土日祝日に発熱外来をしていると、予約の電話が引っ切りなしにかかってきます。
日頃のかかりつけや、自宅近所の民間病院や、当番医に連絡して断られた方からの電話も、少なくありません。
しかし高熱で具合の悪い方であっても、予約枠が満杯の場合は、当院でも受診をお断りすることになります。
とくに病状の重い方には救急要請するように伝えますが、なかには「救急車に断られた」という方がいます。
救急車は来たけれど、いまの病状では入院は難しいという救急救命士の判断で、搬送はしなかったそうです。
近隣の複数の病院に電話しても、コロナ受け入れ病床が空いていないとの返事で、どうしても入院できません。
保健所に相談しても、必要であれば救急要請するようにとの返答ばかりで、問題はなかなか解決しません。
5類化以降、コロナ医療の調整役が事実上不在です。最後まで面倒をみてくれる相談役がいなくなりました。
当院受診者で、すぐ入院が必要ではないけど軽い低酸素の方には、パルスオキシメーターをお貸ししています。
年齢や病状にもよりますが、酸素飽和度が○○%以下になったら救急要請してください、などと伝えています。
客観的な根拠(低酸素)がなければ、救急隊や救急病院への説得力がないからです。
熊本はいま、そんな状況です。報道されているコロナ情報と医療現場の実情は、大きく乖離しています。
これはコロナ禍の3年半では初の事態です。それも覚悟の上での5類化なのですが、現実は厳しいのです。
世間の関心は猛暑と猟奇事件や悪徳企業に向いていますが、最大の社会問題は今もコロナかもしれません。