「5類化」によって感染対策を緩和した医院が多いらしい

「5類化」によって開業医はどう変化したか。

医療従事者用のサイトで行われたアンケート調査の回答を見ながら、当院の実情と突き合わせてみます。

「発熱患者の受け入れ制限を緩和した」

そのような回答が多かったようですが、元々受け入れ制限をしていなかった当院からすれば、複雑な心境です。

でも動線分離ができない等の理由で、いまなお発熱患者の受け入れを断っている医療機関もあります。

「受付のパーテーションを止めた」

当院はまだ止めていません。多少のデメリットがあるとしても、まだ感染者が多い現状では止められません。

予約なしで受付まで入り込んでくる発熱者もいます。そのような方は、むしろこれから増えるかもしれません。

「発熱患者の診察時のガウン着用を止めた」

私はまだ、ガウン+マスク+フェイスシールド+キャップ+手袋、という完全装備を続けています。

診察中に、不意にこちらに向かって咳込まれたりすることがあり、飛沫を浴びることだけは避けたいのです。

「コロナ検査をするかどうかは患者の希望次第にした」

当然、ていうか元々そうでしょ。でもたしかに、有料にもなったし、検査を強く推奨することは減りましたね。

コロナ感染の疑いのある方がそれを意識して行動するのなら、診断を確定する必要は必ずしもありませんから。

高齢者や基礎疾患のある患者さんがいつも待合室にいる当院では、まだ感染対策の緩和は難しいですね。

報告数がピークアウトしたとしても、感染者は増えているかも

新型コロナの感染者数の推移の指標は、毎週の「定点あたり報告数」です。

5月8日(月)以来の月曜〜日曜を単位として、都道府県毎の報告数が集計され、金曜までに公表されています。

熊本県は、2.06→2.30→2.41→3.54→5.43→6.38→8.75→9.58→11.99→15.93→22.05、という推移。

先週(7/17〜23)の報告数は、5類化最初の週(5/8〜14)の10.7倍に増えています。

5類化直前の週(5/1〜7)の新規感染者数が1日平均88.9人なので、いまは1日951人程度と推定できます。

最新週(7/24〜7/30)の定点あたり報告数の集計結果はもちろん、まだ出ていません。

当院の最新週までの陽性診断数は、5→7→9→13→15→27→29→31→30→36→46→34という推移でした。

これだけ見るとピークアウトした感もありますが、当院の少ないデータだけでは統計学的な意味はありません。

とくに最近、有症状の濃厚接触者などコロナ感染が確定的な方が、敢えて検査をしないケースが増えています。

いわゆる「みなし陽性」とも言える臨床診断事例ですが、いまは、検査代の節約がそのおもな要因です。

発熱等で電話相談があっても実際には受診しない方もいます。検査しないのなら、受診も不要なのです。

未検査だとコロナの自覚も乏しくなりがちで、下熱後すぐに出勤する方もいますが、それもやむなしです。

発症後5日間は外出を控えることが推奨されているとは言え、強制ではありませんから。

家族などの濃厚接触者の方には、無症状なら出勤OKなどと伝えていますが、まだ若干の抵抗は感じます。

そして案の定、出勤した日の夜から発熱したりします。こんな事態にはもう慣れるしかないんですかね。

コロナ入院はすでに厳しい状況です

土日祝日に発熱外来をしていると、予約の電話が引っ切りなしにかかってきます。

日頃のかかりつけや、自宅近所の民間病院や、当番医に連絡して断られた方からの電話も、少なくありません。

しかし高熱で具合の悪い方であっても、予約枠が満杯の場合は、当院でも受診をお断りすることになります。

とくに病状の重い方には救急要請するように伝えますが、なかには「救急車に断られた」という方がいます。

救急車は来たけれど、いまの病状では入院は難しいという救急救命士の判断で、搬送はしなかったそうです。

近隣の複数の病院に電話しても、コロナ受け入れ病床が空いていないとの返事で、どうしても入院できません。

