用水路転落は避けたい

子どもって、妙なチャレンジしたりしますよね。

NHKの『クローズアップ現代』で「用水路転落」を取り上げていたのを見て、高校時代を思い出しました。

駅から自宅まで自転車で帰るルートの最後の1キロは、まっすぐで暗く寂しい農道でした。

外灯はなく、夜は車もめったに通らないので、私はいつも道の真ん中を走っていました。

あるとき、ほんの2,3秒間だけ、自転車をこぎながら目を閉じてみました。スリリングでした。

次にもう少し、あと1秒ほど長い間、目を閉じたまま走ってみました。超スリリングでした。

それ以来、夜にその農道を走って帰宅する際の、新たな楽しみができました。

当然、だんだんと目を閉じる時間が長くなります。これはチャレンジです。チキンレースです。

農道の左側は用水路、右側は畑でした。用水路はコンクリート製で深く、柵も蓋もありません。

ある晩のこと。5秒か8秒か、目を閉じて走っていたたら突然、前輪がガクッと路肩から落ちるのを感じました。

しまった!と思う間もなく、次の瞬間、私は真っ逆さまに、漆黒の奈落の底に落ちていきました。

落ちたのは、畑でした。閉眼運転中は無意識に、用水路を避けて右に向かっていたんですね。

よく耕されて柔らかい畑のうねに受け止められて、制服は泥だらけになりましたがケガはありませんでした。