高校1年の時、同級生でもないのに親友になったT君のことを、昨日のブログを書きながら思い出しました。
私の家の近所に引っ越して来たのか、ある時から急に、下校時によく出会うようになったのです。
近所といっても、それほど近いわけではなく、どこかの交差点でいつも別れていました。
シャイで無口な彼は、いつも私の話の聞き役でした。どんな話題にも、目を輝かせて食い付いてくれました。
そしていつも名残惜しそうに、その交差点で別れていたのでした。
そんな彼に、ある日から突然、会えなくなりました。1カ月も2カ月も、彼の姿を見かけなくなりました。
と思っていたら、ある日また、何事も無かったように彼が現れ、一緒に下校する日々が再開したのでした。
それ以来、不思議なことに、彼は1,2カ月姿を消したり、また現れたりと、出没を繰り返すようになりました。
そして、再会するたびに彼の顔がまん丸になっていくことに、鈍感な私もようやく気付きました。
でも彼はいつもにこやかで言葉遣いが優しくて、いつまでも聞き役で自分の話をしませんでした。
ある時彼は、私の家を見たいと変なコトを言いだしました。もう、暗くなった時間帯のことです。
見るだけでいいというので、まっすぐな農道を一緒に自転車で走って、私の家に向かいました。
例の、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4304.html" target="_blank" title="数秒間目をつぶって走るチャレンジ">数秒間目をつぶって走るチャレンジ</a>も、ワアワア言いながら一緒に楽しみました。
彼の人生で、そんな無謀で危険で無意味なことをしたことが無かったのか、すごく興奮しているようでした。
私が畑に落ちた話をすると、彼はいきなり自転車を止め、畑に入り、その土の上に寝そべりました。
私も付き合って、彼の横に転がり込みました。バカですね。家に帰ったら親に大目玉を食らうというのに。
その日以来、彼は姿を見せなくなりました。
そして少しして、彼が病気で亡くなったと知りました。もう何年も闘病していことを、あとで聞きました。
死期が迫っていた彼が、最後の友達に私を選んでくれたのかと思うと、もう涙が止まりませんでした。
彼がいつ亡くなったのか、正確には知りません。もしかすると、畑で寝転んだ晩よりも前かもしれません。