保健所に相談しても、必要であれば救急要請するようにとの返答ばかりで、問題はなかなか解決しません。

5類化以降、コロナ医療の調整役が事実上不在です。最後まで面倒をみてくれる相談役がいなくなりました。

当院受診者で、すぐ入院が必要ではないけど軽い低酸素の方には、パルスオキシメーターをお貸ししています。

年齢や病状にもよりますが、酸素飽和度が○○%以下になったら救急要請してください、などと伝えています。

客観的な根拠(低酸素)がなければ、救急隊や救急病院への説得力がないからです。

熊本はいま、そんな状況です。報道されているコロナ情報と医療現場の実情は、大きく乖離しています。

これはコロナ禍の3年半では初の事態です。それも覚悟の上での5類化なのですが、現実は厳しいのです。

世間の関心は猛暑と猟奇事件や悪徳企業に向いていますが、最大の社会問題は今もコロナかもしれません。

4度目のギックリ腰

また、ギックリ腰をやってしまいました。

これまでの私のギックリ歴は、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1303.html" target="_blank" title="2015年">2015年</a>、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1940.html" target="_blank" title="2017年">2017年</a>、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3260.html" target="_blank" title="2020年">2020年</a>の3回なので、今回は4度目です。

1回目は洗顔中に、2回目はイスに座った瞬間、3回目は台風前の片付け中、そして今回は職場で転んだ時です。

よく覚えとるなあ、と思うでしょ。覚えてるんじゃないのです。日記にちゃんと書いてるのです。

日記といっても当ブログのことですけどね。私の病歴など、ブログ内を検索すればすぐに抽出できます。

ちなみに職場で滑って転んだのは今回が2度目です。いずれも雨の日の発熱外来での出来事でした。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3372.html" target="_blank" title="前回">前回</a>は、検体を採取した綿棒を手に、廊下でターンした時に滑って尻餅をついたものでした。

今回(昨日)は、検体を採取しに行こうとして滑って転び、腰を床でしたたかに打ちすえてしまいました。

ていうか昨日の天候の急変はなんですか。昼過ぎまではカンカン照りの猛暑かと思えば、突然のゲリラ雷雨。

とても駐車場にたどり着くことができず、患者さんの車を玄関先の屋根のあるところに移動してもらいました。

ですがなにしろ豪雨なので、屋根があっても雨が降り込んでびしょ濡れになっていたのでした。

休診日の今日は、なるべく腰に負荷をかけないよう、横になってゴロゴロして過ごしました少しうそ。

入浴時の浴室のイスの低さがとてもキツいので、介護用の風呂イスをさきほど、ポチったところです。

「資格確認書」も、作り方次第でしょ

マイナ保険証は、紐付けミスよりもなによりも、マイナ保険証を持ってない人が多いことが大問題です。

おそらく何年経っても一定数は不所持のままでしょう。そもそも、マイナカードの取得自体が任意ですから。

この問題の解決策について整理すると、次のような流れでしょうか。

(1)マイナ保険証を持たない人はどうする → 資格確認書を交付する

(2)資格確認書を取得しない人はどうする → 対象者全員に一律交付することにする(かも)

(3)それなら従来の保険証でもいいじゃん → ともかく、マイナ保険証のメリットをさらに周知します

(4)だとしても従来の保険証を急いで廃止する必要ないじゃん(イマココ)

