抗ウイルス薬を希望する方がほとんどです。
皆がタミフルを飲んでいるので自分も飲む。元気でも飲む。いかにも日本的な、言うなれば反射的同調ですね。
その結果、世界中のタミフルの75%を日本が消費しているという、驚くべきタミフル愛好国になっています。
ところが今シーズンは、インフルエンザの陽性者でも、タミフルなどの処方を希望しない方が目立ちます。
ひところ騒がれた「異常行動」(ただし濡れ衣)を恐れているのではなく、薬を必要とは思わないようです。
想像するに、新型コロナを特別な治療薬も飲まずに治した経験が、その方にはあるのかもしれません。
そうなのです。インフルエンザに罹ったからといって、必ずしも抗ウイルス薬を飲む必要はないのです。
タミフルなどは、高齢者や基礎疾患のある方などが限定的に使う薬だと、そろそろ考えるべきかもしれません。