クマゼミの羽化観察記

その年に初めて聞くセミの声、あるいはそのセミのことを「初蝉(はつぜみ)」といいます。夏の季語です。

私の場合、昨年はそれが<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3925.html" target="_blank" title="7月2日">7月2日</a>のことでした。

今年はどうかと思っていた矢先の今日の夕方、自宅の庭をふと見ると、褐色のセミの幼虫が歩いていました。

毎年セミの楽園になる<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2469.html" target="_blank" title="シマトネリコ">シマトネリコ</a>の根元付近を、木とは反対向きの、人工芝の方に向かって歩いていました。

見れば地面に、幼虫が出てきたと思われる直径3cmほどの穴がぽっかりとあいていました。

落ち葉を幼虫に近づけると、絡んできたのでそのまま吊り上げ、木の根元にそっと移動してやりました。

すると幼虫はさっそく、幹を垂直に登り始めました。時々短い休憩をとりながら、どんどん登っていきます。

枝の先の、そのいちばん先まで到達すると、落ちないように慎重にからだの向きを変え、Uターンしました。

この幼虫の木登りは、午後6時半から7時過ぎまでの、まだ明るい時間帯の出来事でした。

その後はじっと見ていても目立った動きがなかったのですが、暗くなってから、いよいよ羽化が始まりました。

なお、羽化の最中の虫体は非常にデリケートなので、絶対に人の手で触れてはなりません。

午後8時前ごろからだんだんと背中が膨らみ、やがて少し割れて白緑色の体が見えてきました。

さらに30分ぐらいの時間をかけて、成虫の体が徐々に飛び出してきて、エビ反り状態になりました。

それから、小さく折りたたまれていた緑色の翅が、わっと広がり始めました。

ついに午後9時前には成虫の全身が露出、抜け殻に馬乗りになり、翅を大きく広げ、じっと休んでいました。

薄い緑色に縁取りされた翅は柔らかそうで、まだとても飛べる状況ではないでしょう。

体は鮮やかなオレンジ色です。昼間であればただちに鳥の餌食になるであろう、もっとも無防備な状態です。

何年も暮らしてきた土から出て、セミはついに翅を広げました。朝までに体を完成させ、飛び立つのでしょう。

きっと明日は、初蝉を聞く日になりそうです。