とりあえず、資格確認書の名称を「資格確認保険証」とかにして、実質的に保険証を存続させましょう。

できればそれを、マイナカードそっくりの外観にしてしまいましょう。

マイナンバーの記載も写真も無く、ICチップも内蔵されておらず、保険証としてだけ使えるカードです。

あるいは、身分証明書としても使えるように、写真付きバージョンも作るわけですよ。

実際、保険証の不正利用を防ぐためにも、写真付き保険証はとても有用だと思います。

そうやってだんだん慣らして、マイナ保険証への抵抗感をなくしていく作戦って、どうですか。

まず、車を愛する人への冒とくでしょう

オカシな事件が続くものですね。コロナやマイナ関連の報道に飽きたメディアが、ここぞと飛びつきます。

ススキノ猟奇事件に次ぐ話題と言えば、水増し請求が問題となった「ビッグモーター」の社長会見でしょうか。

社員がゴルフボールで車を傷つけたことを、社長は「ゴルフを愛する人に対する冒とく」だと述べました。

もちろんウケ狙いでしょう。そうでなければ、ここまでズレた発言などするはずがありません。

数年前にある小学校で、教師が同僚に激辛カレーを無理矢理食べさせた、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2936.html" target="_blank" title="いじめ事件">いじめ事件</a>を思い出しました。

校長は謝罪会見で、こう述べました。「給食のカレーやめます」と。

「いやいや、そこじゃないでしょ!」とツッコまれるのを期待したとしか思えませんね、社長も校長も。

こういったボケは、くそ真面目に言うほど効果的なので、ビッグモーターの社長はなかなかの達人と見ました。

「がく然とした。車を傷つけるなどあり得ない。これは一線を越えている」と、厳しく責めたうえで、

「ゴルフボールで傷つける、ゴルフを愛する人に対する冒とくです」とくれば、そっちかい、と言うほかない。

聞き手がついツッコミを入れてしまう、実に効果的なボケでした。勉強になります。

「ノーマスク」が格好いいわけじゃない

休診日の今日、近所のショッピングセンターに出かけました。

店内をざっと見て、マスク装着率は5〜6割といったところでした。

日本人は、和を以て貴しとなす国民性なので、出しゃばらず協調性のある穏便な態度を重んじます。

同調圧力が強く、例えばコロナ禍でのマスク装着率は高く、しかしマスク不要となれば一斉に外したがります。

個人の突出した考えはしばしば身勝手とか自己中だと嫌われ、出る杭は打たれます。

ただマスクについては、このところ少し装着率が増えているような印象です。

世の流れに乗ってマスク外してみたけど、やっぱりまだ着けておこう、という「揺れ戻し」なのでしょうか。

5類化後の定点あたり新型コロナ報告数の増加ぶりは、先日も書いたように西日本、とくに九州で目立ちます。

熊本県では、2.06→2.30→2.41→3.54→5.43→6.38→8.75→9.58→11.99→15.93、急に増えています。

当院で診断した毎週の感染者数も、5→7→9→13→15→27→29→31→30→36→46という推移でした。

この2週間の増え方は、かなりヤバいです。

学級閉鎖や休校から明けたと思ったら、また流行している学校もあります。

学校内での流行が各家庭に広がって兄弟が感染し、学級閉鎖明けにまた学校で拡散するのかもしれません。

人が集まる場所では、他人がどうであれ、マスクを着けたい方は躊躇せず着けておきましょう。

無数の不要メールを削除する日々

「ホームページを作り替えませんか」みたいな事を言ってくるスパムメールがよく届きます。

見ず知らずの業者から指摘を受けるまでもなく、つまらないホームページですみませんね。

そのようなメールの冒頭はたいてい、「貴社のホームページを拝見しましたが、」等の記載で始まります。

申し訳ないですが、当院は会社ではありません。結社でも神社でもありません。医療機関、診療所です。

「貴社」とか「御社」と書いてあったら、残念ながらそれは当院のページを「拝見」してない証拠です。

冒頭からそんなウソをつくメールなど読む気もしないところですが、後学のため(?)読み進んだりします。

医療機関宛は「貴社」が「貴院」に置換されるようなシステムに改修しなきゃダメですよ、スパム業者の方。

日本語そのものは、フィッシング業者よりはマシなので、もうひと頑張りですね。

「フィッシング詐欺にご注意ください」というメールが、銀行やカード会社(とおぼしき業者)から届きます。

そのメール自体がフィッシングじゃない保証はあるんかい、というツッコミを入れることになります。

Amazonで何か発注中にもかかわらず、Amazonアカウントが停止された旨の連絡メールが来たりします。

ヤマト運輸からの謎の緊急連絡が入ったり、利用したこともない海外の運送業者からの不在通知も来ます。

大量のスパムとフィッシングと商業メールの中に、役所などからの大事なメールが紛れ込んで届きます。

かと思うと、迷惑メールフォルダの中にも重要なメールが潜んでいたりするので、油断なりません。

毎日時間を費やして削除しなければならない不要メールが、どんどん増えています。なんとかなりませんかね。

急(せ)いて事をし損じた典型

マイナ保険証のトラブルが続きます。過去の作業ミスが、どんどん発覚しているのかもしれません。

医療機関で利用してはじめて紐付けミスなどが見つかるわけですから、トラブルはしばらく続くことでしょう。

「マイナポータル」で確認すれば良いのでしょうけど、その確認方法を周知し始めたのはつい最近の話です。

問題の根幹を考えてみると、もともと保険証は、マイナ化するには関連部署が多すぎたということでしょう。

保険組合や保険者が無数にあって、国や自治体関連や民間も多い。作業に関与する組織が多すぎるのです。

その意味では、運転免許証であれば、むしろマイナ化は容易だったかもしれません。

マイナ保険証で問題になりやすいのは、転職等によって保険者などが変わった場合です。

その変更がマイナ保険証に反映するまでに、かなりの時間がかかります。保険組合によっては1カ月以上も。

大きな事業所であるほど同時期の異動が多く、しかもまとめて事務作業をするので時間がかかるのでしょう。

保険証の切替情報の反映は、従来の保険証よりもマイナの方が格段に早くなると、当初は期待されていました。

それによって、例えば「資格喪失後受診」という面倒事が劇的に減らせるはずでした。

ところが現状は逆。マイナ保険証に問題があれば、念のため従来の保険証での確認が求められる始末です。

マイナ保険証の仕組みは今後だんだんと完成度が上がり、やがて日本中で利用される日が来るでしょう。

それまでしばらくは、従来保険証も並行して発行すべきことは当然のこと。急いては事をし損ずる、ですよ。

「ウィズコロナ」と言うけど、気分は「ポストコロナ」?

なでしこジャパン。初戦を5−0の大勝で飾りました。

おおいに盛り上がる観客席もパブリックビューイングもスポーツバーも、マスク装着者なんて誰もいません。

とは言え、発熱外来をやっている医療従事者としては、少しばかり、コロナの現状に触れておきます。

皆様、ご記憶でしょうか。日本ではいま、コロナの定点あたり報告数が毎週発表されているのですよ。

5月8日の「5類化」以来、1週間毎の報告数が都道府県別に集計されています。

熊本県では、2.06→2.30→2.41→3.54→5.43→6.38→8.75→9.58→11.99→15.93、という推移です。

かつては、東京都の新規感染者数が日本全体の新型コロナの流行の指標のように、毎日報じられていました。

ところがその東京の最新(7/10〜7/16)の定点あたり報告数は8.25です。お隣の神奈川県も8.14です。

一方で九州7県はすべて10以上。福岡を除くと全県で15以上なのです。沖縄は別格で31.8です。

このように今回(第9波?)は明らかに「西高東低」です。ナゼナンダロウ、ドシテナンダロウ(タモリ風)。

沖縄との交流の多さでは説明が付きません。佐賀と宮崎での増加が福岡よりも著しいのですから。

そんな状況でも第8波までと違うのは、スポーツ観戦だけでなく、世の中全体の「ポストコロナ」気分ですね。

今日の発熱外来で1人、ノーマスクでの受診者がいました。もはや発熱外来でもポストコロナ気分なのか?